ストリングサイト

 アンカーリングして、エイミング中に目の前(鼻の先)にあるストリングを視界のどこに置くかが 「ストリングサイト」(弦サイト) と呼ばれるものです。現在のルールではダブルサイト(照準点を2個以上持つこと)は禁止されていますが、実は1960年代終わりまではピープサイトを含めたアイマーク(ストリングに付ける印)は認められていました。そのため禁止されるまでは、多くのアーチャーが何らかのアイマークを使用していました。その理由は簡単です。より高い的中精度を求める時、ライフル銃同様2点照準は最高の状態を生み出してくれます。逆に言えば、1個の照準点で狙う行為ほど精度の悪いものはありません。そこでアーチャーは許されるルールの中で、より良い状況を作るためにストリングサイトを考えついたのです。

 では、あなたはストリングをサイトピンの右側に置きますか、それとも左側に置きますか?
 確かにピープサイト(弦に取り付ける穴の開いた部品)を経験した頃のアーチャーでは、それを禁止された後も 弦の中から狙う(意識)選手も多くいました。現在でもそのようなアーチャーは皆無ではないのですが、非常に少ない数です。それに、意識はともかくとして現実問題としてストリングをピンに重ねると、正確なエイミングがおこなえないのであまりお勧めではきません。結論として多くの日本のアーチャーは、ストリングの右側からゴールドを狙っています。

 この割合は近年減る傾向にありますが、それでも約80%のアーチャーは写真のような状態でゴールドを見ているはずです。しかし、だからといってストリングの左側から見るアーチャーであっても、心配する必要はまったくありません。なぜなら、例えばアメリカのアーチャーの80%以上が日本とは逆にストリングを右側に置いてシュートしています。
 この原因は単純なことで、日本では初心者指導の段階でこのように教える(まったく教えられない場合も多いのですが)からであって、アメリカのマニュアルはその逆になっているだけのことです。では、どちらの位置が良いかとなると、どちらも一長一短があるため一概にはいえませんが、もしあなたが長年アーチェリーを経験しているなら、今さらこれまでのやり方を変える必要はありません。

 ストリングの右側から狙う場合の長所は、まず顔を的面に真っ直ぐ向き合わせようとする意識が生まれ(また持ち易く)るため、アンカーや首から上を安定させ易いことがあります。真っ直ぐにガッシリとエイミングする感じです。そして、エイミング中も顔向きが変わり難い特徴があります。それに対する左側からのエイミングでは、安定という感覚より流れが作り出し易くなる長所があります。クリッカーを鳴らすための伸びる感覚がつかみ易くなります。また、引き手の位置も決め易くなります。しかし、顔向きが変わってきてもストリングがピンにかぶさってくることは少ないため、ストリングサイトのズレに気付きにくい欠点もあります。
 このようにどちらが優れるとは断定できないので、アーチャーは自分の求める感覚や技術によって選択するしかありません。しかし、どちらであっても注意しなければならない点は、リングに重ねることは避けなければなりませんが、逆にあまりリングから遠い位置で合わせるのではなくほんの少し隙間が開く程度の位置にストリングを置くべきです。それは自然な顔向きとともに、ストリングサイトがズレてきた時に認識し易いからです。しかし、もっとも重要な点は、ストリングサイトをピンをゴールドに置く時のように神経質なほどの意識をもっておこなう作業では決してないことです。初心者の時には大きな意識は必要です。しかし、その時期が過ぎればエイミングという作業の中でストリングサイトを合わせる作業は、あくまで「無意識」の中で処理できるように心掛けるべきです。無意識の中の意識ですそのために見易い、あるいはハンドルカラーとは反対色のストリングを使うのも効果的な方法です。

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