サイトの重さ
サイトは軽くなければならない、とは誰が決めたのでしょう。
近年、1984年ロサンゼルスオリンピック以降、日本ではカーボン繊維を成型したエクステンションバーが登場、最近ではスライドレール部分までがカーボンと銘打った製品が発売され、軽量化を謳ったものが高価格で販売されています。確かにカーボン繊維を使ったという意味では高級品かもしれませんが(とはいっても短繊維をプレスしただけですが)、高性能とは必ずしも一致しないのではないでしょうか。現にラック&ピニオン方式と組み合わせた場合は、ネジの数を増やさないと最低限の機能を果たさなくなっています。理由は簡単です。いくら中間部分(エクステンション付近)を軽くしても、先端(サイトピン部分)の重さがゼロになることは不可能です。であれば、バーの強度は確保されても、それを固定する部品や先端に振動や動きが集中するのは当然の結果です。
しかし、サイトに求められる最大の性能とは「軽さ」ではありません。「安定度」であり「扱い易さ」のはずです。動かしたいときに簡単に正確に動かせて、それでいて止めたいところで完璧に固定できることこそがアーチャーの望む性能です。このことを軽さが阻害するのであれば意味がありません。
それに、サイトにカーボンを使うことで軽くなる 数10グラムが現在のアーチェリーにおいて、そんなに必要な重さでしょうか。昔、ワンピースボウの頃センタースタビライザー1本、あるいは上下2本のダブルスタビライザーの頃はエクステンションを取り付けることで、弓の上部が重くなりすぎて使い難いという問題がありました。また、重い弓(今から思えばスタビライザーなしのテイクダウンボウ程度の重さでしたが)が敬遠される状況もありました。しかし、Vバーを使う現代のアーチャーの体力にとってのこの数10グラムは、逆に重り (ウエイト)として必要ともいえる重量です。それに弓全体のセッティングやバランスを考えれば、サイトの重量が弓の片側(右射ちなら右側)に偏りすぎるという論理も説得力がありません。
そろそろ、見栄えより実質をとり、サイトすらもスタビライザーの一種と考えてはどうでしょうか。
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