アーチェリーに必要な道具 (その壱)

 では実際にアーチェリーを始めようという時、道具は何が必要なのか?!
 アーチェリー(洋弓)というくらいですから、「ボウ」(弓)と「アロー」(矢)があればいいのですが、実際にはそれ以外にもいくつか必要なモノがあります。しかし、これから始めようかという方に最初から競技用や上級者用の道具は不要ですし、大事なのは「何を買って」、「何は借りたほうが良い」のかということだと思います。最初のフォームを覚える段階とレベルアップの段階、そして試合に出るようになった時とでは当然使うモノも道具の中身も違います。無駄なお金を使う必要はありませんし、始めてみてオモシロければ徐々に自分の道具を揃えていけばいいのです。
 そこで、まずは上級者が使う競技用の道具を簡単に説明したうえで、初心者の道具の話をしましょう。
 その前に、よく弓の「右用」「左用」の質問を受けます。↓この写真が「右射ち」で「右用」の弓です。弓を左手に持ちますが、これが「右用」「Right Hand」の弓になります。それともうひとつ、弓の「フェイス側」(フェイスサイド)というのは、顔側の面のことで、狙っている時に見える側です。これとは逆の側を「バックサイド」と言い、的側に面した側になります。
 ということで、これが競技で使う道具一式です。ボウアローにはそれぞれ付属品が取り付けられるので、この後でもう少し詳しく説明しましょう。
 そこでそれ以外の道具としては、次のようなモノがあります。
■ アームガード
 これは弓を持つ側の腕にゴムで取り付けるプロテクターです。皮製や樹脂でできたものなど、形もいろいろありますが、矢を放した時のストリングから腕を守ります。(初心者であっても上級者であっても必要な道具です。)
■ タブ
 フィンガープロテクターとして、ストリングを引く指に取り付ける皮製の道具です。これも弓を射つ時には必ず必要な道具ですが、初心者の時期には「グラブ(グローブ)」と呼ばれるストリングを引く3本の指にそれぞれかぶせる形の道具を使います。
■ ボウスリング
 アーチェリーでは矢を放した瞬間、ハンドル(ボウ)を握ってはいけません。弓を自然な状態に置くためですが、そうすると弓は手から離れて落ちてしまいます。そのため、弓を手の中にとどめておくために紐でハンドルを手に結んでおくための道具がこれです。初心者でまだアローを発射しない時期には使わないこともありますが、射つようになれば初心者であっても上級者であっても必要な道具です。
■ クイーバー
 アローを入れて腰に下げる道具です。皮や人工皮革でできています。上級者はたくさんのアローが入る形やポケットの付いたものを使いますが、初心者ではとりあえずは6本のアローが入れば十分でしょう。
■ チェストガード
 ストリングが胸や衣服に引っかかって出て行くのを防ぐための道具です。女性だけではなく、射ち方によっては男性も使用しますし、寒い時期に厚着をして射つ時にも必要な道具です。
 
 では、次に弓と矢の説明です。ただしここからの付属品は初心者では使わないモノがあったり、的中精度に直接影響するので実際にはもっと詳細な知識が必要な場合があります。そこでここでは概略だけの説明にとどめたいと思います。
■ ボウ(弓)
 大きく分けて「ワンピースボウ」と「テイクダウンボウ」に分かれます。
 ワンピースは読んで字のごとく、折りたたみできない一本の弓です。昔(1980年頃まで)は全部こんな弓でしたが、今は初心者が練習に使ったりレンジやクラブの備品として使われる弓しかありません。
 それに対してテイクダウンは、ネジや差し込み方式で弓を「ハンドル」部分と「リム」部分に分解できる弓のことです。この方式だと、持ち運びに便利なのと、弓の強さを変えたり傷んだ部分だけを交換できる長所があります。練習用ではハンドル部分が木製のものもありますが、競技用ではほとんどが金属のハンドルとなります。
 ハンドルに取り付けるリムは、ハンドルの上側に付けるリムを「アッパーリム」、下側を「ロワーリム」と呼びます。リムは木とグラスファイバーやカーボンファイバーで作られていますが、練習用では「グラスリム」と呼ばれる木とグラスファイバーの板を貼り合わせたものがほとんどです。逆に競技用ではカーボンファイバーを使った「カーボンリム」が主流です。そしてこの上下のリムの先端(「チップ」と呼びます。)に「ストリング」を張ることで「ボウ」(弓)になります。
 また、弓は引いた時に顔と向き合う面を「フェイス側」。それとは逆の的と向き合う面を「バック側」と呼びます。
 では、次にこのハンドルに取り付けられる道具です。
■ スタビライザー
 安定装置として棒状(ほとんどがカーボン繊維製)の先端にウエイト(重り)が取り付けられたモノの総称です。本数や長さの制限はありませんが、特に初心者ではまだフォームや筋力ができていないので、最初のうちは使わないことが一般的です。自分の弓を持つようになってから、自分に合った形状や重さを選択していきます。
 グリップ(ハンドルの握る部分)の下にあるものを「センタースタビライザー」と呼び、左右に別れたものを「サイドロッド」や「V バー」などと呼びます。また、サイトより上に取り付けるものを「アッパーロッド」などとも呼びます。
■ サイト
 これも照準装置(これで的を狙います。)の総称で、実際に的を狙う「サイトピン」やサイトピンを的方向に突き出すための「エクステンション」と呼ばれる道具から成り立っています。
■ レスト
 アーチェリーの場合、右射ちではアローをハンドルの左側につがえます。この部分を「ウインドウ」と呼ぶのですが、実際にはそこに取り付けられた「レスト」と呼ばれる金属や樹脂でできたツメの上にアローを置きます。

■ クッションプランジャー
 この道具は初心者で使うことはほとんどありません。自分の弓と矢を持つようになってから、アローを真っ直ぐ飛ばすためにレストの右側から出た「プランジャーチップ」の動く硬さを調節するための道具です。

■ クリッカー
 これも初心者が使う道具ではありません。アローを発射する時に、その長さを一定に保つための道具ですが、詳しくは後で説明します。

 
■ アロー (矢)
 現在競技では「カーボンアロー」が主流ですが(インドアでは「アルミアロー」がまだ多く使われます。)、練習用には「アルミアロー」が多く使われます。その理由は値段が安いのと、曲がっても割れないといった使い勝手の問題ですが、最近ではアルミより安いカーボンアローも登場し、折れない曲がらないといった長所から使用が増えています。
 アローは大きく分けて、「ポイント」(先端)、「シャフト」(棒の部分)と「ノック」(ストリングにつがえる部分)の3つに分かれ、シャフトには「ハネ」(ベイン)を貼り付けて使用します。アルミやカーボンと言うのは、「シャフト」の部分の素材を指して言います。
 
 これ以外にも、弓を置くための「グランドクイーバー」や道具を入れる「アローケース」などの道具もあるのですが、一応はこれだけ揃っていればアーチェリーができるということになります。

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