ドローインジケーター

 簡単にいえば、クリッカーとは発射の時に矢の長さを一定に保つための道具です。アーチャーはクリッカーのセットしてある位置まで矢を引き、ちょうどその長さに達した時にリリースするわけです。ということは、基本的にはクリッカーがセットしてある位置はそのアーチャーにとって射つための「理想」の位置でなければなりません。では、ここではその位置の見つけ方は別にして、理想とされる位置が決まっているとして、アーチャーはドローイングのたびにその場所までどのように身体を持っていくのでしょうか?

 理想から言えばアーチャーはドローイングのたびに、いちいちクリッカーを見て引き込みを確認する必要はありません。なぜなら、そのセットされたクリッカーの場所が適切で理想の位置であるなら、アーチャーは理想のシューティングを心掛ける限り自然とフルドローではポイントの先端までの、残り数ミリ(2〜3ミリ)でクリッカーは待機するはずです。ベストの状態(凄い記録が出るような場面)では、多分多くのアーチャーはクリッカーをいちいち見ることなくシューティングに専念しているはずです。しかし、残念なことに多くの試合では風が吹いたり、雨が降ったり、あるいは天候がベストコンディションであっても緊張していたりするものです。このよう状態では自分の身体の感覚だけを手がかりに数ミリの位置を毎回確保するのは簡単なことではないのが普通です。
 こう考えれば、アーチャーがドローイング時にクリッカーの位置を確認することはごく自然の行為であり、逆にこのことを手がかりとして普段の理想のフォームを思い出し近づく努力をするべきです。

 こんな道具を知っているアーチャーはもう少ないでしょう。 「CLICKER POINT」 と呼ばれる EASTON社純正のアルミアロー用ポイントです。1977年に世界最強であったダレル・ペイスが使ったことで世界中に広まりました。しかし、形状からも分るように跳ね返り矢が多発したため、一般にはあまり受け入れられることなくその後の BULLET POINT(NIBB)に道を譲ったのです。

 しかし、この形状こそが長年アーチャーが戦い続けてきた「数ミリ」に対するひとつの結論でもあったのです。クリッカーポイントを使うことでアーチャーはドローイングからアンカーリングの時、残り数ミリにクリッカーを見れば大きく板(クリッカー)が動くのを簡単に感じることができるのです。
 クリッカーを巧く使おうとするなら、ドローイングからアンカーリング、そしてフルドローに至った時、クリッカーを見るか見ないにかかわらずクリッカーの位置はポイントの先端まで少なくとも2〜3ミリにあることが非常に重要です。そしてその間も意識と力の流れはクリッカーを鳴らすために伸び続けています。
 この条件を満たすべく、もう一度この板の使い方を考えてみましょう。

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