有弓休暇(21)

 またまた突然の思いつきで、新潟まで行ってきました。
 来年2009年トキめき国体の会場である、燕市吉田ふれあい広場までです。6月20〜22日、この会場を使っての最初で最後の正式なリハーサル大会「北信越高等学校アーチェリー選手権大会」が本番と同じ形式、レイアウトで行なわれました。新潟とも縁あって1977年以来のおつき合いなのですが、それ以外にもたくさんの方とお会いでき、酒も魚も美味しかったです。
 そこで国体について書こうかと思ったのですが、これまた縁あって2000年に宮城国体について書いているのを思い出しました。ほとんどこちらに書かれているので、今回は特に目新しいネタはなく、ちょっと続編という程度です。(別にネタ探しに新潟まで行っているのではありませんから。)
 ただし、同じ国体でも大きく違うことがひとつあります。2001年宮城国体はアーチェリー競技が国体に正式参加した1980年栃木国体以来行なわれていた50・30mの競技がシングルラウンド(90・70・50・30m)になり、オリンピックラウンドと呼ばれるマッチ形式に変更された記念すべき(?)大会でした。しかし、その後も大きなルール変更がありました。2005年岡山国体からは今回行なわれたような「70m」のみのダブルラウンドとマッチ形式になっています。10年前に比べれば射つ距離がひとつしかない分、設営や運営が楽といえば少し楽かもしれません。
 そんな70mでの国体ですが、2009年は少なくとも長距離になってから初めてのことがあります。それは練習会場が試合会場に、同じ方向を向いて隣接しているのです。だからなに? と言われればそれまでですが、これまでの国体ではそんなに大きなスペースが取れないために、練習会場は試合会場から離れた別の場所にレイアウトされていました。ところが、そこは新潟。見渡す限りのコシヒカリの中に通常の倍のスペースが取られています。ただし、まわりは何もない平地です。風は両会場を吹き抜けていきます。まぁ練習で体感できるから、それはそれでいいのかもしれませんが。。。。
 そこで話題を変えて、実はこの燕市はここに書いているように刃物の町であり、プロセレクトプロジェクトで作っている金物は、この町のアーチェリーを良く知った工場で作っているのです。それも今回初めて知ったのですが、この会場が見えそうな目と鼻の先でした。
 そんなわけで今回はそんな金物職人さんや偶然樹脂関係に詳しい方ともお会いする機会に恵まれ、ちょっと話してきました。
 まずは金物職人さんとの話の一部ですが、最近とんでもなく金属素材の値段が高騰しています。ステンもアルミもすべてです。そこで海外から入ってくる素材は使わないんですか、と聞いたのですが。よほど特別の事情がない限り、この辺りでは安くても使わないというのです。もちろんこの工場では使いません。その理由は、信用できないというのです。例えば海外(例えば韓国や中国のことです)から入ってくる金属もJISやSASといった厳格な基準に準拠しているわけです。ところが実際に扱ってみると本来磁石が付かない金属が引っ付いたり、その逆が起ったりすると言うのです。その程度ならいいのですが、製品になっての使用中に突然強度不足で破断するものが出たりするといいます。そんな話をみんな聞いているので、精度と品質を売り物にする燕では、まずそんな中身の分からない信用できない素材は扱わないと言うのです。
 しかしアーチャーの皆さんは、「産地偽装」も「賞味期限切れ」もまったく心配いりません。最近のアーチェリーカタログには、最初からそんな品質やグレードに関する記載はないのですから。「アルミニューム」「ステンレス」「プラスチック」、そして「カーボン」が区別できれば、あとはすべて同じです。
 これは以前どこかに書きましたが、韓国のメーカーから「カーボンをコンテナ1杯」という問い合わせがありました。中身を聞いても回答がなかったので、当時親しかった新日本石油のカーボン関係の方に問い合わせたところ、この業界ではたしかに「コンテナ1杯」「コンテナ2杯」といった単位が存在するというのです。カーボン繊維などのハイテク素材になると、韓国や中国では簡単に作れません。そこで日本にオーダーが掛かるのですが、彼らはカーボン繊維のグレードや品質、状態は問わないというのです。コンテナ1杯分の素材の切れ端や品質が満たないものなど、何でもいいから購入して、それが釣竿やゴルフクラブ、そして○○などに化けて日本に帰ってくるとの話でした。
 次は樹脂屋さんとの話の一部。先日ノックのことを書いたので、「ポリカーボネート」と普通のプラスチック樹脂の見分け方があるのかを聞いてみました。ポリカーボネートとは、Wikipediaによると「透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性等において、高い物性を示す。エンジニアリングプラスチックスの中でも平均して高い物性を示す樹脂であり、かつ透明性をもつために光学用途に使用することもでき、その物性に比べて安価であり、自動車など輸送車両、電気電子、光学、医療機器などに広く用いられている。」とあります。少なくともバイターノックに使われている素材です。他のノックの素材が分からないから聞いてみたのです。答えは、「分からないでしょう」とのことでした。
 そこでポリカーボネートの業界団体に確認してみました。答えは「硬さ、光沢などの外観やチョットたたいたりした感触では分かりません。特殊な性質や特徴をだすために、ポリカーボネート樹脂に様々なプラスチックやいろいろの素材を混ぜた種類も多く使用されていますので、簡単に見分ける方法はありません。少し削って破片を外線分析にかけるのがもっとも簡単で確実な方法と思います。 」と、同じでした。われわれ素人が見た目には区別できないのです。同じノックでも、中身は分からないというわけです。
 うーん。世の中、知らないことや謎が多すぎるぅ。極めつけは、ゆるキャラ「トッキッキ」! オスが「とっぴー」、メスは「きっぴー」とのこと。ちなみに生年月日は、2005年11月17日だそうです。思わず、トキめきの新潟3日間の旅でした。

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