的中模索(前編)

 いや、あの、これはフツウの人にはあんまり関係ないことです。気にしないでください。悩みと愚痴の独り言ですから。
 それにしても目が見えない。一昨年のつま恋カップから後、そしてここ1年ホントに右目が見えなくなってます。もちろん若くはないので、老視です。老眼ではありません。正式名称は老視です。43年間ずっと毎日、炎天下も雨の日も風の日もサイトピンを見続けてきたので、その酷使も祟ってのことでしょうが、、、ここ1年ピンがぼやけるだけならいいのですが、左目は大丈夫なのに右目で見る像が左右にズレて2重に見えるのです。医者に言わせれば乱視ではないそうですが、エイミングは両目を開いても片目でするものです。その時、ピンも10点も正確に見えない=狙えないのです。これは致命的です。射てないことは、訓練と努力で克服できます。ところが見えないことは、本人の身体をもってしてだけではどうしようもないことを思い知らされています。
 そんなにしてまで射たなくてもいいし、やめちゃえば簡単な話なんですが。。。。
 
「独り言その1」
 40年の間では、眩しさを防ぐという意味で何度かサングラスにトライしたことはあります。しかし、これは射ち方というか個人的フォームの問題として、どんなメガネを使ってもフレームとサイトピンがギリギリの位置関係にあるのです。エイミングが長くなったり射ち方が悪いと、狙っている途中でピンにフレームがかぶってきます。物理的にメガネが使えない射ち方であり、使うことへの安心感もありません。メガネのアーチャーは尊敬に値しますが、、、メガネを使う人なら分かるはずです。サングラスを含め、メガネを手に持ってフレームギリギリから物を見ると、像が歪んでいることが分かります。ましてやレンズを少し傾けてやれば、この歪はエイミングの許容範囲を簡単に超えることが理解できるはずです。狙っているつもりで、正確には狙えていない可能性が生まれます。メガネ(レンズ)を視線に配する場合、理想は視線がレンズの中心を通ること、そしてその視線はレンズに垂直に通ることです。それが最も歪のない、鮮明な像を作り出す基本です。
 
「独り言その2」
 「Archer」良いです。 視力を補正するためにはコンタクトもありなのですが、個人的に違和感があるのに加えて、いろいろなことが試せるということでメガネにこだわります。そこでライフル用(射撃用)のフレームで試しました。とりあえず、これでメガネを使うことはできるようになったのですが、正直、これでもまだ視線はフレームの近くです。そこで最新モデルである同じメーカーの「Archer」というアーチェリー用(兼ピストル射撃用)のフレームを手に入れました。これは良いです。視線が完全にレンズの中心を通ります。それに普段近くを見る以外はメガネを必要とはしないので、試合中もずっと掛けっぱなしでオーケーです。前を見たり人と話す時はレンズは視線の外(横)にあるのですから、これは良いです。
視力の衰えと補正
視力の衰えと補正−その12年後
 
「独り言その3」
 メガネを使うようになって初めて、当たり前のことに気づきました。何不自由ない時は、当たり前が普通でした。エイミングという動作は視線という1本の直線の中に、ゴールドもサイトピンも、そしてレンズもすべてが存在するのです。最近ではコンタクトでも「遠近両用」なるレンズがあるようですが、メガネでもコンタクトでもこれらは視線の位置を動かすことで異なる視線の先に遠くの物(ゴールド)と近くの物(ピン)を置いているのです。厚みの違うレンズ(多焦点)のそれぞれを通して異なる場所を見ています。ところが、40数年何不自由なく1本の直線上でゴールドとピンを鮮明に見てきたエイミングという行為は、すべては目の筋肉(毛様体筋)が水晶体(レンズ)の厚みを変えることで瞬時に各距離に焦点を合わせていたのです。メガネのレンズがスコープのピント調整のように焦点距離を変えない限り、あるいは硬化した水晶体が元気にならない限りは、エイミング中に70mと1m先を鮮明に見ることは非常に困難なことです。
 
 「独り言その4」
例えば、老視と遠視はまったく違います。遠視も近視も目の屈折異常であり、網膜上にピントが合わないのですが、これらは焦点を合わそうという努力によって、あるいはレンズの力を借りることによってはっきりと物を見ることができます。レンズ(水晶体)の厚みが調整できるのです。ところが老視は違います。加齢によって水晶体自体に弾力性がなくなり、努力してもレンズの厚さを変えることができなくなるのです。屈折異常ではなく調整異常が起こっているのです。老視は比較的遠くは見えても、近くが見えなくなります。目の筋肉の努力だけでは、どうしようもないのです。
 
「独り言その5」
 では普通の目の時、エイミング時に焦点を合わすのは70m先のゴールドか1m前のサイトピンか。目の機能として、同時に2つのものに焦点を合わすことはできません。どちらかを鮮明に見ることは、片方の見え方をある程度犠牲にすることです。テクニックとしての方法論(一般論とは逆のやり方)はあるのですが、一般論としていうなら、遠い方(的)に焦点を合わすべきです。その理由は、目の筋肉が弛緩した状態は、目の焦点は無限大になっています。パソコンや本を読んで目が疲れるのは、目の筋肉が働くことで水晶体を厚くしています。目の機能、疲労、そして集中力を考えれば遠くを見ることが自然であり、40数年のアーチェリーの基本もそうでした。当然、その時にはサイトピンの見え方は1m先に焦点を合わせた時とは異なり、多少ぼやけたものになります。そのため、そのぼやけたピンを少しでも良く見るために、サイトピンへの工夫が重要になります。
 
「独り言その6」
 遠視でも近視でも、そこには水晶体の厚みを変えるという調整機能が残っています。屈折異常はレンズ(メガネやコンタクト)の力を借りて、補正することができます。エイミングに不自由はありません。ところが老視は水晶体自体が単一焦点レンズになることです。レンズの厚みを変えられないために、メガネを掛けても、はっきり見える距離は限定されます。1m先のサイトピンを正確に見る時には、70m先のゴールドはピンを見れば見るほどにぼやけたものになるのです。これをどこで折り合いをつけるか、メガネの度数をどうするのか、、、もう少し試行錯誤が必要です。老視の方ならわかるでしょう。近くをはっきり見るためのメガネであればあるほど、そのまま遠くを見ればぼやけて見えません。手前をある程度犠牲にすれば、遠くもそれなりに見ることができるのですが・・・
  (つづく)

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