サイトピンと集中力

 アーチャーはリング(フード)の中にある、ピンの先端の「ドット」(点)でゴールドを狙うわけですが、実際にその現実に意識を集中していないアーチャーが圧倒的に多いのです。例えばあなたは50mで、ゴールドの中に占めるピンの大きさの割合を説明できますか?  30mではどうでしょう? 多くのアーチャーがこれほど重要で何十回、何百回と繰り返される作業をあえて聞かれると答えられないのです。ではあなたのエイミングとは何だったのでしょう? 良く言えば「無意識に」、悪く言えば「何も見ていない」のです。
 もう一度、明日の練習で、サイトを良く見る練習をしてみてください。ピンがゴールドに対してどれくらいの大きさに見えるか、を確認してください。これはアーチェリーがうまくなるための第一歩ともいえる練習のポイントです。そして 「エイミング」 という作業で果たす 「リング」 と 「ピン」 に付いて考えてみましょう。
 まず確認しておかなければならないのは、「エイミング」 という作業はサイトとゴールドが物理的なつながりではなく、精神的なつながりで結び付いている点です。ピンとゴールドという目に映る像が身体に影響を及ぼす前に 「精神(メンタル)」 に働きかけることを理解する必要があります。例えば、アーチャーが大きいミスショットをする時、そのほとんどは射つ瞬間にピンがゴールドになかったことに起因します。仮にピンがズレていても、普段どおりのシュートができれば矢は赤の中で止まったにもかかわらず、ピンがゴールドからズレていたことが精神に働きかけ、技術的(身体的)なトラブルを誘発し大きく矢をゴールドから遠ざけたのです。その意味で、サイトは 「心」 で見極めなければならないのです。

 ピンとゴールドの比率(ピンがゴールドの中でどれくらいの大きさに見えるか)を確認してみてください。それには、わざわざ重い弓を引く必要はありません。シューティングラインに立ち、弓を持ち上げてピンをゴールドの上に置いてみればいいのです。

 サイトピンは必ず震えます。完璧な固定などあり得ないのです。ただし、震える大きさ、ピンが動き回る範囲はアーチャーによってさまざまであり、そこには体力や技術らしきものは存在します。その前提に立って、あなたにとって一番適切な、安心感と正確性を与えてくれるピンの大きさというものを探し、見つけなければなりません。
 例えば、80CM 的を10m の距離から射ってみるとどうでしょう。ピン はゴールドの中を大きく泳ぎ回れます。しかし、いつでもピンはゴールドの中に存在し、いつリリースしても矢はゴールドに的中します。ただし、これだと集中力がなく、狙い切れないと感じるアーチャーもいるかもしれません。これと同じことが、ピンの大きさによって各距離のシューティングライン上で起こるのです。
 また逆に、ゴールドより大きいサイトピンを使ってみるとどうでしょう。ちょうど80CM 的を長距離から射てば分かりますが、アーチャーはピンのズレを気にしない代わりに、エイミング中にいちいちピンを意識的に動かし、ゴールドの場所を探すという愚行を強いられます。
 これらから考えても、アーチャーは自分にもっとも適したサイトピンの大きさを試行錯誤の中から見つけ出す必要があります。場合によっては、エクステンション バーの長さも配慮に入れることも必要です。

 では、ピンで狙っているアーチャーにとって 「リング」 はどんな役目を果たしているのか? ピンを守るプロテクター程度にしか考えていないアーチャーがほとんどですが、これも大きな過ちです。確かにリングサイト同様にピンサイトにおけるリングもオールマイチィー(万能)の形や大きさは存在しません。そして 心 に働きかけるため一概にいえないのですが、一度大きさの違うリング(ピンは同じ大きさで)を試してみてください。エイミング中の安心感といったものが異なることに気付くはずです。場合によってはグルーピングの大きさが変わってしまいます。
 これはリングの大きさだけでなく、リングの厚さやリングそしてピンの色によっても生じる現象です。集中力とは、これらをとおしてすべて目から入り心に働きかけます。少なくともピンとリングは完全な「円形」のものを使いましょう。そしてピンは必ずリングの中心に置きましょう。

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