考えてみれば、アメリカの歴史(NAA)は去年創立100年を迎えた。一方、コンパウンドは発表されてまだ20年そこそこの歴史しか持っていない。ライフル射撃においてパーフェクトが出過ぎるといった状況が起こった時、協会ではターゲットを小さくすることだその問題を解決した。そのことから考えれば、今回の「壁」など当然彼らにとって予想していたことであろう。それをターゲットサイズの変更で解消するか、距離の延長あるいはリリーサーに対する制約強化、その他どのような手段で解消するかは我々の想像ではおよびもしないが、何らかの手段によってより一層の発展へと進んでいくことに違いない。 |
コンパウンドで自己新記録に挑戦したい |
ここでもう一度、私のコンパウンド観に話を戻し本音を言わせてもらうことにする。ここまで述べてきたことに対する興味とはまったく別に、実際射つようになってからは「楽しい」というのが実感であり本心である。今の私のコンパウンドには「当たった、外れた」の面白さがある。それはちょうど私が10数年前にリカーブボウを始めた頃に持っていた感情と同じものだ。言い換えれば私にとって、趣味のアーチェリーとしてのコンパウンドがあるわけである。ここまで言うと現在のコンパウンドアーチャーの方々に対し、大変失礼で申し訳なく思うが、それが実際の偽わざる気持ちなのでお許しいただきたい。 |
しかし、やる以上は練習量の多少、やる気の有無に関わらず、目標だけは高く持ちたいと考える。当然、それはパーフェクトであるわけだが、とりあえずはその前にリカーブで私の出した記録を努力せずにコンパウンドで破りたいと考えている。25Mは
’77年ジャパンインドアの294点、18Mは今年のラスベガスシュートの295点、そしてフィールドは
’78の全日本選手権で記録した494点を目標にしている。そしてもちろん、コンパウンドならそれが充分可能だと考えている。 |
ここでもう一度はっきり言っておきたいことは、コンパウンドとリカーブはまったく異なる世界に属するということだ。勝ち負けの次元はともかく、それらを両立させることは可能である。だが、リカーブのノウハウや感覚をコンパウンドに持ち込むことは、技術向上のうえで大変危険なことかもしれない。前述のとおり、リカーブから学ぶコンパウンドはないからである。そのようなわけで、これからコンパウンドボウをはじめられる方もその点に注意してもらいたい。そして今後多くの皆さんがコンパウンドボウを考え、シュートし、より大きな集まりになることを心から期待したい。 |
雑誌「アーチェリー」1980年8月号特別寄稿「我が国でもいずれは市民権を獲得するだろうコンパウンドはリカーブとまったく違う世界で生きている」 |
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20年前にコンパウンドを本気でやったこともあります。世界の頂点に立ちたいために、そして多くのことを学ばせてもらいました。今読み返しても言っていることは間違っていなかったと思います。いかがですか。 |