アローカッターを作ってみよう

 「フレッチャーやアローカッターは個人個人で持っている道具なのですか?」、という質問を先日受けました。
 フレッチャーについては、選手なら持って欲しい道具のひとつなのですが(スピンウイングなどを使うなら、特に必要ない場合もありますが、、、)、選手に限らずアーチェリーに多少本気なアーチャーなら経済的な部分も含めて、持っていて損はない道具です。それに比べてアローカッターとなると、ちょっと難しいです。そんなに頻繁に個人が使う道具でもなく、クラブやレンジの備品としてあれば、そんなに不自由はしない道具でもあります。(ショップで借りるのは問題もあるかもしれませんが。。。)
 と、そんなわけですが、これまでにも数回「アローカッターを作ろうと思うのですが、、、、」という問い合わせを受けています。そこで今回は具体的な作り方ではないのですが、「アローカッター」がどういう道具なのかを紹介することで、逆に作られた方からご報告をいただければと思います。よろしくお願いします。

 この写真のアローカッターは、もう10年以上前にアメリカの友達に送ってもらったEASTON製のものです。同様のものは今でも海外通販で購入することは簡単なのですが、写真からもおわかりのように重さも大きさも結構あるので、当時でも本体価格が2万円も掛からないくらいなのですが、送料が同じくらいに掛かってしまうのです。。。 (^^ゞ
 そしてこの道具はカッターの刃が不可欠なのですが、付属品として予備の刃が5枚ほど付いていました。多分個人で矢だけ作るなら、年間2〜3ダースの矢を切ったとしても、1枚あれば死ぬまで大丈夫と思うのですが、ちょうど今回その予備の刃が最後の1枚になってしまいました。そこで、ちょうどそれが入手できたので、このページを書くことになりました。(とはいいながら今回始めて知ったのですが、購入した刃には「使用可能期限」なるものが小さく書かれているのです。4年くらいの余裕はあるのですが、たしかに古くなると刃が湿ってふやけたようになってきて、切れ味が落ちてくるようなところはあります。)
 ホームセンターでも普通に売っています。今回は立ち寄った工具屋さんにステンレス・鉄・その他金属用「BOSCH製」(台湾で作っているようですが)の刃が売っていました。1枚¥273。直径105ミリ、厚さ1ミリ、穴の直径15ミリのグラインダーの刃ですが、これでカーボンでもアルミでもシャフトが切断できます。これに回転するモーターがあればアローカッターは簡単に製作できるはずです。
 ここで矢の長さのことが気になるかもしれませんが、実は語られる矢の長さはアーチャーにとってはあまり意味を持ちません。例えば「27インチの矢」と言っても、確かにスパインを考える時にはひとつの目安とはなりますが、では27インチの矢はどこからどこまでの長さなのか? シャフトの長さが27インチ(68.5センチ)の場合もあれば、ノックの溝の底からポイントの先端までを指す場合もあれば、シャフトの端までの場合もあります。昔のEASTONのチャート表では、ノックの溝の底からポイントの肩までの長さとしていた時期があります。いろいろなのです。
 それにアーチャーは自分の矢を27インチや27半、といったきっちりの長さにしていることは稀でしょう。自分だけの長さがあるのです。逆に言えば、矢の長さを聞かれても「これ!」といって使っている矢を差し出すだけなのです。それが何センチ何ミリの矢なのかを知っているアーチャーは少ないはずです。ほとんど知らないのです。自分の使っている矢が基準であり、それを元に次の新しい自分の矢を作っているに過ぎないのです。これはストリングの長さにおいても、同じことが言えます。
 というわけで、アローカッターにカットの長さを決める基準のスケール(目盛)を貼る必要はありません。重要なことは、自分の矢の長さにあわせて、それと同じ長さに複数のシャフトをカットできる道具であれば、それで十分なのです。
 そう考えれば、アローカッターを作るのはそう難しいことではありません。土台も金属である必要はありません。木の角材(柱)にモーターを固定すればそれで十分です。みんなの矢を作るのではなく自分の矢を作るだけなら、そこに自分の矢の長さに対して、数ミリの微調整ができるL字金具でも付いていれば十分なのです。
 そこにシャフトの肉厚プラスアルファ(直径の1/4)程度の刃が出るインジケーターを工夫します。シャフトを置いて回転させる台です。(刃は上から下に回転してシャフトを切ります。)
 では逆側のノックを当てる部分はどうでしょう。
 これは先にL字金具と言いましたが、昔アルミアローの頃はこの部分にノックを入れて回転する金具が特別に準備されていました。しかし近年のアローカッターは、単に皿状にえぐった穴があるだけです。シャフトまたはノックが入るくぼみがあれば十分なのです。だから、小さい穴の空いたL字金具があれば十分なのです。それがスライドできて長さが変われば、言うことなしです。
 ということで、どうですか。1万円もあれば、自分専用のアローカッターが簡単に作れるはずです。ご報告、お待ちしています。

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