ノウハウ(1) ストリング

 ストリングのノッキングポイントにノックをつがえた時。緩かったり、きつかったりすることがあります。そんな時、試合場だったらどうするのか。きつい場合はよく「パッチンパッチン」とノックをノッキングポイントに入れたり外したりしているのを見かけます。きつい時はそれも方法ですが、、、
 一番簡単なのは、「ストリングワックス」をノッキングポイントに塗ってやることです。それでスムーズに出し入れができるようになります。では、緩い時はどうするのか。これが問題です。試合場に限らず、ノッキングポイントを作った時点で緩い場合があります。そんな時は「G17」を使います。黄色いゴム系の接着剤です。ストリングワックス同様に必携の接着剤です。ゴム系なので接着強度自体は余り強くありませんが、使い方によっては非常に便利です。
 米粒ほどを指先に取って、それをノッキングポイントに膜を作るように巻き付けます。そうすると乾けば表面に黄色いゴムのシート(被膜)ができて、緩いノッキングポイントも瞬時にいい硬さに仕上げられます。きつすぎれば指で押さえるか、爪で少し剥がします。これは緩い時だけでなく、普段でもノッキングポイント自体(ノックを挟む間だけではなく、糸を巻いたそのものに)にこの被膜を作っておけば、糸がほどけにくかったりずれにくく長持ちがします。
 ゴム系接着剤で被膜を作る方法は、ノッキングポイント以外にストリングのループ部分にも生かせます。上下のチップに掛かる輪の部分に、新品の時にコッテリと塗り付けて被膜を作ります。こちらはノッキングポイントのように手で触っていればすぐに使えるようにはならないので、1日くらいそのままで乾かします。新品のストリングループにゴムコーティングを施すわけです。
 こうすれば、ループの毛羽立ちを抑えられたり、細いストリングなら弦音を静かにさせる効果もあります。ともかく一家に1個、ゴム系接着剤でゴムの被膜です。
 ノッキングポイントですが、何個付けますか。ルールブックには「複数」付けることができるとあるのですが。一般的にはノックをつがえるノックの上側と下側です。多分多くのアーチャーはそのようにノックの上下に糸を巻いて、最後に瞬間接着剤を垂らして付けているのでしょう。
 ノッキングポイントを下なしで上側だけというのは、結構一般的です。ノッキングポイント自体が当たり前ですが全体の真ん中より上にあるために、ドローイングの時にズルッとフックが上に動こうとします。それを避ける意味と、それゆえ自然に上側に収まることから下側がなくても十分普通に使えます。この時下側のノッキングポイントは飾りであり安心だけです。
 あまり上下2個にこだわる必要もなく、上だけでもいいのですが、逆の使い方もできます。例えばノッキングポイントが下側だけで上がなければ、アーチャーは引いてくる時に人差し指側から下に押さえ気味でドローイングします。そうすると、アンカーリングした時にノックと中指側に少し余裕ができます。これによって「レストアップ」と呼ぶリリース時に矢を跳ね上げるミスを自然に抑えることができます。レストアップの一番の原因というか、矢を跳ね上げているのは中指です。ノッキングポイントを下だけにすることで、自然にノックと中指の間に無理のない隙間を生み出してくれます。
 ノッキングポイントは2個ある必要はなく1個でも十分に役目は果たすのですが、これを前提にもうひとつ注意が必要です。ストリングを張った状態はストリングは一直線ですが、ドローイングしてアンカーリングをするとストリングには徐々に角度が付いてきます。すると、最初上下にピッタリノックに張り付いているノッキングポイントは、フルドロー時には中指同様に少しの力でノッキングポイント自体がノックを跳ね上げることがあります。軽いカーボンアローや中指側に余裕がない射ち方では特にそうです。
 ノッキングポイント2個付ける場合の間隔は、フルドロー時のストリングの角度を想定するのと、もし1個だった場合自分は上下どちらを基準にしているかを知っておくべきです。

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