ストリングを張った後は・・・

 練習、試合を問わず、弓にストリングを張った後すぐにシューティングを始めるアーチャーがいます。その行為自体がウオーミングアップと理解しているのなら問題はないのですが、それでもストリングを張って、ループが上下ともにしっかりチップに掛かっていることを確認した後に、ちょっと次のことに注意を払うことを習慣付けましょう。
 ストリングは温度や湿度に影響され易く、弓の張力によって伸ばされるため、そのままでは変化が起こってきます。それを最小限にとどめるのと、変化の状況を知るためのアーチャーの一般常識です。

□ リムがハンドルにしっかりセットされていることを確認します。
 ヤマハの弓に限ったことではないのですが、特にヤマハでは最初の一射目で弓に異音がすることがあります。これはストリングの張り方が悪かったために、リムが本来収まる位置に入っていなかった結果、発射時の力でリムが定位置入った音です。その後は問題ありませんが、ヤマハ以外の弓も含めて、ストリングを張った後はまずリムがしっかりセットされているか確認します。
 そのためには写真のような方法で、上下ともにリムをしごいてやるのがよいでしょう。もしリムが入っていないと、発射時同様の異音がするはずです。
□ ストリングを伸ばしてやります。
 ストリングは温度や湿度の変化以前に、それ自体に捩りが加えられているために使用前と使用後では伸びが起こります。そのため最初にストリングに対して張力をかけることで、より早く安定した状態になります。それは的中やサイト位置の安定にもつながることです。
 リムのセットが確認された後は、手で思いっきりストリングを伸ばしてやります。精一杯力を入れても弓の張力にはかなわないので、もっと簡単な方法は矢をつがえずに数回弓をはじいて(空射ち)やる方法です。20〜30cm引っ張って放せば、同等の力がストリングに掛かり、リムのセットと同時にストリングを伸ばすことができます。
 昔、ダクロンストリングの頃はこの作業でストリングハイトが約1インチは下がりました。現在でも 1/8インチ程度の変化は見られるでしょう。
□ 後は使用中も含め、次のチェックを行います。
ストリングハイト ノッキングポイントの高さ ティラーハイト
 
 特にストリングハイトはストリングを伸ばした後に、普段と違うようであればストリングの捩り回数を変えて適正な高さに調整しましょう。ストリングハイトが一定であれば、弓自体に重大な問題が発生していない限りティラーハイトやノッキングポイントが大きく変わることはありません。これらを点検することで、弓のトラブルを事前に発見することもできます。
 また、試合中などで的中位置やサイト位置に変化が現れた時は、必ずこれらのチェックをまずはしてみましょう。

 このようにストリングを張った後で、道具としての弓を点検することを習慣付けることは上達のための第一歩です。

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