では実際の使用において、ティラーハイトはどのように設定され、重要なのでしょうか。 |
確かに市販されている弓は購入時点では必ず下リムの方が強く作ってあります(はずです)。近年テイクダウンボウになり、それに加えて「ポンド調整機能」が多くの弓に付加されたことで、これらの機能を使ってティラーハイトの調節もアーチャーが簡単に行えるようになってしまいました。これはアーチャーにとってのメリットではあるのですが、メーカーにとってもこのうえない状況(機能)でした。例えば上リムが強過ぎても、弓にセットした時点での修正も可能になったのです。しかしこれは極端な例としても、メーカーとして出荷の段階でのリムバランス(ティラーハイト)の幅(許容範囲)が多少緩和されたことは事実でしょう。 |
とはいっても、これが理想というティラーハイトがあるわけではありません。また市販されている弓に一定の基準があるわけでもありません。例えば同じモデルであっても、グラスリムは±0〜+20ミリをその許容範囲に設定しているが、カーボンリムの場合は+2〜15ミリというように下リムが強いものの、その幅は結構あります。ただし、この範囲ならポンド調整機能を使って、アーチャーが希望の「差」に設定できるであろうということです。(昔はこのような調整ができなかったために、一定レベル以上のアーチャーは強さや捩れとともにティラーハイトも吟味して購入したのです。) |
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それでは、例えば自分にとってのティラーハイトが5ミリが理想とします。この理想の根拠がどこにあるかは別にして、これが7ミリであれば的中精度が大きく変化するか・・・・というと、実際にはそう変わりはないはずです。現実問題としてティラーハイトの差が1インチ(25ミリ)を超えるようなものであれば問題はあるのですが、20ミリまでの範囲で常識的な範囲であれば、矢飛びへの影響はノッキングポイントの位置で修正(対応)がほとんど可能なのです。射ち方を無視して考えるなら、ティラーハイトとノッキングポイントの位置は連携して考えることができ、ティラーハイトが一定(決定)しているなら、後はノッキングポイントの適切な位置を選べば良いのです。そして下リムがより強くなれば、ノッキングポイントの位置は必然的に高くなるであろうということは想像できるはずです。 |
では、仮に下リムより上リムが強い場合(例えば上下のリムを逆に取り付けてみるような状態)、矢はまったくきれいに飛ばないか・・・・、というとこのような極端な場合であっても実際にはノッキングポイントの位置を変えることで通常と同じように矢を飛ばすこともできるはずです。 |