サイト位置チューニング

 弓のチューニングに関する質問で、「サイトピンの位置が弓のセンターに来ないのですが・・・?!」といったことをよく耳にします。これは、自分の普段のサイトピン位置が弓の真中にないことや、逆にサイトピンを真中に合わせると矢がゴールドには飛ばないということを言っているのです。センターショットも合っているし、射ち方もそんなにオカシクないのに、というのです。
 本当にサイトピンはいつも完全に弓の中心線上にあるものなのでしょうか。これを気にするアーチャーの何人かは、サイトやクッションプランジャーのメーカーが書いた取り扱い説明書を読んで質問してきます。そこには最初にサイトを取り付けて射つ時に、センターショットとともにサイトピンもそのストリング上(弓のストリングを上下ともにリムとハンドルの真中に通したそのストリング上)に合わせて射つように説明されています。確かにこの方法は一般的であると同時に、初めて射つ場合などには安全が確保されるので正しやり方ではあると思います。そして多くの場合、サイトピンは結果として弓の中心線の近くに来ます。しかし中級者以上のレベルになり、実際のシューティングにおいては結果としてストリングとサイトピンが完全に重なることは稀ではないでしょうか。多分、このようなアーチャーは50%未満のようにも思います。
 なぜならフルドロー時のエイミングで、写真のようにストリングの中心から狙う(ストリングとサイトピンを重ねてエイミングする)アーチャーはほとんどいません。ストリングの右側かあるいは左側からサイトピンを見るわけです。そのことだけでも、すべてが一直線上に位置されることが難しいことは分かるはずです。そしてそれ以上に、完璧にスパインが合った矢(?)を使っているアーチャーは稀です。大なり小なり、硬目か柔らか目の矢を使っています。このようなことを考え合わせれば、いくらクッションプランジャーを駆使したとしても、おのずと矢はセンターより右か左に寄って飛んでいっても何ら不思議ではないのです。その結果、矢をゴールドに飛ばすためには、おのずとサイトが弓の中心より左右にずれてしまうものです。

 このハンドルは昔使っていた一本ですが、ウインドウ下部のレスト付近が薄く作ってあります。これはレストでのトラブルを回避するために、市販のハンドルよりこの部分を削ってクリアランスを大きくとってあるのです。最近は細いカーボンシャフトを使うためにこの種のトラブルは減っているのと同時に、ウインドウ自体も最初から昔より深く作ってある弓がほとんどです。
 このような細工はハンドルだけに限らず、リムや矢においても結構普通に施されているものですが(オリンピック選手が市販品と同じ物を使っていると考える方が間違っているのですが)・・・・。サイトピンの位置にしても、個人的にはスパインが硬目の矢を使うにもかかわらず、結果的にサイトピンが非常(異常)に中(右)に入る傾向があります。それは射ち方からくるものなのでしょうが、無風ならともかく、左から吹く風の時などはサイトピンとウインドウが重なって狙えなくなるので困ってしまうことがあります。そんな時のために、強度や耐久性が低下することは覚悟の上で、昔は市販品よりウインドウ全体が3mm薄いハンドルを使用していました。これは無風で射っている時でも、サイトピンが弓の中心より大きく右にずれていることを意味しています。このように、的中精度を求めた結果としてサイトピンが弓の中心位置からずれることはあるのです。

 話は戻りますが、新しい弓を始めて使う時はサイトピンもセンターショットに合わせると良いでしょう。しかし、中級者以上になればサイトピン位置でクッションプランジャーなどのチューニングを行ったり、射ち方に疑問を持つのではなく、的中精度を求めた結果のサイト位置がそのチューニングや自分のシューティングにとってのベストポジションと理解するべきです。

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