それでも、まだ「ベアシャフト」によるチューニングにこだわるアーチャーのために、ちょっと昔の(とは言っても、ベアシャフトチューニングも同様の時代から行われてきた方法ですが)方法を紹介しましょう。 |
これは1970年代終わりにアメリカのエド・エライアソンやシグ・ホンダによって紹介された、ベアシャフトチューニングをリカーブボウ向けにアレンジした方法で、原形はフランスから伝わったためこのようにも呼ばれます。どの程度役立つかはアーチャーの判断にまかせますが、通常行われるベアシャフトでのチューニングよりは素人には分り易いかもしれません。 |
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ただし、どのようなチューニング方法であってもそれが完璧にすべての状況に対応して個々に応じたベストの状況が作り出せると考えるのは、大きな間違いです。どんなチューニング方法、メソッドもあくまでガイドであり、今の置かれている状態の傾向を示すものにしかすぎません。そのためアーチャーはここで与えられる情報をもとに、個人に適したアレンジや次の新たなチューニングを行う必要があります。 |
そこで今回の案内は、まったく白紙の状態ではなく一応のチューニングが施された弓において、その傾向を知る手掛かりとして話を進めます。(また、カーボンアロー用に多少のアレンジを加えますが・・・)
そのため、あなたが現在使っている弓と矢、ストリングハイト、ノッキングポイント、サイト位置、その他すべてが設定されているものとします。(今回必要な物は普段のアローケースに入っている物一式と同じ矢でハネが付いていないシャフト1本です。) |
では、風のない暖かい日にレンジに行きます。ただし、レンジは長距離の射てる、そして大きな畳の的か的面から矢が外れても畳があるようなレンジがいいでしょう。 |
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1)普段射っている2本のハネの付いた矢(マスターシャフトと呼びます)と、同じサイズ同じ長さでハネの付いていない1本の矢(これが一般に言うベアシャフトであり、ここではチューニングシャフトと呼びます)を準備します。 |
2)10Mの距離から一応サイトを合わせたうえで、マスターシャフトでゴールドを狙って射ちます。(もし80cm的でエイミングポイントが曖昧になるようなら、インドア用の的を使ったり、別にエイミングポイントを書いてもいいでしょう。)
そして、その後続けてチューニングシャフトを射ちます。これを何度か繰り返します。ただし、この時マスターシャフトは必ずしもゴールドに当たる必要はなく、サイト位置は上下を基準に合わせ、左右の位置は動かす必要はありません。 |
この結果、3本の矢がグルーピング(ゴールドに当たると言うより、3本の矢が集まること)した場合はその弓とあなたの技術に対して、その矢が適正な範囲に属していると同時に満足なチューニングが施されているとされます。それは実際の距離(30M以上)での矢飛びが悪くても、クッションプランジャーやストリングなどの調整で修正が可能な範囲にその矢のスパインがあるということです。 |
3)もし、この時マスターシャフトのグルーピングに対してチューニングシャフトだけが外れる場合。チューニングシャフトが毎回左に行く場合はその矢(スパイン)が硬めにあることを表わしています。この時はクッションプランジャーのテンション(バネの強さ)を弱めてください。逆に毎回チューニングシャフトが右に行く場合はその矢が柔らめにあることになります。この時はテンションを強くします。このようにして、まず3本の矢が一応のグルーピングを示すまでチューニングを行います。 |
この時、硬めの矢は実際の距離でも的中においては満足が得易いのですが、どちらかというと柔らかめの矢は矢飛びに関わらず満足なグルーピングを得難い傾向にあります。そして、もしこの10Mでのチューニングの結果、満足なグルーピングが得られない場合は矢そのものの選択をやり直す必要があるかもしれません。 |
4)ここまでは通常のベアシャフトチューニングと同じですが、ここからが「French
Method」のファイナルチューニングです。 |
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ここからは実際の距離を射つので、大きい畳(122cm的が貼れるような)を使用します。そして畳の頂点付近(122cm的を□型ではなく、◇型に貼った場合はその上の角をエイミングポイントとするのも良いでしょう。)にエイミングポイントとなる印を書きます。その後、今度はマスターシャフトをあるだけ持って10Mの距離に立ちます。この時マスターシャフト間の精度的なバラツキは無視しますが、ハネやノックが真っ直ぐ適切に装着されていることを前提とします。そして先ほどのサイト位置で上方にあるエイミングポイントを狙って1本目の矢を射ちます。もし、技術的に不安がある場合は、エイミングポイントより少し下に的中するようにサイトを修正してもかまいません。ただし、この後は距離に関わらずサイト位置の変更は行いません。 |
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5)この後、射つ距離を5Mずつ伸ばしていきます。ただし、サイト位置は動かさず、エイミングポイントは10Mで狙ったのと同じ位置とします。ということは、距離を伸ばすごとに矢の的中位置は下がっていくことになり、アーチャーは矢が地面に当たる寸前まで(畳がそこにある必要がありますが)距離を伸ばして同じシューティングを心がけます。ここでも分るでしょうが、アーチャーによる実射はその技術的要素が大きく影響を及ぼすため、アーチャーは自分自身の状況を冷静的確に判断する必要があります。そのため、この距離を伸ばしての実射も最初の10Mでのシュート同様に何度か繰り返して、自分の作り出す「パターン」を見つけ出すようにしましょう。 |
6)この結果、「French
Method」では次の5つのパターンのどれかに該当するとしています。(これらはすべて右射ちアーチャーの場合です。)
ただし、ジグザグになったり予想される的中位置から極端に外れる場合は、矢に欠陥(ハネやノックが真っ直ぐに付いていないことも含む)があるかそのサイズ(種類やスパイン)の選択自体に問題があるか、もっと初歩的にはアーチャーの技術が未熟である時です。 |
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