「日本の最新技術でやったら、ステンレスに着色できんにゃで。」と言うと、若者から「ステンレスは着色できなひんのですか? 知らなかったんですが。。。」と返ってきたので。 |
メッキや塗装ではなくアルミニュームに着色するのは今では当たり前です。弓のハンドルやサイトやタブの金属部分に色が付けられているのがそれです。「アルマイト加工」と呼ばれる技術ですが、これが日本人の大発明であることは意外と知られていません。詳しくは、こちらをご覧ください。 |
ところが、ステンレスとなると銀色が当たり前で、着色はできないものと思い込んでいました。確かに最近は海外から入ってくるウエイトなどでブラックのパーツを見かけるようにはなりました。これは「黒染め」と呼ばれるもので一部で使われている技術ですが、今回はそれ以外の色にカラー化しようというものです。 |
そしてこちらも日本の最新技術です。アルミの表面は錆びやすいのですが、ステンレスは銀色と合わせて「錆びない」が一般的なイメージです。ステンレスが錆びにくい金属である理由は、もともと表面を透明な「酸化被膜」が被っていることに起因します。そこで今回のカラー化の技術とは、この表面の被膜の厚さをコントロールし「酸化発色被膜」で被うことで、光の干渉現象を利用して色が付いているように見せるというのです。ちょうどCDの表面やシャボン玉が虹色に変化するのと同じ原理です。表面の反射光の波長の違いによって色が現れます。 |
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これはステンレスのスプーンに着色したものですが、すでにノートパソコンや携帯電話などにも使われています。 |
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この酸化皮膜=干渉色の特徴はというと、 |
■塗装や染色による着色ではないため、さまざまの色彩を表現することができ、見る角度によって微妙に色が変化します。
■酸化発色処理はもともとある酸化皮膜の厚さを厚く均一にするため、一層錆びにくくすると同時に亀裂や剥離も起こしません。
■紫外線による劣化がないため、屋外での使用でも退色や変色を起こしません。
■非常に薄い皮膜のため、寸法精度に影響を及ぼしません。 |
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と、色が飛びやすく(退色・変色)柔らかいアルミニュームのアルマイト加工と比べて良いことずくめなのですが、干渉色という技術を使うため鮮やかな色というより高級感のある、色の変化を楽しむような色目になることと、製造時期(素材の状態や表面加工の状態によって)によって、少し色の違いが出ることがあります。 |
ちなみにステンレスはもともと錆びにくく、硬く、表面の美観が特徴の金属のため塗装やメッキはあまり意味がないことに加え、塗膜やメッキ膜が表面に食いつきにくく剥がれやすくなるためカラー化が行われていませんでした。 |
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ということで、この日本の技術を使って、まずは「ステンレス製カラーウエイト」を作ってみることにしました。コストは高くなりますが、重く硬いウエイトに美しい高級感が加わります。 |
最近は海外の黒染めブラックウエイトや、国内でも真鍮にアルミキャップ(アルマイト加工をした)を被せたウエイトはあったのですが、今回は無垢のステンレスを新潟県燕の技術で美しく削り出し、酸化発色処理を施します。。 |
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ウエイトのサイズ(形状)は、最近はカーボンロッドの太さが太目を含めていろいろあるので、20ミリから22ミリくらいのロッド外径に対応するデザイン(寸法)にしました。これであればスタビライザーの形状や太さの違いにも馴染むと思います。また、ネジサイズも1/4インチと5/16インチを作ります。 |
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お待たせしました。遅くなってしまいました。 |
理由は色を決めるのに色だしサンプルとして何個か作ったところ、思ったより↓少し暗い色になってしまいました。 |
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酸化被膜(干渉色)自体が見る角度によって色の変化があるのですが、暗い色だと暗いところではあまり区別が明確でなくなってしまいました。 |
暗くなりすぎた理由は、ステンレスの表面に酸化被膜をコーティングする時にステンレス自体の表面がよほどきれい(平ら)でないと被膜の厚さにムラができることでした。そこでコストと手間は掛かるのですが、最初に削りだしたステンレスウエイト(このままでも十分きれいな表面なのですが)に電解研磨だけでなくバフ掛け行ったうえで酸化被膜を掛けることにしました。通常のシルバーのステンレスウエイトより、はるかに表面を磨き上げたわけです。 |
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これで最初のスプーンに近い色で屋外なら高級感のあるカラーウエイトに仕上がったと思います。↑ |
繰り返しになりますが酸化被膜自体、見る角度によって微妙に色が変化しますが、一般に色が飛ぶという紫外線による色の落ちなどはありません。ただし、油分や指紋が付着すると表面が変わって見えます。そんな時には柔らかい布で油分をふき取ってください。表面は通常ステンレスが持つ酸化被膜より厚くなっているので、亀裂やさびや剥離は起こらず上部にできています。(製作上、小さな傷がある場合は、お許しください。) |
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ということで、世界初! 日本の最新技術を使った、ステンレスカラーウエイトの完成です。いかがですか。。。国産、新潟県燕市製です。 |