矢が通過する空間の大きさ、あるいはその時の矢と弓の距離(間隔)などを総称して矢の「クリアランス」( Arrow
Clearance )などと言います。では、アーチャーがそれを確認する方法はあるのでしょうか。 |
近年のカーボンアローのスピードは時速250キロにも達します。1秒間で70m近くを飛んでしまうのです。当然これだけの速さになると人間の目で直接その動きを見極めることは不可能です。市販のビデオカメラでも無理です。見ようとするなら1秒に10000コマを超える特殊なハイスピードカメラでなければ、正確な動きを確認することはできません。しかし、そのような機材を使用しなくとも、矢の発射の瞬間を間接的にではあっても確認する方法はあります。 |
例えば、カーボンシャフトでは分かり難いために意識することはないのですが、アルミシャフトを使用(上級者でもインドアでは使う機会があるでしょう)していると、ポイントから数センチの所にアルマイト塗装が磨耗して「線(筋)」が入ってきます。 |
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これは異常な状況や現象ではなく、アーチャーズパラドックスを理解していれば当然であり、まったく正常な結果です。矢は発射される瞬間にこの部分を強くプランジャーチップに押し付け、出て行くのです。問題はその反発として、どれだけ後方に位置するハネからノックのある部分が、レスト位置でそこから離れて通過するかということです。この距離がクリアランスです。 |
アルミシャフト同様に、昔はプラバネと呼ばれる硬いプラスチック製のハネを使っていたため、もしハネがウインドウにヒットするなどのトラブルがあれば的中と矢飛びに極端に反映されるため初心者でも問題を発見でき、技術の改善なり矢のサイズ変更を試みることができました。しかし今ではカーボンシャフトに加え、ソフトベインやクッションプランジャー、そして深いウインドウなどによって、どんどんこれらのトラブルが発見でき難い状況になってきています。それに加えての矢の高速化です。目視が不可能になることで、致命傷である弓具のトラブルが正確には認識されずに、単にアーチャーの技術的問題だけにその原因があるように言われてしまうのです。しかし現実には矢のサイズ(スパイン)や種類、あるいはストリングを含めたレスト回りの道具やチューニングを変えれば、的中や矢飛びは大幅にそして簡単に改善される場合がほとんどなのです。そうでなければ、あれだけ高価な最新のカーボンアローを使用していながら、こんなに当たらないはずがないでしょう。 |
まず普段使用している弓や矢を、注意深く点検してみましょう。 |
同じ位置のハネばかりが剥がれたり、同じ所にキズや汚れが見つかれば要注意です。それに併せて、レストのツメやプランジャーチップ、ウインドウ下部にハネやシャフトが当たっている跡はありませんか? もしこのような状況が見つかったり、見つからないにしても不安があるなら、こんな方法も試してみてください。 |
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当たっていそうな場所が分かっているなら(例えば●のような所)、そこに口紅や印鑑の朱肉などを塗って射ってみます。そうすれば、そこがどこに当たっているのかが発見できるでしょう。また逆にウインドウ下部やレストにベビーパウダーを降りかけ、粉の膜を作って射てばハネが擦っていれば発見することができます。 |
実際、カーボンアローになってからは素材の特性として振動吸収性がアルミに比べて飛躍的に向上したために、特に矢の後部がレストとぎりぎりの所を通過するようになりました。そのため、ほんの少しのスパインの違いやちょっとしたチューニングの不手際がここでのトラブルを発生させます。あるいは、上手くシュートすれば問題ないのに、ちょっとしたミスが大きく的中に影響を及ぼすということが普通に起こりうるのです。 |
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