的中模索(中編)

 いや、あの、ここもフツウの人にはあまり関係ないことです。悩みと愚痴の独り言です。ただし、老視のアーチャーや、老視になってもまだアーチェリーをしようかという人には、ちょっとだけヒントです。
 それにしても老視に限らず、ピンが見えないということは、物理的に狙えないことが問題ですが、集中力の欠如というか、精神的に集中が持続できないことが同じくらいに大きな問題であることに気づきます。それと、最後の最後まで狙い切るという、リリースの瞬間の後までピンを見るということもできません。困ったことです。。。
 
「独り言その7」
最近流行りの「レーシック手術」も老視には効きません。レーシックはレーザーを使って角膜の屈折率を矯正することで網膜上に焦点を合わせます。そのため、近視や遠視、乱視には効果を発揮するのですが、老視は屈折異常ではなく加齢による水晶体の弾力低下からくる機能不全です。そのため、同じように遠くが見えて、近くが見づらい「遠視」と「老視」では根本的に違います。遠視はもともとの屈折異常で網膜の後ろに焦点が合います。そのため近くが見づらいのであって、遠くがより良く見えるわけではありません。それに対し老視は水晶体の調整機能が衰えることで、近くに焦点が合わせられなくなるのです。遠視は老視になりにくいわけではありません。自覚しやすいかどうかの違いだけです。
 
「独り言その8」
 アーチェリーを始めて40数年。ずっと毎日遠くばかり見ていたので、視力は左右共に「2.0」かそれ以上で、遠視でもなく「正視」です。90mでの矢の的中位置も30mで10点のリングも、裸眼で見ることが何不自由なくできてきました。もちろんサイトピンに焦点を合わすこともできました。ところがパソコンや近くの字が見づらく、メガネを掛けるようになったのが、確か宮城国体の頃なので2001年、47歳頃。とはいっても、サイトの目盛りは見づらくなっても、射つことには何の不自由もなく7〜8年は過ごせたのですが、、、どうしようもなくなってきたのが、2009年からです。持っているメガネは4つとも「アンダーリム」と呼ばれるフレーム形状で、手元以外はすべて裸眼でOKです。ともかく手元を見るためのメガネです。
 
「独り言その9」
 「老視」に対しての勝手な思い込みと、間違った認識がありました。老視は遠くはそのままで、近くが見えづらくなります。その原因は水晶体が硬くなり、凸レンズになりにくくなるからです。近くを見ようとしても、その調整ができないのです。ということは、基本的にメガネを掛けるなら近くがよく見えるレンズ(それを人は「老眼鏡」と呼びますが)を選びます。しかし老眼鏡をお使いの方なら分かるでしょう。近くを見やすく、よりハッキリと見るためには度のきつい(凸レンズの分厚い)メガネを掛けるのですが、手前が見えれば見えるほどそのまま顔を上げると、遠くはよりぼやけて見えません。市販の遠近両用メガネとは、異なる視線が前提でそれぞれの視線の通るところの度数を変えてあります。ところがアーチェリーの場合は、1本の視線上にサイトピンもゴールドもあるわけです。ひとつのメガネ(レンズ)で遠近両用を満たすには、どこで折り合いをつけて、どこでそれらの鮮明度を納得するかです。
 
「独り言その10」
 眼科の処方箋には「遠用度数」と「近用度数」を書き込むところがあります。遠用度数は通常「5m」より遠くが見やすいように、近用度数は「30〜40cm」くらいが見やすいように設定されます。近くは新聞などを渡されて、普段どのくらいの距離で物を見ますかといわれ微調整ができます。遠用も事情を話せば、眼科にあるレンズだけ入れ替えるメガネで70mくらい離れた物を見ながら合わせることもできます。ここで大きな思い違いがあったのは、「狙えない」ことは的(遠く)が見えないのだと、勝手に思っていたのです。確かに昔より的は鮮明ではありませんが、最大の問題は近く(サイトピン)が見えなくなっていることだったのです。
 
「独り言その11」
 そんな単純なことに気づくのに約1年。手元にシューティンググラス用の度数の違うレンズが4枚と、普段の老眼鏡(?)のメガネの度数が2つ。「0.5」「0.75」「1.25」「1.5」そして老眼鏡が「1.75」と「2.0」です。最初、遠用度数にある「0.5」「0.75」付近で試していたのですが、的がすごく鮮明に見えるわけでもなく、またピンもぼやけたままで、裸眼よりは気持ち楽な程度で本気のエイミングには程遠いものでした。不自由がない時には気づきませんが、エイミングができないということは、ピンを媒体とした「集中力」が欠如することであり、当てることへの「執着心」もぼやけます。
 
「独り言その12」
 処方箋の「近用度数」は「2.25」ですが、実際にはパソコン画面や普通の作業をするには「1.75」がベストです。しかし、もう少し近く40センチ程度での細かい字や作業をするには、正直「1.75」では見えず、「2.0」以上が不可欠です。ただし、「2.0」だと顔を上げた時には、レンズの中はぼやけて見えます。掛けっぱなしでいるには、遠近共にすこし妥協をすることになりますが「1.75」が快適ということになります。そこでサイトピンです。通常のエクステンション(8インチ程度)を使って狙う場合、ピンは目から90センチくらいになります。そこに焦点を合わせるのには、前後の度数も試したうえで、今のところ「1.5」が良さそうです。
 
「独り言その13」
 老視の場合、ともかくは近くが見えなくなるのですから、近くのサイトピンを見えるようにすることが基本のようです。ただし、近くを鮮明にすればするほど遠く(的)がぼやけるという矛盾が生じます。そこで10インチやそれ以上のエクステンションバーという方法もありそうなのですが、インドアならともかくアウトドアではピンを止める技術なり条件(風や体力)を考えた時には現実的ではなさそうです。となれば、ピンを見えるようにしながら、遠くと近くの鮮明度にどこで折り合いをつけるかです。そうなればこれと並行して、サイトピンそのものの大きさや色を考える必要があります。
 (つづく