| アーチェリーの場合、右射ちでは右手の中３本の指でストリングの右側から弦をつかみ（掛け）引いてきて放し（リリース）ます。この時、子供の弓遊びのように人差し指と親指で弦を挟んで引いて放すなら問題はないのですが、実際にはストリングを右側から解除することによって、矢の蛇行運動が発生してしまいます。これが「アーチャーズパラドックス」です。 |
| この矢の蛇行は的中精度を求めるアーチェリーという競技においては決して有利に働くものではありません。できることなら、矢は真っ直ぐに一直線にゴールドに向かうことが理想です。しかし、そうするとひとつ大きな問題が逆に生まれます。それは矢をセットする時、弓のハンドル（ウインドウ）側に出っ張りが少ないようにつがえることでも分かるように、蛇行せずに真っ直ぐ矢が出て行くとレスト部分でハネがレストやプランジャーチップにヒット（接触）して矢の方向性に悪影響を及ぼしてしまうのです。 |
| アーチャーズパラドックスとは、本来あってはならない動きであるにも関わらず、それがなければ矢がきれいに飛ばないという相反する課題を担っているがためにこの「Paradox」の名称が与えられているのです。 |
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| この図は非常に基本的かつ理想的に矢がパラドックスを起こして、レスト部分を通過する時を表したものです。 |
| Ａ ：
弦がリリース（フルドロー）位置から復元する時の軌跡 |
| Ｂ ： 矢の初期運動 |
| Ｃ ： Bに対する復元（反発）運動 |
| ここで知っておかなければならないのは、ストリングハイト位置に弦が復元するまでは、ノックはつがえられた状態にあるのは当然のことですが、実際にはストリングハイトより２インチ（５ｃｍ）程度（これはストリングの素材や太さ、その他の要素によって変化します。）的方向に行ったところで実際には矢が弦から解除されます。そしてもうひとつ。そこまで弦と矢は動きを共にしてはいても、矢の先端部分のプレッシャーポイント（プランジャーチップ）とシャフトの接触は矢の先端２０ｃｍ程度で終わり、Cの時にはシャフトのポイント側は空間にあるということです。この時の矢とレストとの距離を「アロークリアランス」と呼びます。そしてこのようにして起こった矢の蛇行運動は、復元を目指して１８メートル程度は続くと考えてください。 |
| アーチャーズパラドックスは弓が矢に与えるエネルギーと矢の硬さの相対関係によって変化します。ストリングの条件を変えたり、プランジャーの硬さを変えれば矢飛びが変わるのは当たり前のことですが、仮に同じ弓具を使用したとしてもアーチャーの技術によって大きく変化してしまいます。そこで一般論ですが、下図のように硬めの矢は左に、柔らかめの矢は右に行く傾向があることも知っておいてください。 |
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| しかし近年カーボンアローが一般化したことで、そのサイズの選択やチューニングが昔のアルミアローの時代に比べて難しくなったのは事実です。 |
| その最大の理由はカーボン素材が本来が持つ振動吸収性の高さと反発力の強さによる復元力の高さ（速さ）にあります。①から③への移行のストロークがアルミに比べて小さくなり、シャフトのたわみ量も小さいために、よほどうまくアーチャーズパラドックスを制御しなければレスト部分でのトラブルが簡単に起こりうるということです。そしてそのようなトラブルが起こった場合に、矢自体の重さが軽いがために、簡単に矢の方向性が失われてしまうのです。 |
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| ともかくはこの程度の基礎知識は持ったうえで他のページをご覧ください。 |
