ストリングの伸縮性とフレミッシュストリング

 このようなストリングを見たことがありますか?
 「フレミッシュ」と呼ばれる、サービング糸を一切使わずループもセンターサービングもすべてストリング原糸自身を編みこんで作るストリングです。技術もこれ専用の道具も必要です。
 現在の高密度ポリエチレン繊維が登場する前の、1980年代前半までのケブラー繊維の時代に考案された(実際にはもっと昔からあったのですが)ストリングの作り方です。
 なぜこのようなストリングが考案されたかというと、この方法で作ったストリングは一般的な作り方のストリングに比べて切れ難かったからです。しかし、この方法で耐久性が大きく向上したのは実はストリング全体が伸縮性を持ったからで、その分ストリングハイトは不安定でした。

 最近ではまれにループ部分だけサービングを巻かないで使用するアーチャーを見かけます。ケブラーストリングの時代でもそのような方法(ループ部分だけサービング糸を巻かない)で作られたストリングもありました。それはサービングでケブラー繊維を圧迫しないために、耐久性が向上したからです。強く巻き過ぎれば切れ易いということです。
 しかしストリング原糸が直接リムに触れると問題もあります。ループ部分が極端に細かったり、硬い(?)繊維が直接リムのチップ部分を支えることでリムのカーボンやグラスファイバーといった素材は大丈夫でも、芯材である木芯(カエデ材など)やチップの補強材であるフェノール板などの樹脂がストリングによって侵食されていくのです。その結果、最悪の場合はリムのチップ部分が折れてしまうことがあります。また逆にチップは大丈夫でもリムの木芯が減った分、そこにあるカーボンやグラスの板がナイフ(刃)状にチップから突き出すことでループ部分からストリングが切れてしまうこともあります。
 一般的には、ループ部分にはサービング糸の保護が必要であると同時に、ある程度の太さもなければなりません。場合によってはループ部分だけ、サービングを2重や3重に巻くことも良いでしょう。

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