ポイントの重さと重心位置

『よく雑誌で、「9%NIBBに40グレイン足して射っている」などという記事を見ます。インドアでのアルミアローのセッティングのところなんですけど。これはメーカーからそういうウェイト(ポイントにくっつけるような)が発売されているのでしょうか? それとも個人でなにか詰め物をしているのでしょうか? お答えいただけると幸いです。』
 こんな問い合わせメイルをいただきました。

 「NIBB」 とはEASTON社が1980年頃、それまでのアルミアローのポイント先端が屋根型(三角)だったのを砲弾型(流線型)に変更した時に提唱した呼称です。現在ではew mproved alance ullet はポイントの商品名になり、一般には「F.O.C.」(ront enter)と呼ばれる統一規格が使われています。

 簡単に言えば、矢の重心位置が矢の中央よりどれだけ(何%)ポイント側にあるか、ということです。最近ではNIBB の8%ポイントも販売されているようですが、最初はNIBB の7%ポイントと9%ポイントの2種類だけで、7%=レギュラーポイント、9%=ヘビーポイント の新しい呼び名だったのです。
 しかし現在 NIBBポイントが単なる商品名になったのは、当時もそうなのですが多くのサイズがあるシャフトでさまざまの長さにおいて、そのポイントを取り付ければ7%や9%の重心位置の移動が約束されると考える方がおかしいのであって、これらの名称は目安でしかありませんでした。そのため、現在では F.O.C.という測定の基準だけが残っています。
 最近のカーボンアローの場合、アウトドアで120グレインといったポイントを使うこともありますが、一般的には100グレイン前後のポイントを使用するアーチャーがほとんどであり、結果的には10数%のF.O.C.ということになります。しかし、アルミアローでは、例えば2014のNIBB7%ポイントで71.2グレイン、NIBB9%ポイントで89.8グレインですから、これを129.8グレインにするということはレギュラーポイントの倍近い重さのポイントであり、インドア仕様の特別のチューニングと考えるべきです。
 ということで、質問の NIBB9%は一般的なヘビーポイントであり、それよりも40グレイン重くする方法ということです。(その結果F.O.C.が何%になるかは、とりあえずは関係ないのです。) ともかくはヘビーポイントよりも1.5倍近い重さのポイントを使う矢を作りたいわけです。
   ところで、こんなシステム(?)を知っていますか。
   これも EASTON社が現在のACEシャフトの前身である ACシャフトを発表した後(1970年代中頃)に、そのチューニングの必要性から発売した商品です。これは簡単に言えば、粘土に鉛の粉を混ぜ合わせたような物をポイントのチューブの中に押し込むというもので、ACシャフトが撤退したのと併せて現在ではほとんど入手できないような商品です。
   ということで、まずポイントを重くする商品はあることはあるのですが、正直高いお金を払ってまでも使うほどのものでもないでしょう。
 では、どうするのか?  もっと安くで、簡単に出来る方法があります。
 適当な重りを探してきて、ポイント内に押し込めばいいのです。とは言っても適当な重りになるような物というと、比重は大きくてもタングステンなどの金属は一般的ではありません。となれば、やはり鉛でしょう。ハンダを使うのも良い方法なのですが、素材がスズですからちょっと量が多くなってしまいます。そこでポイントのチューブに入る鉛といえば、「釣りの重り」が簡単に入手できて値段も安いでしょう。
 その前に「40グレイン」とはどれくらいの重さでしょうか。grain は辞書で引けば「穀粒」や「微量」の意味が出てきますが、穀物の種くらいの重さからきた単位であり1グレインは米粒一個くらいを思えばいいでしょう。実際には 1グレイン=0.0648グラム ですから、40グレインは「2.592グラム」です。¥1玉一個が約1グラムです。
   そこで一家に一台「電子秤」か「天秤ばかり」があるといいのですが、今回は2014のポイントのチューブ部分に入る大きさということで、上の写真の「丸鉛02号」を使ってみます。
 この重りだと3個で約2.65グラムです。当然精密部品ではないので、重り自体のバラツキは避けられませんし、もしちょうどの重さに揃えるなら重目のところからカッターなどで削りながら調整するしかありません。とは言ってもポイント自体にもバラツキがあり、どの範囲を誤差と考えるかはアーチャーの技能や考え方にもよるでしょう。(丸鉛02号 一袋18個入り ¥80でした。)
 後は、この重りをチューブに入れて適当な金属棒(ドライバーなど)で叩き込んだら(鉛を押し潰す)終わりです。
 鉛を溶かして、と考える人もいるかもしれませんが、実際にチューブに入れた状態で加熱するとポイント自体の先端が外れてしまいます。もし心配であれば、重りをチューブに入れる時に、ほんの少しだけ「エポキシ系接着剤」を付けて叩き込めば取れることはありません。

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