ノークリッカー

 クリッカーを使わずに射つことを「ノークリ」などと言います。
 では初心者を除いて、ノークリッカーで試合に出ているアーチャーが今の時代にいるでしょうか? 皆無と言い切ってもよいでしょう。今ノークリッカーで試合に出ることは、アルミアローでオールラウンドの試合を戦う以上に無謀であり、意味のないことです。
 クリッカーはカーボンアロー同様に、今の競技レベルにおいては不可欠な道具であり、初心者の時期を過ぎればクリッカーを使わずに努力をするよりも、それを使いこなすための努力をすることの方が大切であり、それがレベルアップのステップです。

 魔法の道具である金属の切れ端を、誰が最初に使い出したかは知りません。しかし確かなことは、ノークリッカー最後の世界チャンピオンは1967年アマースフォートにおける レイ・ロジャース(USA)です。
 24SRT-X 1916 29 1/4インチ、70インチ-46ポンド。世界記録を1230点まで3度更新。クリッカーの有無とは無関係に、このバラの刺青の入った腕を見れば世界とは何なのかを納得させられるはずです。

   あれから30余年。クリッカーはアーチャーにとってはなくてはならない道具になってしまいました。しかしカーボンアロー同様に、それが必需品となった瞬間から道具はどのように使いこなすかが重要であり、スポーツは技術とパワーに回帰するのです。
   1967年。ロジャース、31歳の美しく力強い勇壮を見ることで、アーチェリーの本質を思い出したいものです。
 どんな技術もパワーの中にしか存在しないのです。
 

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