基本的に、ダンパーはスタビライザー本来の「安定」とは逆の効果をもたらす道具です。なぜなら、スタビライザーは弓を動き難くするために取り付けるにもかかわらず、ダンパーはそれを動かしてしまおうというのです。弓の固定だけを考えるなら、ダンパーはマイナス効果しかもたらしません。まずこのことを理解しなければなりません。 |
では、なぜアーチャーはダンパーを使うのか? それはダンパーを弓の「ショックアブソーバー」(振動吸収器)と考えるからでしょう。しかしこの時吸収される振動には2種類あることも知っておかなければなりません。 |
ひとつは矢が発射される時の、弓の反発にともなう振動です。そしてもうひとつは、矢が発射されるより前の段階であるエイミング時の振動です。しかし多くのアーチャーはこの発射される時の振動が唯一のものと思っています。ところが、発射時の振動においても大きく2つに分けられるのです。ひとつはリリースの瞬間にリムが矢を射ち出すことで起こる大きなショック(振動)です。そしてもうひとつは矢が発射されレスト部分を通過した後の弓のバタツキともいえる二次振動です。このどちらもが実はアーチャーの身体が反応する時間を考慮すれば、矢は弓から完全に離れ空間に存在しています。ということは、これらの振動は弓そのものの性能に問題があって起こったものでなければ、なんら的中精度に影響を及ぼすものではないのです。 |
ただし初心者やレベルアップ段階にある中級者にとっては問題があります。例えばその時のショックや大きな音はアーチャーを萎縮させたり驚かすことによって正しいフォームの獲得を難しいものにしたり、間違ったフォームや技術を身につけさせる結果になることがよくあるからです。 |
では、もうひとつのエイミング時の振動とは何でしょう? |