いたみ

 「痛み」ほどすべての意欲をそぐものはないと思いませんか? 痛みはすべてを萎えさせてしまいます
 例えばある種のリハビリなどがそうなのでしょうが、身近なことではギックリ腰やひどい靴擦れが普通の人でも経験する大きな痛みの例でしょう。これらでも十分に努力や忍耐の意欲をそいでしまいます。にもかかわらず、なぜ多くのアーチャーは痛みに堪えながら練習に励もうとするのでしょうか。いくら情熱があったとしても、それを萎えさしてしまうのが痛みなのです。
 指の痛みがそうです。引き手の指にマメができて、水ぶくれや血豆になっているのに、それをこらえて練習するアーチャーがいます。指や肩が腱鞘炎だというのに射つアーチャーがいます。本当にそれで練習になりますか? 自分の身体をコントロールしたり、意識を集中することができるのですか? 
 もし道具で解決できることがあるなら、努力や金銭を惜しんではいけません。例えばタブの皮を一枚追加するのに、どれだけの時間とお金が掛かるというのでしょうか。それで痛みが消えるのであれば、ストリングの感覚や違和感などは犠牲にも値しない問題です。
 手や肩に痛みを持つアーチャーがいます。しかし、アーチェリーという競技の場合この種の怪我に見舞われる可能性は非常に低いものです。普通に引けば、普通に射てばこれらの問題は起こらないはずなのです。それでも起こったというのであれば、その最大の原因は引き方や射ち方がおかしいからにほかならないのです。であれば、痛みのない射ち方を試行するしかありません。ビタミン剤や消炎剤を多用するよりも、はるかに簡単な近道のはずです。
 ところで怪我や故障を自慢気(?)に話す選手がいます。言い訳なんかはっきり言って聞きたくなんかないですよ。トップになればなるほど、怪我や故障は人一倍背負っているもんです。でも、それを乗り越えるからトップになるんですよ。いちいち人に話す前に、もっと辛くしんどく練習しているんですよ。
 正しいアーチェリーとは痛みのないアーチェリーです。黙って痛くない努力をしながら、より多くの練習に励みましょう。

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