□ なぜ、「ピッチ系カーボン」なのか?! |
それはPAN系カーボンにはない「高弾性率」と「振動減衰特性」です。カーボン(炭素)繊維の弾性率が高いのは黒鉛構造(亀の子)にあり、それを発達させるために製造時の処理温度を変えます。カーボン繊維製造に用いられる処理温度は、2800℃〜3000℃が限界ですが、ピッチ系はPAN系に比べ同じ温度で高い弾性率を発現させることができます。PAN系では650GPa(ギガパスカル)が限界ですが、ピッチ系では800GPa以上にすることができます。 |
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□ そんなに凄いなら、なぜ今まで使われなかったのか?! |
メーカーの国内シェアなどの問題もあるのですが、最大の原因は価格です。今回使用する80tonグレード(800GPa)のカーボン繊維は、人工衛星の部品をはじめとした主に宇宙開発に使用が限定されているものです。高精度や振動減衰性などの特長を生かした剛性設計向きの素材なのです。唯一の弱点は圧縮強度が余り高くないため、一般に強度設計には不向きなことです。 |
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一般にカーボン繊維のグレードを表すのに「ton」の単位が使われます。これは弾性率を表示する目安で、応力・ひずみ曲線の傾きです。従って100%の伸び(つまり2倍の長さ)を与えるために必要な力ですが、実際には1%程度しか伸びないため、あくまでも変形しにくさの目安と考えればよいでしょう。ちなみのアーチェリー用品を含めたスポーツ用品全般で使われるのは、高剛性といってもPAN系の24ton(240GPa)グレードが一般的で、80ton(800GPa)グレードのカーボン繊維は、スポーツ用品では過去にゴルフシャフトや釣竿の最上級者向けモデルの一部分に使用された例がありますが、今回のように主要材料として使用された例は過去にはなく、画期的なカーボンスタビライザーです。 |
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PDFファイルですが、ちょっとこちらもご参照ください。 |
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□ それなら強度的に弱くないのか?! |
まったく問題はありません。もしピッチ系のカーボン繊維をリムに使用したなら、驚異的なカーボンリムが作れます。ところがその高弾性率の大きなメリット以上に、リムのような大きな変形や応力集中をともなうものには圧縮強度がデメリットとなり製品化が難しいのです。しかしスタビライザーのような道具に対して、圧縮強度が弱いことは問題にはなりません。それに汎用のロッドを転用するのでなく、スタビライザー専用に生産するなら繊維の方向や量を工夫することで高弾性と強度の両立、そして性能の付与が可能です。 |
それだけではありません。高性能、高品質のカーボン繊維を単に使っているということではなく、その性能を最大限に発揮するために日本の最高の生産設備と技術をもってして成型加工します。繊維が高性能、高品質なだけでなく、それを製品に加工する技術や品質管理も最高のレベルで行うのです。 |
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そこで昨年の夏以来、新日本石油株式会社
CF事業室 の全面的ご協力のもと、アーチェリーの世界では初めてピッチ系カーボン繊維、それも「80
tonグレード」をスタビライザーロッド用に設計、生産するべく準備を進めてきました。 |
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2004年2月末までには、みなさんにお届けできます。 |
ピッチ系カーボン繊維80
tonグレード(784ギガパスカル:NGF 日本グラファイトファイバー株式会社製)、外径23ミリ、表面はカーボンクロスをシートローリング製法で配した超高弾性アーチェリースタビライザー用カーボンロッドを製造。新潟県燕市の最高の金属加工技術によるインナーウエイトシステムを装備した、センタースタビライザー、エクステンションロッド、サイドロッドを作ってみます。日本の底力、本物のカーボン性能、日本の最新鋭、最高の技術を持ってして、日本のアーチェリーを支えます。そして世界のリーダーとしての日本のアーチェリーを守ります。 |
日本のアーチェリーのために、そして世界のアーチェリーのために、、、、もう少しお待ちください。ご期待を! |