有弓休暇(8)

 昔むかし、アメリカに初めて行った時、スーパーマーケットで売っている「少年マガジン」のような肉に大感動したものです。「ジャンプ」や「チャンピオン」ではありません。
 それ以来、アメリカに行けば必ずスーパーマーケットとショッピングモールへは出かけるのですが、あなたはアメリカで「アーチェリー」を売っているのを見たことがありますか? これから行かれる方のためにも言っておきますが、まずありません! 我々がするアーチェリー用品は、まず入手不可能と考えた方が間違いありません。
 では、アーチェリーの本場アメリカにおいて、アーチェリー用品はどこで売っているのか? ですが、、、、、
 
 まず、「アーチェリー」というスポーツをアメリカで語る時、[ Backyard sports ] [ Backyard archery ] という言葉を耳にすることがあります。これは言葉のとおり、アーチェリーは家の裏庭でする、あるいは楽しむスポーツだということを言っています。たしかにアメリカでは都心を除けば、家の裏に5mくらいは、場所によっては30mや90m射てるスペースがあることも特に珍しいことではないでしょう。逆に言えば、日本のように必ずアーチェリーはレンジ(練習場)でする、という方が珍しい状況なのかもしれません。そしてもうひとつ。アメリカではアーチェリーは、決まった距離から紙に書いた丸い輪を一日射つ、というのは非常に珍しい行為なのです。
 たしかにまったくの初心者がアーチェリーを始める場合、それが学校やスポーツクラブのプログラムであれば、日本の多くのアーチャーがするような指導を受けます。しかしそこから一歩踏み出した時、アメリカでは日本とはまったく違うアーチェリーの世界が広がっているのです。
 それが証拠に、裏庭でアーチェリーを始めてみよう、あるいはそこで親が息子にアーチェリーを教える時、道具はどうするのか?
 多分、大きなショッピングモールのスポーツ用品売り場か、スポーツショップで弓を買い求めるでしょう。ではその道具はどんな弓か?
 一般的なショップでアーチェリー用品を見つけることは至難の業のため、それを説明するのは難しかったのです。ところが今回、アリゾナ州ツーソンで「Sportsman’s Warehouse」なるスポーツショップを見つけ、行ってみたのです。アメリカでこのような大きい専門店を見つけるのも結構大変なことですが、このショップは最近チェーン展開を積極的に進めているスーパーマーケット並みのデッカイ店です。すでに全米20州に50店舗以上を出店しています。正直これほどのスポーツ店に行ったのは初めてでした。
 これまでL.L.Beanの直営店も、Cabela’sの本店にも行ったことはありません。しかし多分それらはあったとしても、アウトドア用品、あるいはウェアや雑貨の中にアーチェリーが位置付けられていると思うのです。ところがこの店のコンセプトは、中心にハンティングやフィッシングがあるアウトドアライフなのです。
 ということは、アウトドアのキャンピングやウェアと対等にナイフや銃、そしてアーチェリーがあるのです。その分量も内容も、ちょっとハンパではありません。
 それにしても、どうしてこうも剥製が好きなんでしょう。。。。
 ということで、アメリカでアーチェリーといえばハンティングであり、それはコンパウンドボウのことなのです。州や地域によっては、銃より先に弓での狩猟が解禁になる地域もあるようです。ビッグゲームでは当然、万一のために弓と一緒に銃も持参します。楽しみ方も、使い方も多種多様です。日本でそれを置き換えれば「釣り」のような世界です。海、川、湖、釣堀、ルアー、楽しみ方はいっぱいあるし、競技だけでもない。日曜の早朝は竿を持った中学生が自転車で走っているし、釣堀の外にオッサンの車が並んでいる。何百万人という潜在人口があるわけです。
 アメリカでリカーブボウ、それもオリンピック競技用などはありません。X10もACEも、ありません。そんなものの需要自体がないのです。2億人の中の6000人は、通信販売かそんな小さなメーカーから貰っているのです。2億分の数百万人は、みんなカモフラージュ模様の滑車の付いた弓で、家の裏や野山でアーチェリーを楽しんでいます。苦労してメダルを首にかけて貰うより、壁に掛かった首の方が嬉しいと思っている連中が圧倒的に大多数なのです。そのためにもまずは、パック入りのセットでバックヤードからスタートします。
 そうなんです。あなたのやっているアーチェリーの方が、ホントは特殊であり異常な競技なんですよ!
 そんなわけで、有弓休暇でアメリカまで行って買ってきたのが、インドア用に5インチの鳥羽根12枚1袋@$3.99×3袋とそれを貼るフレッチタイト1本$2.50 でした。安いですか、高いですか。。。。

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