「ウエイト」⇒「シングル」⇒「ツイン」⇒「トリプル」⇒

「V バー」⇒「エクステンション ロッド」⇒「テトラ」

 もし人間が弓を射つのでなく、機械が射つなら微振動の解消など考える必要はなく、重くたくさんのスタビライザーを取り付ければ的中精度は向上します。しかし、生身の人間が使う以上は、いかに効率良くアーチャーへの負担を小さく、それでいてできる限り弓の動きを止める(固定する)かがスタビライザーとその組み合わせに求められるものとなります。しかし、これは相反する課題でもあります。

 「T.F.C.」や「ダンパー」と呼ばれる、スタビライザーの根元に取り付ける道具が開発されたのは1960年代です。しかし、それは画期的なアイデアであると同時にマイナスの要素をも含んでいました。なぜなら、スタビライザーとは動かない(動かさない)ことによってその役目を果たす道具であるにもかかわらず、「T.F.C.」や「ダンパー」はスタビライザーそれ自体を動かそうという道具なのです。これほどの矛盾はありません。
 ではなぜ、これらの道具が現在も生き続けているのか。それには2つの理由があります。ひとつはここで問題にしている「微振動の吸収」と「揺り戻しの解消」に大きな効果を発揮するからです。そしてもうひとつは、「矢をきれいに飛ばす」効果も合わせ持っているからです。「T.F.C.」や「ダンパー」はエイミング時に小さい振動を吸収しますが、発射時の矢がレスト部分を通過する瞬間において、弓にある程度の自由度も持たしてくれるのです。
 例えば、射つ時には弓を握るなと教えられます。それは、弓が動かないと矢に対して悪影響を及ぼすのに加え、弓に自然な動きを与えられないからです。「T.F.C.」や「ダンパー」もこれと同じ効果を作り出しています。たとえそれが、理論上マイナス効果であったとしても、人間の不完全性を補うには不可欠の条件であり、それによって一層の高得点が得られる可能性もあるのです。
 今一度、自分にとって、そしてより以上の的中を得るには何が必要かを考えてみてはどうですか。

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