季刊 アーチェリー Vol.1 創刊号

昭和46(1971)年7月10日 発行

発行所 株式会社 阪本企画室

編集人兼発行人 阪本斉治

これを知ってる人はよっぽど・・・・
知らない人は、ここから日本のアーチェリーがブームに・・・・・・

表 紙  キャッチコピー これからブーム・新しいレクレーションスポーツ  
特 集 @ 世界選手権選考会レポート  
特 集 A フィールド・アーチェリー  
裏表紙 YAMAHA ARCHERY  
  YG68・66 ¥50000 / YFU68・66 ¥31000  
  YEU64 ¥21000 / HJ58 ¥25000  
  アーチェリーセットA ¥12000  
注) ちなみに「HJ」はハンティング用の弓です。
  表紙

モデル:日比野マリ

撮 影:吉野富士彦


自分の道具が欲しくなったら
   何回か射場にかよううち、必ず自分の道具が欲しくなる。また、貸弓具は大ぜいの人が使うので傷みもはげしいから、練習用としてもやはり、自分の道具をもつ方が理想的であることはいうまでもない。しかし、自分の・・・・・  
で、理想的必要最低限の道具として挙げてあるのが          
  弓 ヤマハYA   ¥7000          
  矢 6本@750   ¥4500          
  サ イ ト   ¥1500          
  レ ス ト   ¥500          
  グ ラ ブ   ¥650          
  アームガード   ¥500          
  クイ―バー   ¥1000          
  ボウケース   ¥2000          
  合 計   ¥17650          
そしてこの創刊号の価格が32ページあって一冊たった¥150・・・      

キミのフィールドはココ! (フィールドコース案内)
  ここでは6ヵ所のコースが紹介されてますが、すべてレンジ料が一日¥1000です。今でもあるの?  
谷川岳の山ふところで   猿ケ京 国際アーチェリーレンジ   上越線「後閑」
変化に富んだコース設計   嵐山フィールドコース   東武東上線「武蔵嵐山」
梨園のひろがりの中に   市川フィールドコース   総武線「本八幡」
温泉もあるんだヨ   宮ノ下フィールドアーチェリーレンジ   東海道線「小田原」
裏木曽の自然をそのままに   椛の湖アーチェリーレンジ   中央線「坂下」
京阪神アーチャーのメッカ   多賀レンジ   近江鉄道「多賀」
   椛の湖、多賀に続いて、秋には新甲子温泉・白河高原フィールドアーチェリーレンジがオープン予定。さらに札幌、小樽、ほたか、北竜湖、沼津にも建設計画がもち上がるなど、フィールドコースはチョッとしたブーム。  

この記事はすごい!!
  人工狩猟場でマガモを射る  
  全日本弓猟連盟会長 板井 一雄  
 
 数年前、女性をまじえボウハンティングの仲間数名と福島県田村郡都路の山奥へカモ猟に出かけた。たしか、10月だったからまだカモ猟解禁前である。しかしわれわれの行先は、日本ではじめて試みられた人工の狩猟場だったのである。
 ゲーム(獲物)に使われるマガモは米国から輸入された養殖マガモで、一種の家禽である。当たり前に飼育したのでは、ほとんど飛翔力がないのだが、これを特殊な訓練によって、網小舎から池まで一定のコースを飛ぶように馴らしてある。網小舎から池までは約800メートル、この間を高さ10メートルから30メートルで一直線に飛行し、どんな危険な目に合っても(矢や散弾が近くをかすめても、飛び上がるほどの銃声がとどろいても)逃げたりせず確実に池に到着するように訓練されている。この飛行中のマガモをアーチェリーで射落そうというのである。ハンターが待ちかまえているところへ確実にゲームが飛んでくるのだから、ハンティングとしては邪道かもしれないが一年中、好きなときにボウハンティングを楽しめるのは何といっても魅力である。現在では、この猟場は閉鎖されてしまったということだが、まことに残念なことである。さて、私は北海道のエゾ鹿や内地の小動物を弓矢で射止めた経験は、35年の弓猟歴ではいくらでもあるが、飛ぶ鳥を射たことはこれがはじめての経験。仲間もみなはじめてなので、前夜は宿でカモの習性や飛翔速度など、猟の話を語り明かした。そして、当日。中秋の朝。霧はかかっていたが、天気は上々、宿から猟場まで1キロ半の道、心はすでにゲームとの出会いにはずんで軽い足どりで山道を登った。途中、縄文時代の黒燿石の矢じりを発見、原始時代の狩猟を思い、幸先がよいと喜ぶ。狩猟は、小舎から池までの間の起伏のある草原。トランシーバーで連絡して、2、3羽カモを放してもらい、コースや速度をたしかめて作戦をたてる。
 いよいよ本番、弓を袋から出して空引きを2、3回、体調を整える。矢をつがえて待つ。これからゲームとの出合いだとなると、いくらボウハンティングのキャリアがあっても、やはり胸がどきどきする。灰色のメスガモが、まず2羽飛び出した。われわれが狙っているのも知らず、いつものコースを飛んでくる。一斉に矢がはなたれるが、当たらない。カモはどこ吹く風と池の方は飛んでいく。1分間隔ぐらいで、2羽、3羽と小舎から飛び出してくる。ハンター全員、必死にゲームと戦うが、緒戦は矢数つき、ついに戦果なし。用意した3ダースほどの矢を射尽くして全然当たらないのだから、いささか自信喪失といいたいところだが、このくらいでは一向にへこたれない。矢の回収のために小休止。もう一度挑戦することにする。
 ”今度こそは・・・” カモに対する狙い越しの要領は大体見当がついた。まず森の梢を越えて姿を現したころ、フルドローに構える。そのままスイングしながら狙いをつけて引きつける。距離20〜30メートル、角度は50度位が、カモに対する向矢。追矢、狙い越しと、次々と矢を放すが矢がかすって、羽根が2、3枚フワフワと落ちるだけで、半矢にもならない。しかしまさに数射てば当る。ついに的中、空にパット羽根が飛び散り、20メートル位の高さから、池の方へドスンと落ちる。それっとばかりに駆けよれば、青首の立派なマガモのオス。散弾銃などでは味わえない醍醐味である。続いて、苦労の甲斐あって、数羽の猟果があがる。
 昼は、近くの農家で射止めたばかりのカモ汁の宴。猟果を自慢し合う。楽しいボウハンティングであった。
  こんな平和な時代が日本にもあったのですね。  

ところで当時の記録ですが、
 第26回ヨーク世界選手権大会 日本代表最終選考会、5月29・30日の両日にわたって、愛知県尾張旭市の森林公園弓技場で開かれた。
  世界新記録 2  / 日本新記録 53  
   世界新 (男子) シングルラウンド 中本新一  1252
   世界新 (男子) 50mシングル   中本新一   320
  ここから世界の日本がはじまったのです!!  
     
     
     
     
     
     
     
  36ポンド / ダクロン / 1816アルミアロー  
  6インチのスタビライザー2本で「1252点」ですよ!!  
そして全国に目を向けると・・・・
全日本春季大会 (50m・30m)
関東大会 (4月25日/新日鉄グランド)
    青年男子                   少年男子        
1位   若槻伸栄   (東京)   622       1位   佐藤正之   (東京)   513
2位   前田栄一郎   (東京)   605       2位   池田公典   (神奈川)   501
3位   広瀬 明   (神奈川)   594       3位   二宮正吾   (神奈川)   492
4位   川西大介   (東京)   588       4位   大石陽一   (神奈川)   465
5位   森 五郎   (東京)   584       5位   沢 春生   (神奈川)   464
    青年女子                   壮年男子        
1位   田中 巴   (神奈川)   374       1位   四十万文男   (群馬)   524
2位   奥山冨美子   (東京)   351       2位   渋谷清司   (神奈川)   492
3位   島田和恵   (東京)   331       3位   広瀬 昭   (神奈川)   492
                    4位   高橋睦宏   (神奈川)   491
                    5位   河野憲太郎   (新潟)   487
                                 
関西大会 (4月25日/西京極陸上競技場)
    青年男子                   少年男子        
1位   梶川 博   (大阪)   603       1位   亀井 孝   (京都)   607
2位   杉本 茂   (大阪)   594       2位   西川京二   (大阪)   594
3位   塚本耕二   (京都)   589       3位   松本雅一   (奈良)   553
4位   中本新二   (兵庫)   581       4位   小路明司郎   (大阪)   552
5位   西村栄蔵   (京産大)   576       5位   倉田 浩   (大阪)   521
    青年女子                   少年女子        
1位   岩井淳子   (大阪)   496       1位   井上典子   (京都)   507
2位   大岡富美子   (立命大)   483       2位   岡本里枝子   (兵庫)   488
3位   飯田厚子   (京都)   464       3位   田辺さつき   (大阪)   488
4位   清水美鈴   (大阪)   418       4位   石田富佐栄   (京都)   461
5位   阿部元子   (京大)   395       5位   堀江真理子   (兵庫)   458
    壮年男子                            
1位   野草忠邦   (兵庫)   521                    
2位   曾我部実   (大阪)   520                    
3位   谷口辰三   (兵庫)   508                    
4位   明石速雄   (兵庫)   497                    
5位   南  武   (大阪)   478                    
                                 
中国・四国大会 (5月25日/広大西条)
    青年男子                   少年男子        
1位   白石博一   (広島)   558       1位   桑原政司   (広島)   475
2位   田村重夫   (広島)   558       2位   川中隆男   (広島)   471
3位   寺本秀晴   (愛媛)   547       3位   田中真二   (広島)   461
4位   加茂義一   (広島)   545       4位   佐村田和司   (広島)   457
5位   中野宏道   (広島)   539       5位   栗原晋作   (広島)   417
    青年女子                   少年女子        
1位   長山敬子   (広島)   503       1位   佐藤倫子   (広島)   385
2位   榎村和恵   (広島)   488       2位   笹尾喜久美   (広島)   357
3位   笹木尚子   (広島)   466       3位   檜谷万里子   (広島)   325
4位   西本レイ子   (広島)   447       4位   吉政次枝   (広島)   281
5位   正見章子   (広島)   443                    
    壮年男子                            
1位   清水 修   (広島)   500                    
2位   高原 滋   (広島)   475                    
3位   神山茂夫   (山口)   433                    
4位   末松 孝   (山口)   412                    
知っている人がいるでしょう。シーラカンスのように・・・
で、学連に目を向けると・・・もうなくなった大学もあれば、あの大学は???
1971年度 リーグ戦
    関東男子一部                         関東男子二部        
1位   早稲田大   5-1   4162.2             1位   慶応大   5-0   4451.2
2位   東海大   4-1   4187.4             2位   相工大   4-1   4451.2
3位   学習院大   2-3   4036.8             3位   東京農大   3-2   4237.4
4位   明治大   2-3   4113.2             4位   日体大   2-3   4094.2
5位   成城大   1-4   3927.8             5位   専修大   1-4   3967.8
6位   芝工大   1-4   3990.2             6位   成蹊大   0-5   4043.8
    関東男子三部                         関東男子四部        
1位   拓殖大   5-0   4289.0             1位   武蔵大   4-0   4089.3
2位   明学大   4-1   4309.4             2位   青学大   3-1   3795.0
3位   工学院大   3-2   4217.8             3位   法政大   2-2   3810.3
4位   立教大   2-3   4171.8             4位   教育大   1-3   3627.0
5位   玉川大   1-4   4142.2             5位   一橋大   0-4   3606.0
6位   上智大   0-5   4065.2                          
    男子入替戦                                  
一部   慶応大       勝ち             二部   拓殖大   勝ち    
    芝工大       負け                 成蹊大   負け    
三部   武蔵大       勝ち                          
    上智大       負け                          
    関東女子一部                         関東女子二部        
1位   学習院大   5-0   2?48.4             1位   立正女子   4-1   2176.6
2位   日体大   4-1   2454.2             2位   立教大   3-2   2063.2
3位   成蹊大   2-3   2272.2             3位   明治大   3-2   2102.6
4位   日本女大   2-3   2256.0             4位   上智大   2-3   2126.8
5位   玉川大   1-4   2151.6             5位   明学大   2-3   2051.4
6位   成城大   1-4   2253.2             6位   青学大   1-4   1926.4
    女子入替戦                                  
一部   立正女子       勝ち                          
    成城大       負け                          
                                       
    東海一部                         東海二部        
1位   中京大   5-1   4535.0             1位   愛知工大   1-0   4329
2位   名城大   4-1   4?79.2             2位   大同工大   0-1   4069
3位   名学大   3-2   4263.2                          
4位   愛知大   2-3   4154.6                          
5位   愛知教大   1-4   4190.6                          
6位   南山大   0-5   3959.8                          
    東海女子                                  
1位   南山大   5-0   1480.6                          
2位   愛知大   4-1   1447.4                          
3位   愛知教大   3-2   1338.0                          
4位   中京大   1-4   1142.4                          
4位   名城大   1-4   1221.0                          
4位   東海大短大   1-4   1181.0                          
                                       
    関西男子一部                         関西男子二部        
1位   桃山学院   5-0   4670.6             1位   京都産大   5-0   4563.2
2位   神戸大   4-1   4486.8             2位   大阪府大   4-1   4490.0
3位   同志社大   3-2   4487.8             3位   関学大   3-2   4334.8
4位   大阪学院大   1-4   4335.8             4位   立命館大   2-3   4344.6
5位   大阪工大   1-4   4355.0             5位   追手門大   1-4   4290.2
6位   関西大   1-4   4330.4             6位   甲南大   0-5   3995.0
    関西男子三部                         関西男子入替戦        
1位   京都大   5-0   4270.8             一部   京都産大   勝ち    
2位   近畿大   4-1   4356.0                 関西大   負け    
3位   大阪市大   3-2   4216.8             二部   京都大   勝ち    
4位   龍谷大   2-3   4?86.4                 甲南大   負け    
5位   大阪経大   1-4   3?86.4                          
6位   大阪外大   0-5   3309.4                          
    関西女子                                  
1位   梅花女大   4-0   2507.3                          
2位   甲南大   3-1   2483.0                          
3位   同志社大   2-2   2465.0                          
4位   帝塚山大   1-3   ???7.5                          
5位   神戸大   0-4   2193.0                          
当時は男子8人、女子5人、メンバーチェンジありの6射7分の学連ルールでしたね。

そして最後に、
「全国組織・団体・射場・道具店一覧」
 ブームといっても、まだ一般に知られていないアーチェリー。この道にいそしもうというキミにとって、だから一番の悩みのタネは、どこでどうやってということ。ここにつつしんで、全国の全情報を提供する。
 とあるのですが、例えばここに掲載されているプロショップと呼べる店は東京で5店、大阪では3店です。それに対して今の「雑誌アーチェリー」に載っているプロショップは東京9店、大阪6店です。当然これに隣接府県の専門店も加わります。
 「雑誌(季刊)アーチェリー」が生まれた後、日本のアーチェリーは世界のトップに立ち、キャッチコピーにあるようにブームが到来しました。全国各地にレンジやクラブができ、競技も普及もバブルを迎えたのです。しかし、バブルがはじけた今、競技人口が30年前のこの雑誌当時のレベルに戻ったとしたら、この現状をどう考えますか? あなたは・・・・・

 このページの記事転載については、「雑誌アーチェリー」の生みの親でありそれを20年間育てられた、阪本斉治 氏のご好意とご理解によるものです。
 ありがとうございました。そして、お元気でなによりでした。
 

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