最初の質問に戻りますが、リムがどれくらいもつか。という時、それが「使えない、射てない」という「折損(折れ)」や「剥離(剥れ)」が頭に浮かびます。確かにそれは最終段階であり、交換・修理、有償・無償、クレームなどアーチャーにも納得なり我慢、あるいは諦めの判断がつく部分です。 |
ところが最近のリムを見ていると、このような最終段階に至る「寿命」は必然的に考えさせられるにもかかわらず、そこに達する前段階での問題が増えているように見受けられます。それは使用する以前の購入時点での「品質」の問題です。リムはストリングは張れて、射つことができれば、それで良いというものではありません。 |
近年この種の問題が起こってきた背景には、逆の意味での技術革新があります。テイクダウンボウが一般化し、そこに「ポンド調整機構」が1980年代後半から搭載されるようになってからです。簡単に言えば、昔は製品として提供される個々のリムをアーチャーは同一条件(同じハンドル)で使用することが前提でした。しかし、近年はリムとハンドルの接合部分の角度をアーチャーが調整することが可能になり、弓の強さやティラーハイトといった弓の基本性能にかかわる部分を変更できるようになってしまったのです。モデルによってはネジレに対しての調整機能まで有するハンドルがあります。それに加えて、最近はひとつのメーカーのリムを複数メーカーのハンドルで使用できるようになっています。 |
これは技術革新であり、アーチャーのチューニングの幅や可能性を広げるものではあります。しかし、逆に言えばこれほどメーカーにとって楽な状況はないのです。少しくらいバランスが悪くても、あるいは少しくらい捩れたリムであっても、出荷して後はアーチャーの責任に任せることも可能になったのです。すべてのメーカー、すべてのモデルがそうだとは言いません。しかし、そのようなリムが市場に出回っていることも事実です。 |
すべてをメーカーやショップの責任にすることは正しくないでしょう。家や車ほどは高価ではないにしても、10万円単位のお金を払うのですからアーチャー自身が知識を持って、品質やリムの素質を見極めることこそが必要なのではないでしょうか。決してリムは折れなければ良いのではなく、折れないのは最低条件にしかすぎません。リムもハンドルもです。 |