「2001年宮城の旅」に、2000年に準備に行ってきました。そこで、ちょっと国体の話をしてみましょうか。
 
 21世紀の国体開催都道府県をどこまで知ってますか? 2001年宮城県、2002年高知県、2003年静岡県、2004年埼玉県、2005年岡山県、2006年兵庫県、2007年秋田県、2008年大分県、2009年新潟県、2010年千葉県、2011年山口県、と知っていましたか? このうち正式に内定しているのは2005年岡山県までです。あとは一応予定ということです。日本体育協会のマニュアルでは、だいたい開催年の6年前から自治体の視察が始まり、各競技団体においては5年前から審判員の養成がスタートします。それに併せていろいろな準備や強化が始まり、予算が付き金が動き、人間ドラマも始まるわけです。
 初めてアーチェリー競技が国体種目として正式に参加したのは、1980年(昭和55年)栃木国体からです。あれから20年に渡って国体は50・30mの競技で行われてきました。しかし昨年の1999年熊本国体からは初めての大幅なルール改正が認められ、国体はオールラウンド(90・70・50・30m)化しました。昨年はまだ成年Aや参加種別の旧ルールを一部踏襲した変則ルールでの実施でしたが、今年の富山国体からはまったく新しいルールの元でのスタートということになります。
 そして来年は21世紀最初の宮城国体です。そこで今回は本番会場を使った行政や町が一体となって参加する最初で最後の正式リハーサルということでした。試合は「第18回東北高等学校アーチェリー選手権大会兼第56回国民体育大会アーチェリー競技大会リハーサル大会」。仙台空港から北に三陸自動車道を通って約3時間、3つの村が合併して出来たという会場の「東和町」は、周りを山に囲まれた「源氏ボタルとキリシタンの里」が名物の「ウエディングベルが聞こえるまち」がキャッチフレーズの風光明媚な所です。しかし、そんな山間の町ですから大きな宿泊施設もないので、本番では選手および監督・コーチの皆さんは会場の周りの地元の方がたの家にお世話になる民泊となります(多分本番ではキノコがいっぱい食べられるかな)。ただし今回は民泊のリハーサルまでは含まれていなかったので、選手、役員ともに隣町の志津川町のホテルでの滞在となりました。この町はバレーボール競技の会場なのですが、本番の時もアーチェリー競技の役員だけはここから車で通うようです。

 そんな宿泊を除いては、今大会すべて本番を前提としたスケジュールで実施されました。(ただし、本番の個人戦は予選ラウンドの結果だけで順位が決定しますが、このリハーサル大会ではあえて第2日目に個人戦を設定しています。)
 
第1日目 6月23日(金)  9:00-10:00 受付・自由練習
     9:30-10:20 監督者会議
    10:30-11:10 開会式
    11:20-11:50 用具検査
    12:30-12:50 フリープラクティス
    13:00-17:00 予選ラウンド(男子90・70m/女子70・60m)
第2日目 6月24日(土)  8:30- 8:50 フリープラクティス
     9:00-12:00 予選ラウンド(男子/女子 50・30m)
    12:50-13:10 フリープラクティス
    13:20-13:45 個人女子1回戦(1標的2名 6射3回 32名)
      個人男子1回戦(1標的2名 6射3回 32名)
    14:10-14:45 個人男女2回戦(1標的2名 6射3回 16名×2)
    15:00-15:30 個人男女準々決勝(1標的1名 3射4回 8名×2)
    15:40-16:10 個人男女準決勝(1標的1名 3射4回 4名×2)
    16:25-16:55 個人男女決勝・3位決勝戦(1標的1名 3射4回 4名×2)
    17:15-17:40 個人表彰式
第3日目 6月25日(日)  8:30- 8:50 監督者会議
     9:00- 9:20 フリープラクティス(団体 男女70m 3分×2回)
     9:30- 9:50 団体女子1回戦(1組目) 1標的1校 9射×3回 8校
    10:00-10:20 団体男子1回戦(1組目) 1標的1校 9射×3回 8校
    10:30-10:50 団体女子1回戦(2組目) 1標的1校 9射×3回 8校
    11:00-11:20 団体男子1回戦(1組目) 1標的1校 9射×3回 8校
    11:30-11:50 団体女子準々決勝 1標的1校 9射×3回 8校
    12:00-12:20 団体男子準々決勝 1標的1校 9射×3回 8校
    12:40-13:00 団体女子準決勝 1標的1校 9射×3回 4校
    13:10-13:30 団体男子準決勝 1標的1校 9射×3回 4校
    13:40-14:00 団体男女3位決定戦 1標的1校 9射×3回 4校
    14:10-14:30 団体女子決勝 1標的1校 9射×3回 2校
    14:40-15:00 団体男子決勝 1標的1校 9射×3回 2校
    15:40-16:10 表彰式並びに閉会式
    16:10 解 散
 
 では、宮城まで3泊4日何をしに行ってきたかというと、県の競技力向上対策本部から「放送主任」なる肩書きの委嘱状を受け取ったのです。実はこれまでにも、日本全国いろいろな所で数100回を超える講習会をやってきました。そして、うれしいことに今でも年に数回は講習会の依頼やお手伝いのお願いを、各協会や学連の皆さんからいただきます。別にこれを仕事としているわけではないのすが、このホームページをご覧になってお分かりのように可能な限りお力になれることはと思って、いつもできるだけのことはさせていただいています。そんなわけで2001年宮城国体アーチェリー競技の会場となる「東和町」には、縁あって1997年にまだ会場の具体的な場所などが決まる前から講演会と地元の方がたを対象にした講習会で寄せていただいていました。その後も講習会で宮城県には数回来ていたのですが、そんなこんなで今回のお手伝いとなったのです。
 放送主任の業務なのですが、「競技進行における放送業務を円滑に行う」の元に、競技会当日までは @競技進行に関する放送原稿の作成 Aその他予想される放送原稿の作成 で、競技会当日は @競技進行上における放送 その他必要な放送 A緊急 臨時の放送は総務副委員長がその適否を判断したもののみ放送 B放送原稿の保管 とマニュアルにはなっています。が、それを知ったのは、現地に入ってからでした。というわけで、リハーサル大会というのに何の準備もなしに・・・・ということで (^^ゞ。
 熊本国体を見られた方は気付かれているでしょうが、国体もオールラウンド化に伴って試合中に実況中継のようなアナウンスがされるようになりました。実はこれがメイン(?)の仕事で、現地に行ってみると「ともかく試合を盛り上げてください!」という指示だったのです。
 ちょっと話は逸れますが、最近のアーチェリーに「ルールの整合性」(この言い回しは、知ってる人だけが知ってますが)なんてカケラもないと思いませんか?! 近代アーチェリー競技はオールラウンド(90・70・60・50・30m)のシングルラウンドあるいはダブルラウンドでの歴史が刻まれてきました。1972年、オリンピックにアーチェリー競技が52年ぶりに復帰してからも同様です。ところが、その流れが変わりだしたのが、1988年ソウルオリンピックでのグランドFITAラウンド導入からです。しかし、この時はまだ変則ではあってもFITAシングルの記録は残る方式でした。(各距離を9射ずつ行い、勝ち残っていく方式です) これに整合性が求められなくなってくるのは次の1992年バルセロナからです。そこから始まったNOR(ニューオリンピックラウンド)方式が現在に到る競技の原型です。そして今年のシドニーオリンピックでは、選手は70mしか射つことはありません。これはルールの整合性ではなく、ルールの「必然性」でしかないのです。何のための必然なのか? それは「見せるアーチェリー」であり、アーチェリー競技そのものの生き残り策なのです。時間短縮、意外性、テレビ写り、勝ち負けの明確化・・・・すべては競技者のためではなく、観客のために存在するルールです。例えば現在の団体戦は3分の中で3人のアーチャーが入れ替わり立ち代わりで各3射を行います。1分3射、1射20秒ということになります。これは国体も同じです。必然以外の何ものでもないのです。しかし世界ではどんな状況でも強い者が勝利します。あるいはアーチェリーの生き残り策に口をはさむ状況ではないことも十分に知っています。ただ、整合性を言うのであれば、それはルールの整合性ではなく、生き残りのための整合性だということを、アーチャーも役員も理解をするべきでしょう。そこを間違うとアーチェリーは、猿回し(差別用語?)以下の競技に成り下がっていきます。
 そこで話は戻って、お手伝いをしてくれた女性(仙台の女子大でアーチェリーをする)二人のお陰で、何とか3日間の競技を一応無事に終えることができました。それにしても、盛り上げろと言われても競技者双方に不利有利がでないように配慮しながら、なおかつ瞬時に現状を伝えるのは簡単なことではありませんでした。
 今回の大会にも次期開催県の高知や静岡の方も視察にこられていましたが、宮城県としては富山国体開催前ということもあり、まったく新しい経験が多くありました。そこで、このリハーサル大会の結果はと言えば「60%の出来で、大成功!」といったところでしょうか。正直、一年前とはいえ完璧にできる方が怖いというか、ここでいろいろな問題や予期せぬ出来事があることで今後の対策や問題点が見えてくるものです。現にこれが本番でなくてよかったというのが現場スタッフの正直な意見でしょう。だからこそ、21世紀最初の国体は大成功・・・となるわけです。放送主任も年が明けたら、ちょっと本気で考えます・・・・。(^_^;)
 
 と、ここで終わるとあんまりなんで。。。。
 とはいえ、ホームページネタを探しに行っていたわけではないのですが、せっかくですからちょっと国体の「裏」をお見せしましょうか?!!

 

 例えば、これまでの競技会場はすべての種別が同一場所で行われていたのですが、2001年はいろいろあって同じ場所ではあっても2ヶ所で男女別々に競技が行われます。基本的には既存の施設が使われるのですが、オールラウンド化によって約110m×100mという広いスペースが必要なため、今回は山の上側にある多目的グランドで男子が、そして下側にある野球場(ピッチャーズマウンドなどは撤去されています)で女子の競技が行われます。既存の設備ということで安上がりではあるのですが、役員や器材は倍必要になり、結果的にはより多くの負担が必要になっています。
 
 信号機なども2会場分必要になります。最初は世界のSEIKOが作って、1セット¥1千?百万で販売していたのですが、最近では近辺の開催県で借りてきたり、独自に製作する開催県もあります。この信号機も約1/4くらいで作られています。
 ところが、安くであげたからではないのですが、今回器材で一番問題が発見されたのが信号機でした。ブザーとデジタルの連動が上手くいかず、準備段階から製作業者の方は徹夜でした。ブザーと「同時」に動かなければならないのが、プログラムに1秒のズレがあったりと、ともかくは大騒ぎでした。アーチェリーの素人が作るのですから、リハーサルの重要性はあるんですよ。
 
 次は的ですが、これは「発明大将」をご覧ください。
 
 集計のためのプログラムも大変です。最近は各開催地で独自に開発することが多いようですが、ここ宮城でも Access画面から入力するソフトを独自に開発中です。
入力には地元の中学生が大活躍です。
 
 後はちょっと裏側だけを・・・。
ということで、世界もそうですが、国体も出てみましょうか?!

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