試合場の作り方(設営)

 これは個人というより、公式の試合やクラブの合宿用にご利用ください。
 今回設営に使った会場は、1988年京都国体が行われた「日吉町胡麻総合運動広場」。男子15的、女子11的のオールラウンド用の設営例です。スタッフ15名で、的とタタミと3mラインは翌日の試合当日に設営することにして、とりあえずはレイアウト完成まで「約1時間30分」。資材と脚はあるという前提で、早いですか? 遅いですか??

 試合場の設営は、資材と人手さえあればそう難しくはありません。あえて難しいことといえば、事前の「全体レイアウト」と「直角の出し方」です。直角さえ出れば後は簡単・・・・。(^^ゞ
 そこで直角を出すには昔習った、「三平方の定理」を使います。この定理はご存知のように「a²+b²=c²」というものですが、これを逆に使うと「三辺の長さについて、a²+b²=c² が成り立つとき、その三角形は直角三角形」となります。
 で、あまり難しいこと考えずに、結論からいうと今回(というか設営に)は「15m+20m=25m」をお決まりのオマジナイとします。最短60mの巻尺があれば試合場(直角)の設定ができるということです。

(15×15=225) + (20×20=400) = (25×25=625)

 では、始めます。まずは、基準となるポイント(点)なり線が必要なのですが、ここ胡麻総合運動公園は野球場にもなる多目的広場なので、野球のダイヤモンドが隅にあります。そこで今回はそのホームベースの位置を基準点として、一塁ベースへの線を的面ラインとして最初に設定します。的の並ぶ線を引いたうえで、直角に長方形をグランドに引きます。
 今回は90m(的面ライン)×100mの長方形をまずは作ります。
 先に説明しておきますが、これが全体のレイアウトのことですが的面ライン90mは「90m÷6m=15」ということで、最後に縦6mのレーンを15列作るためです。1レーンに2的立てるので、最大30的(下記の分離レーンは除いて)が設営できる試合場ということになります。
 たぶん皆さんが設営される会場もローカル大会が多いと思いますが、一応公式ルール(全日本アーチェリー連盟協議規則)では「1競技者について最低80センチの間隔が確保されなければならない。」「シューティングラインからターゲットラインに向かって直角に線を引き1個または2個の標的を設置するシューティングレーンを形成する。」「男子と女子の間には幅5〜10mの分離レーンを設ける。」などとなっています。
 もう片方の100mは、「ウエイティングラインは、シューティングラインの5m以上後方の位置に設置する。必要なときには、ダブルウエイティングライン等を設置することができる。」から、90mに対し5m間隔でウエイティングとダブルウエイティングラインを引く前提で考えています。ちなみに「距離の許容誤差は、90、70、60mで±30cm。50、30mで±15cmとする。」となっています。
 
ホームベースを基準点にして設営をめます。 一塁ベースに90mのラインを引きます。
 そして同時に三塁ベース側に100mの線を「とりあえず」引きます。このように直角(らしい)線があるといいのですが、このような線がない場合は、直角らしい線を「仮に」引くところから始めます。
 ここからが「逆三平方の定理」です。
 60m(15+20+25m)の巻尺を使って三角形を作って、その角に杭を打ちます。
 そしてその杭を目印に直角に90mと100mのロープを張ります。(しかしこの段階では、まだ「仮」止になります。
 次に同じ作業を、一塁ベース側に90m伸ばしたロープの先端で行います。この2点を結んだ線が的面ラインとなります。
 
 これでここまでが完成しました。

 しかし、ここで疑問に思われるのは、これが「長方形」ではなく「平行四辺形」にできあがっていた場合です。実際にはそうであっても、個々のアーチャーから的までの距離に問題はないのですが・・・。しかし問題ではあります。

 そこで右上角の「基準点」であるホームベースと対角に位置するポイントで、シューティングラインが90mあるかどうかと、的までの100mを確認して微調整を行います。今回はこの時点で30cmの位置変更を行いました。(90mのダブルウエイティングラインの長さが100m30cmあったということです。)
 
 ここまでできれば、もう完成同様です。これらの作業の間に他のスタッフは的を置く脚の配置や各距離のシューティングライン、そして6m幅のレーン引きの準備を並行して進めます。
 「競技場は、4角形に区切られ、各標的面の中心の直下の位置からシューティングラインまでを正確に計測する。」
 そのため、的面ライン前には脚の足を合わせるロープを別に張ると同時に、レーン内の的(脚)の中心に印を付けて脚を並べていきます。
 シューティングライン等は女子が最長70mで60mも必要なため、男女の境にレーンを空けてレイアウトを考えてすべてのラインを引きます。あとは、翌日3mラインを引いて、的を乗せれば完成です。
 最後にもっとも重要なワンポイントアドバイス。

 「船頭はひとり」でいいです。なんでもそうですが、船頭さんが多くてろくな事はないです。

では、がんばって!!

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