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そこで、もうひとつ矢速をアップさせるマジックがあります。弓の全長は同じで、ハンドルを長くするのです。
曲がらない部分が長くなれば、同じドローレングスならリムは大きくたわみます。しかしリムにバタツキが出たり、奥が硬くなったり、安定性に欠けたり、場合によっては耐久性にも影響するのですが、ともかく矢速はアップします。
これは1972年にHOYTがTD1を出した時から始まりました。HOYTは1983年にGMを出すまで、ハンドルの長さは一貫して「24インチ」で、これが世界のスタンダードでした。しかしそれを追うヤマハは非力で体格的に欧米人に劣る日本人向けに24インチのハンドルだけでなく、「26インチ」のロングハンドルを世界で最初に出したのです。
日本人のようにリーチの短い選手でもリムがしっかりたわみリカーブが伸び、短いドローレングスで高性能を発揮するように、最初から設計されたリムによる組み合わせです。この発想はアルミアローの時代においては、非力な選手だけでなく欧米の選手においても矢速がアップすることから受け入れられました。その結果、1982年のEXでヤマハはHOYTに完全に追いつきます。
HOYTがハンドル1サイズ×リム3サイズ。それに対するヤマハは、ハンドル2サイズ×リム3サイズです。
そこで追い詰められたHOYTは、EXのコピーとも言える形状のGMで自らが作った24インチのスタンダードを捨てるのです。矢速でも性能でもヤマハを超えられないHOYTの苦肉の策として、「25インチ」ハンドルというヤマハの中間サイズのハンドルを出すのです。
それから数年、日本をはじめとする比較的体格の小さい国(もちろん日本はその中でも上得意様です)のディラーからHOYTに要望が出されます。
HOYTが25インチハンドル1サイズにこだわったために、ヤマハに64インチがあるのに、HOYTは66インチが最短で女子が使う弓がないという苦情です。
そこでHOYTが上得意様の意向を受けて急遽作ったのが、当時のショートハンドル「23インチ」です。
しかしそれは64インチ用に新たに設計されたハンドルではなく、単に長さを短くしたハンドルに、それまでの25インチハンドル用のリムを取り付けるだけのやっつけ仕事でした。それでも2002年のヤマハ撤退によって24/26インチハンドルが消えた後、「25インチ/23インチ」ハンドルはILFに引き継がれ、現在のスタンダードとなります。
そして同様のマジック(小細工)は繰り返されます。現状のスタンダードの組み合わせで、一番長い弓は「70インチ」です。25インチハンドルにLリムです。しかし2m近い体格の選手で32インチを超えるようなドローレングスでは、70インチは短い場合があります。そのため数年前に登場したのが「27インチ」ハンドルです。ともかくはこれで72インチという新しいサイズができました。
23インチハンドルをやっつけ仕事で作った時と同じよに、72インチ用に設計されたというより、単に25インチ用に設計された従来のS/M/Lのリムが取り付けられる長いハンドルを作ったというのです。
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