チャート表と逆サイト

 「フィールド競技」を最近ではあまりしないのですが、昔は全日本で優勝したり、世界フィールドにも何度か参加しました。とはいえ本職(?)は「リカーブのターゲット競技」なので、自分の中での守らなければならない基本的なポイントだけをしっかり押さえるだけで、特にアップダウンの練習や距離を読む練習などを一生懸命やるということはありませんでした。すいません。 (^^ゞ
 そんな中でも、「サイト合わせ」がそうです。ターゲット競技なら50mと30mのサイト位置が分かっていればいいのですが、フィールド競技の場合はすべての距離(11mも32mも47mも47.5mまでも)、厳密に言えば10cm刻みでサイトが分かっていなければなりません。しかしだからといって、すべてを確認したり練習するということはありませんでした。というか、できないし意味がないからしなかったのです。なぜなら、これらは理論とまでは言わないまでも、よほど射ち方やセッティング、チューニングがおかしくない限り、万有引力の法則に従った決まりがあるからです。40mのサイト位置は50mと30mのちょうど真中であり、どちらかといえばほんの少し30m寄りということです。40mのサイト位置が分かれば、35mと45mの位置はもっと簡単にもっと小さな誤差で見つけることができます。このようにして導き出した位置は、逆にいえば実射から見つけ出す位置以上に正確であり信頼性があります。(ここで言っているのはすべてフラットな地面の上の話です。とはいえ、それを踏まえればアップダウンであっても、別の決まりを見つけ出すことができるはずです。) ということで、あまり考えたり覚えたりするのが得意でなく、その結果混乱することが本意ではなかったので、ともかくサイト合わせはあまり厳密にはしませんでした。
 とは言っても、10数時間も飛行機に乗って、限られた練習時間の中で本気で戦える安心を得るには、それなりに考えてはいました。そのひとつがこのサイトバーです。誰にアイデアをもらったのかは忘れましたが、自分でパーツをデザインして作ってもらったフィールド競技用のサイトです。当然ターゲット競技でも使っていましたがフィールド、ターゲットを問わず、ちょっとサイト合わせを考える材料にでもなればと思い紹介します。
 この特製サイトの基本になるのは「チャート表」や「サイトチャート」と呼ばれるこんな表です。先の決まりもこれを見ればイメージできるはずです。ただしこの画像はオリジナルでないのに加え、近年カーボンアローの一般化により、弾道の低さと矢の直進性は今では少し違ったカーブを表に与えているはずです。もし、今風のチャート表をお作りの方はぜひご提供ください。
 そこでこれをどのように使うかですが、一般的には自分のサイトの間隔にあった部分を縦に短冊状に切り取ってサイトバーに貼り付けて使います。一番分かり易いのは、普段一番よく練習する50mと30mのサイト位置の間隔を計ってみて、それが25mmであればチャート表の50と30の間が25mm付近を使うわけです。
 ここまでは同じなのですが、ここから先が特製サイトの楽ができるところです。なぜなら、実際の使用では技術的な問題をまったく除いたとしても、温度や湿度などによってサイト位置は毎日微妙に異なることがあります。ましてやストリングハイトを変えたり、ノッキングポイントを直したりすれば、すべてとはいいませんがサイト位置の修正が特に距離が長くなればなるほど必要になります。あるいは試合の朝に不安を抱くこともあります。
 そんな時のためにこのサイトは、目盛を指す針がサイトブロック本体に対して上下左右に動かせるのです。(普通は動かせても上下だけです。) 試合の朝、まずは20m(30mでもいいのですが)を射ちます。そして目盛は気にせずに自分が納得いくサイト合わせをします。サイトが決まったら、初めてサイトバーの目盛を見ます。そして針を20の目盛を指すように上下に移動させて合わせます。
 次は得意の50mを射ちます。この時もいつものサイト位置は気にせず、満足のいくシュートでサイトを合わせます。その結果、針がチャート表の50を指していないのなら、今度は左右に針を移動させて50の目盛にあった縦列を見つけるのです。これで完璧だとは思いませんか。簡単でしょう。いちいち線を引きなおしたり、考えたり覚える必要はありません。あとはどの距離であっても、針が示すチャート表を信じればいいのです。
 ということで、こんな特製サイトを持っていなくても、あるいはターゲット競技であったとしてもサイト位置とサイト合わせがなんたるかのヒントにはなりませんか。

 で、余談ですが、このチャート表には20mより近い距離の目盛がありません。最近ならこのあたりから矢は真っ直ぐにゴールドを目指し、サイト位置の変更は不要なのかもしれませんが、それとは別に「逆サイト」と呼ばれるサイト位置があることも知っておく必要があります。これは距離が近すぎて弾道とエイミングの視線が交差する結果、普通の決まりでは必ず距離が近づけば近づくほどサイト位置は上にくるはずなのですが、ある距離(これはアーチャーや道具によって異なりますが、だいたい10数mでしょうか。)からサイト位置が下がりだすところがあります。例えば、12mのサイト位置が8mのサイト位置より上にあるというようにです。これを逆サイトと言います。そのために20mより近い距離においては一応各距離での実射によるサイト付けが必要になります。ご参考まで。

(後日談)
このページ↑をアップしたとたんに、
 「サイトチャートを指す可動式指針はかなりの年代物のように思いますが、現物の予備はない?垂直方向の日々の調整方法は持っているのですが、サイト間隔(チャートの水平方向)の調整ができるのは優れた発想ですね。」 と知り合いの弓バカ、弓キチガイ(どっちも差別用語なら、ごめんなさい。)から、それ欲しいとのメイルをもらいました。 (^^ゞ
 で、仕方ないので、
 「2時前に家を出る時に郵便受けを見たら、入っていました。有難うございます。シブヤのサイトボックスをベースに、例のものを少し削り、ネジの穴をあけなおして使えるようにするつもりです。でも手をつけず、将来KAMEI記念館でも出来た時にそのまま納めたいような気もします。」
 ということで、
 「今日レンジの工作台で電気ドリルで穴をあけなおし、サイトの左右のドラム部分で部品に引っかかる部分を鑢で削り、写真の様に完成しました。すぐ試し射ちしましたが、これならサイトボックス本体の使い勝手はそのままに活用できます。念のために試合時の故障の
バックアップとしてサイトバー側面の従来のチャートは位置を合わせて残しておきます。傾斜角度に応じた距離のカットは、XX度だから○○mのカットというのではなく、本来XX度にはその角度のチャートがあると言う考え方だと思うので、横幅が取れるサイトバーならばある程度の傾斜角の範囲なら、活用が出来そうです。」
 となりました。。。。

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