形ある物は、いつか壊れる。永遠に美しいものはないのですが、、、、 |
ハンドルやリムが曲がったり、折れるのはある程度納得がいくかもしれませんが、それでもクレームだ、不良品だと騒ぐ人もいます。確かにそんな商品も世の中にはあります。しかし、だからといって高価だから潰れなかったり、使わないから傷まないということは決してありません。 |
硬いからこそ、曲がったり折れる物もあります。それはいくつかの不幸な条件や無知が重なった時、予想より早く起こることがあります。(しかしどんな条件であっても、永遠はないことだけは理解してください。) |
今回は珍しいものが折れてしまいました。基本的には、「サイトも曲がる」に書いたことと同じです。ただ予想していなかっただけで、実際には何が折れてもおかしくはないのです。永遠がないのですから。 |
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エクステンションバーが折れました。写真ではクラック(ひび)だけのように見えますが、実際はスプーン曲げの最後のように、人差し指でこすれば真っ二つに折れる状態です。 |
使っていたのは、ドローレングス25インチ実質30ポンド程度の弓を使う女子学生です。期間は4年未満。納得しますか、不良品だと叫びますか? |
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その前に、エクステンションバーは、このようにほとんどすべてが穴を開けて軽量化されています。しかし、コンパウンド用の一部のモデルでは、穴を貫通させていないものもあります。これもサイトピンのネジ同様に、コンパウンドが積み重ねてきたノウハウのひとつなのだと納得させられる出来事です。
そのうえで、コンパウンドではなくリカーブで、それも低ポンドでなぜ? と思う部分があります。金属疲労とちょうど振動がこの部分に集中したのでしょうが、それに加えて少し不幸(無知)な条件が重なっていました。 |
折れたのを見せられて、後で気付いたのですが、この弓は「センター調整」がちゃんと行われていませんでした。ストリングはハンドルの中心を完璧に通っても、センタースタビライザーの先端がそこにはなかったのです。見かけは問題なくても、リリース時のストリングがストリングハイト(リムの弦溝)に収まる前に、横から滑り込んで返っていたのです。だからこそ、クラックの位置がエクステンションバーを固定する(締め込む)ロックネジの位置でも支点となるエクステンションベースの端でもないのです。発射ごとに最後のストリングハイト位置で、ハンドルがブレることを繰り返した結果の金属疲労です。そして低ポンドだからこそ、その振れが長く続いたのでしょう。 |
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そこで今回も、コンパウンドの専門家にアドバイスをいただきました。自動車に車検や定期点検があり、オイルだけでなく定期的な部品交換が必要なように、弓は道具であり、ましてコンパウンドは機械ですから。 |
□ 正しいチューニングはもちろんですが、コンパウンドボウではケーブルガイドがテコのように働き、ハンドルをねじります。その反動でサイトバーはレスト側に叩かれるように振動し、金属疲労が進むとサイトウィンドウ側にアールを作って曲がり込みます。 |
□ カーボン樹脂のエクステンションであっても、品質が良くないとカーボンでも見事に内側に弧を描いて曲がったものがありました。また、中間部分(エクステンション)が軽い分、先端のサイトバーは振られ易くなります。 |
□ ハンドルのアルミ素材も、硬い合金を使ったモデルは逆に粘り気がなく、チューニング不良だとクラックが生じやすいようです。 |
□ 現在、リムのチルト(横方向のかたむき)ができるハンドルがほとんどになってきたためか、リムの作りが粗雑になってきているのもこの種のトラブルの原因だと考えています。 |
□ ストリングやケーブルの寿命が、PSEの場合5000射前後(Bowtechなどは2500射と言っています)なので、交換時の締めまし点検と可動部分の軽いグリースアップ(ラジコン用のクロームモリブデン入りグリースまたはドライタイプのテフロンパウダースプレイなどで。CRCは厳禁。)をおすすめします。 |
□ もし、軸等が磨滅していると感じたら新しいモデルに交換した方がよいかもしれません。ほとんどの場合、目には見えなくてもハンドルライザー自体も金属疲労が起きています。ケーブルガイドによる横テンションによるねじれ度合いも、新品の時よりも大きくなっているようです。毎日シュートするようなヘビーなアーチャーで、ほぼ2年でハンドルはへたっていると考えてよいと思います。 |
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