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例えば、この写真のリムのように片側のリム(この場合は下リム)に対してはストリングがセンターを通っても、逆側がセンターを通らずに弓全体のセンターがずれてしまう状態を言います。上下のリムともにまったく「ネジレ」がないのに、なぜかハンドルのセンター(上下にあるネジの位置などで合わすとよいでしょう。)をストリングが通らない、というような現象もあります。 |
これらは多くの場合、リムとハンドルの接合部分の精度に問題があります。そのため、アーチャーが自分で修正するのは簡単ではありません。これこそメーカーに修理を頼むしかないのですが、最近ではヤマハがこれを修正できる機能としてリムの差し込み部分のセンター出しのピンに、「ロケーター」と呼ばれる部品を組み込んでいます。これは非常に便利で有効な機構ですが、これを取り付けることで元々のリムの精度を落さないことを期待します。 |
では、他メーカーのリムはというと、このヤマハのロケーターでいろいろテストすると分かるのですが、リムとハンドルの接点とは当然のことですが非常に高い精度を要求される部分です。昔、ワンピースボウの頃にはほとんど問題にならなかったものが、現在のようにテイクダウンボウになってからは、接合の方法と品質管理において少なからず問題を抱えたリムができてしまいました。 |
まれな例ですが、ハンドル自体にネジレ(曲がり)があり「センターズレ」などの問題が発生することがあります。これは基本設計の段階での設計ミスもありますが、製造段階での品質管理や技術的レベルでの発生もあります。例えば、NC旋盤で削り出すハンドルであればデータ自体に問題がなければハンドル自体は良いのですが、センター出しのピンや後付けカップを取り付けるネジ孔を開ける時に誤差が生じる場合があります。また、金型や砂型を使ったダイキャスト製法ではそれ以外の問題も発生します。型から取り出したハンドル素材が温度が下がり完全に硬化する段階で、「引け」と呼ばれる縮みのような現象を起こすことです。この時、ハンドル形状が左右対称形であればそれほど問題はないのですが、実際にはウインドウ部分に切れ込みがあり非対称形のために片側に反った(曲った)状態で固まってしまいます。そうするとハンドルの上下のセンター位置がズレてしまい、結果的にはリムの「センターズレ」を起こしてしまいます。ただし、この問題はメーカーも承知済みであり、最初から「引け」を予測した金型の図面を設計しておいたり、出来上がったハンドルを測定して修正するなどの対応策をとっています。 |