例えば子どもにオモチャの弓を渡した時。あるいはオトナであっても何の先入観も予備知識もない初心者に弓を引かせた時。多分彼らは親指と人差し指でノックをつまんで引くか、その指で作った輪の中にストリングを挟んで引いてみせるでしょう。 |
ここに弓の引き方の原点があります。一般に「ピンチ(Pinch)」式とも呼ばれるこの方法は、現在でもアマゾンの奥地に住む原住民たちが使っている方法です。しかしより大きな凶暴な獲物を仕留めようとする時、破壊力と飛距離の増大は弓の強さに正比例すると同時に、ピンチ式の限界をも示します。そこで引き方の発展形としてピンチ式は「モンゴル式」と「地中海式」と呼ばれる引き方に分化していきます。 |
和弓や韓国、中国に伝わる古来からの引き方である親指で引くモンゴル式と、洋弓の原形であるヨーロッパを中心に広まった親指ではない側にある人差し指と中指、薬指も使う地中海式の引き方は当然のように強弓の使用を可能とし、現在に至りました。 |
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では、これらの弓の進化の過程で獲物を狙う方法(エイミング)はどうでしょう。 |
多分引き方にかかわらず、最初人はそれを本能(勘)で行ったはずです。しかし距離が伸び、正確さが要求されるに従って必然的に「照準点」の概念が生まれたのでしょう。そしてそれが現在のサイト(照準器)の形体をとるに至るまでは、それに代わる何かを人は手掛かりとしたことは想像がつきます。その「何か」のもっとも一般的であるものが、現在のベアボウスタイルでも最も一般的に採用されている矢の先端(ポイント)です。 |
ポイントをサイトピン代わりにして狙う方法を、「Point of Aim」法と呼びます。この方法ではピン(照準点)が距離によって上下するサイトの場合とは異なり、ピンはいつも固定されています。それにあなたが今の射ち方でサイトピンをポイントの先に置き換えたことを想像してみてください。ポイント先端は90mのサイト位置より下に見えます。矢は90mを越えて、はるか遠くに飛んでいってしまいます。 |
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ではどうするのか? だからベアボウでは飛距離を落とし、矢が飛ばない状況を作るべく「ハイアンカー」と呼ばれる最も一般的な顎の下にフックを収める「ロウアンカー」より高い位置に手(矢)を持ってくるのです。しかしそれでもポイントを標的上に置くと矢が飛び越してしまうような場合は、人差し指と中指の間でなく矢を人差し指より上につがえるのです。アンカーの位置を距離やエイミングポイントによって変えることを「フェイスウォーキング」、ノック(ノッキングポイント)とフックの距離を変えることを「ストリングウォーキング」などと言います。一時期ルール上ストリングウォーキングなどが禁止された時はありましたが、今はすべて認められています。 |
しかし考えれば分かるのですが、ストリングウォーキングでは弓を引くストリングの頂点となる位置とノックの位置がそのつど大きく異なります。それは弓の性能以前に、矢飛びを非常に不安定な状況に置きます。そのため多くのベアボウアーチャーはノックと人差し指の間隔を可能な限り一定に保ち、フェイスウォーキングをすることでポイントオブエイム法を駆使しています。 |
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とは言っても、弓の強さも矢の長さも、射つ技術も異なります。この写真は同じ距離(40m)であっても、それぞれの狙い方があるということを表しています。 |
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そして5mや6mといった矢が弾道を描かず、真っ直ぐ的に向かう距離では、このように矢の延長線上にゴールドがくることになります。(写真は世界フィールドなどで何度もご一緒させていただいた、ベアボウの児嶋重夫さんです。) |
高い道具を使っても、狙わなければ同じです。たまにはアーチェリーの原点に帰るのもいいかもしれませんね。。。。 |