チップを削る

 ストリングがすぐに傷んでくることはありませんか?
サービングが緩んできたり、   すぐに切れてきたり、
 
することはありませんか。特に最近はストリング自体が切れないので、長く使っているとこんなことはよくあるはずです。サービングだけを巻き替えたり、新しいストリングに交換すればすむことなのですが、リムに問題があるのであれば同じことです。そんな時はアーチャー自身がしなければならないこともあるのです。

   サービングのループ部分が緩んだり、傷んだりするのはチップの弦溝(ストリングが掛かる部分)の形状に問題があることがほとんどです。確かにサービングの巻き方や硬さによって起こることはあるのですが、やはりそれ以上に形状が影響します。
   具体的には、写真の 部分に角度があるために起こるのが一般的です。しかしそれは弓の仕様上の問題だけとも言い切れません。実はどのメーカーもこの部分の最終加工は職人の手作業で行なわれているのです。そのため職人の熟練度やメーカーの品質管理が大きく影響します。仕方がないといえばそれまでなのですが、運悪くこのようなリムに当たった時は、アーチャー自身が多少のメンテナンスを施さなければならないかもしれません。
   またもうひとつ大きな問題は、このように角度が大きくないリムであっても長く使っていると、ストリングで何度も叩かれることで柔らかい木芯が侵食されて行き、硬いカーボンやFRPがカミソリの刃のようにこの部分に突き出してくるのです。そうするとサービング糸が切れ易くなったり、サービングが緩んでストリング原糸が直接この刃に当たっているとストリングが切れてしまうという事態になります。
 そこでこのような問題が大きいと判断した場合は、アーチャー自身によって少しリムを削ってやりましょう。ただしこれはメーカーが認めているものではありませんので、保証については事前に確認するか、アーチャーの責任において行なってください。
 使用する道具は細い丸棒状のヤスリです。大きなホームセンターか工具屋にいかないとないかもしれませんが、「中目の丸ヤスリ」と言えばストリングの太さ程度のヤスリが手に入るはずです。今回は一本¥350でした。

 削る時の注意は、ヤスリは必ずリムの根元側からチップ側へと動かします。そしてヤスリ自体も転がすように回転させながら、優しく何度も繰り返し行なってください。また、左右均等に、途中で何度もストリングを張って確認しながら行なってください。
右側が削った状態です。
 
 削り終わったら塗装ですが、クリアーラッカーや塩ビ系の塗料を塗るだけです。大きい缶しか売ってなければ、模型(プラモ)屋に小さいものがあります。また、そこまでしなくても、女性からマニュキアを借りて塗る程度でもよいでしょう。

 余談ですが、競技用の弓はだめですが、初心者用のクラブ備品の弓などでポンドが強過ぎて使わせられない道具が眠っていることがありませんか。
 そんな時は失敗して元々なら、リムのサイド面をヤスリで丁寧に均等に、チップ方向に擦ることでリムのポンドダウンをすることができます。性能や外観は無視しての話ですが、部室でホコリを被ったリムがあるなら試してみるのもいいでしょう。サイド面の時にはササクレた繊維で怪我などをしないように注意してください。
 メーカーではリムバランスの調整や少しの修正には、リム表面を羽布(ばふ)と呼ばれる細かいヤスリで削って行ないます。この方法は、あまり削りすぎると表面のグラス繊維が切れるので、競技用のリムやポンド調整などには不向きです。

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