夏の瞬間

 「モーニング娘。」の最後には○が付いていて、「レツゴー3匹」のツは小さくないのですが、

 「アロンアルフア」の最後のアも小さくありません。知ってましたか?

 今では「瞬間接着剤=アロンアルファ」と思うくらいに国内シェアトップの「アロンアルフア」(東亞合成やコニシブランド)ですが、セメダインブランドの「ロックタイト」も海外ではがんばっています。そしてどちらもが「瞬間接着剤」です。国内では1970年代後半に登場して以来、アーチェリーでは使う場面が多く、使い勝手がいいことから使い続けられています。ノッキングポイントの製作、補修から試合中のハネやピンの補修などなど、「瞬間」に完全に引っ付くことが特徴の接着剤です。
 最近では、接着するものを限定すれば完璧に引っ付けられる接着剤を作れる時代ですが、市販品を使う場合は接着する物や目的に沿って接着剤を選ばなければなりません。そこで市販品(ホームセンターなどで入手できる)かアーチェリー用で適切なものが見つかればそれでいいのですが、、、昔、アーチェリーでは「セメント」と呼ぶ接着剤(最近では「フレッチタイト」という商品名が、それに代わっていますが、)が羽根を貼る接着剤として定番でしたが、羽根(鳥羽根)がハネ(プラバネやソフトベイン)に代わって接着力が低下したために、今の「セメント」類に仕様変更されて現在に至っています。
 とはいっても、アーチェリーで使う接着剤は5種類でしょうか。
    □「セメント」系=「フレッチタイト」に代表される、アーチェリー用接着剤
                              =羽根・ハネ・ノック・ノッキングポイントなどに使用
    □「エポキシ」系=「アラルダイト」に代表される、2液混合タイプの接着剤
                              =スタビライザーのブッシング固定などに使用
    □「ゴム」系=「G17」に代表される、黄色い接着剤
                              =ノッキングポイントやタブの補修に使用
    □「松ヤニ」系=「ホットメルト」に代表される、熱で溶かして固める接着剤
                              =ポイントやノックピンの固定に使用
    □「瞬間」系=「アロンアルフア」「ロックタイト」に代表される、瞬間に引っ付く接着剤
                              =ノッキングポイントや緊急の補修に使用
 あとは、「ネジロック」と「木工ボンド」がイレギュラーですが、あればこれで完璧です。
(まぁ、これだけあればアーチェリーというより、普段の生活で嫁さんに怒られずに円満な家庭生活が営める範疇です。。。。)
 で、世の中にはこれ以外の接着剤もいっぱいありますが、この5種類+2種類の特徴は取り扱い説明を見ればわかるのですが、どうして引っ付くかを知っていて損はありません。
 まずは「エポキシ」。これは「冬のエポキシ」に書いたように「エポキシ化合物」と「硬化剤」を混ぜ合わせて化学反応を起こすタイプで、基本的に「溶剤」を含んでいません。2つを混ぜることで固まります。ある意味特殊な接着剤です。
 では特殊でない接着剤はというと、これが一般に考える接着剤です。「セメント」「ゴム」「木工ボンド」がそれです。なにが一般かというと、これらの接着剤は「溶剤」を含んでいます。よく言う溶剤が「飛ぶ」ことで固まるのです。
 溶剤とは水やアルコール、アセトン、シンナーなどのことで、接着剤を溶かしている物質です。それが空気中に抜けることで硬化します。木工ボンドが臭くないのは水が溶剤であり、他のものは有機溶剤を含んでいます。ということは、これらは空気にさらして溶剤が抜けるまで固まることはありません。
 では、残りの特殊な接着剤です。「松ヤニ」はそのままです。熱で溶けて、常温で固まります。珍しいのは、「ネジロック」と「瞬間接着剤」ということになります。
 ネジロックは、スタビライザーのような日々脱着する部分には使いませんが、サイトベースなどの取り付けたままで緩んでもらいたくないネジ部分に使用します。この接着は空気が遮断されることで起こります。先の一般的な接着剤とは正反対ということになります。そのため、はみ出した接着剤は固まらないので、拭き取ればきれいになります。
 そして最後の「瞬間接着剤」です。これもあまり知られていませんが、この接着剤は空気中の水分と反応して固まるのです。指に付いて固まるのもそこに水分があるからです。これを知っていれば、ノッキングポイントに1滴落とした後でハァーと息を吹きかけるのは接着を早めるのに効果があるということです。
 逆に言えば、瞬間接着剤が「風邪をひく」という状態でトロ〜ンと粘度が増すのは、空気中の水分と反応して硬化を始めていることであり、それが進むと固まって使い物にならなくなります。また、まわりが「粉を吹いた」ように白くなったり、たくさん使うと煙が上がるのも同じ理由からです。
 ということで、メーカーも推奨するように「瞬間」は冷蔵庫で保管しましょう。特に夏の湿気の高い時期はなおさらです。夏の瞬間、ご注意ください。(最近は使い切れるように量の少ないタイプや保存しやすいものも出ているようですが。。。)

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