「HOYT」が犯した大きな過ち
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1912年1月30日 – 2002年5月25日 1月7日
1983年、「EX」ハンドルと「EX Custom」カーボンリムで世界をリードするヤマハに、矢速でも性能でも追い詰められ、成すすべがなかったHOYTが出した切り札が新モデル「GM」(Gold Medalist)でした。
しかしそれはコピーしたと言われても仕方がない、EXの外観そっくりなハンドルでした。そしてこの時、HOYTは自らが作り出した世界標準である「24インチ」ハンドルを捨てたのです。
ヤマハのショートとロングハンドルの中間サイズである、「25インチ」ハンドルというイレギュラーな仕様を出してきました。
これは1976年からFRPに変わって登場したCFRP(カーボン)リムになったことで、ハイテク素材で優位に立てないHOYTが、単純にハンドルを長くする(リムを短くする)ことで、リムのたわみを大きくし矢速を上げようとしたのです。
そしてもうひとつは、金型に多額の費用が掛かるダイキャスト製法において、2サイズの金型を製作することを避けたかったのです。
この時、HOYTおじさんはもうひとつ大きな過ちを犯します。
ちょうど3年前、「TD3」で初めて導入した「ポンド調整機構」(この時はポンドまでは行かず、ティラーハイト調整程度でしたが。)をポンドまで変更できるくらいの調整幅を持つ、新たな接合方式を取り入れました。それが現在の「ILF」(International Limb Fitting)と呼ばれる方式の原型になるものです。
現在使われている「ILF」は、「互換性」という名のもとに、アーチャーにとって使いやすくメリットのあるシステムのように思われています。しかしこれは弓メーカーにとっての利便性から生まれたものであり、決してアーチャーの要望ではないのです。そしてこれによってメーカーは、パンドラの箱を開けてしまいました。
例えば互換性以前に「GM」と前後して、リムのポンド(表示)はポンド調整機構があることで「2ポンド刻み」の偶数だけになりました。それまでのリムは1ポンド刻みで、ティラーハイトも表示ポンドもしっかり管理、調整されていました。
ところがポンド調整機能によって、メーカーは在庫が半分になり、品質や精度もユーザーの調整に委ねられたのです。2ポンドを動かす差し込み角度の変更は、本来の性能を厳密に維持するものではありません。これほどメーカーにとって都合の良い、いい加減で楽な仕様、生産方法はありません。
しかしそんな時、発売を急いだGMはハンドルの曲がりという致命的なクレームを起こします。そして金型変更などに追われる中、HOYTはEASTONに買収されるのです。
HOYTおじさんのHOYTはここまでです。ここからのHOYTは、巨大コンパウンドボウ市場参入のために、最高のブランド名が欲しかったEASTONの量産ラインの片隅に置かれます。
そして、EASTONはGMのクレーム対策に追われるのですが、ここで大きな出来事が起こりました・・・。
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