個人的な「感じ」−弓の寿命のこと

 個人的な「感じ」ですが、矢はだいたい2ダースを試合用と練習用を分けて持っていて、試合用が傷んできたら練習用に格下げして、新しい試合用を1ダース作る。古い練習用は捨てる。そんな感じで毎シーズン少なくとも1ダースは矢を新調します。特にたくさん傷めたり使えない矢が出ても、サイズを変えたりしなければ、多くても1シーズンに作るのは2ダースでしょう。(昔、本気の選手の時はもっと多いですよ、もちろん。)
 これが多いか、少ないか。ただ周りの学生たちを見ていると、試合も練習も同じ矢を使って1ダースを1年以上使う連中がいっぱいいるのは事実です。しかしこれは大きな問題です。新品の12本の矢を射ってみても、どうしても同じ方向に外れる矢が最初から混ざっていることがあります。使っていて、同じように外れる矢ができてしまうのは、当たり前のことです。同じ時に2ダース新調して、1ダースずつ使い分けていると、使用頻度が大きく異なってくるとこれらの2グループは違うグルーピングを呈することもあります。
 ましてや矢を購入するのに、傷んだり不足した分として1本や2本をあとから補充するなどは論外です。特にアルミにカーボンを巻いた矢は、同じサイズ同じ記号であっても12本のパックを混ぜるべきではありません。結局矢を買うのは最少1ダース単位ということになります。(アルミシャフトやオールカーボンシャフトなら同じロット内から選ぶなら、この限りではありませんが、アルミコアのカーボンシャフトは12本1パックミニマムということです。)
 それはさておき。リムはどうでしょう。本気の選手の時は、まったく同じリムを予備リムとして持っていました。同じポンド、同じティラー、取り替えてもサイトもプランジャーも同じリムです。それ以外にもありましたが、もちろんそれらはメーカーが作ってくれるのですから、普通のアーチャーが市販品を買うのとは訳が違います。
 今は違います。せいぜい同じポンド表示のリムを予備として1ペア持っている程度です。しかしそれらは昔も今も結局は安心のお守りであって、実際に試合途中でリムを換えたなら、1射目は幸運を祈るしかありません。が、その前に祈る幸運は、試合中にリムを交換する事態が発生しないことです。折れたり、剥がれたり、ねじれたりしなければ、予備リムを使うことはありません。
 ではどれくらいのリムが世の中では折れたり、剥がれたり、ねじれたりしているのか。本数も知りません、パーセントも知りません、ただ個人的な感じでいうと昔より最近は増えているような気が何となくします。新しいリムも古いリムもですが、特に古いリムが昔ほど長持ちしないような気がします。
 ここでいう「古い新しい」も微妙です。買ってきたリムを家で張ったら、折れた。は分かりやすいのですが、あなたはどれくらいで自分のリムが使えなくなれば納得しますか? 難しいです。そこでまず、リムはずっと折れたり、ねじれたりはしないと思っている方がいるのなら、それは大きな間違いです。永遠などありません。まして、アーチェリーのリムほど過酷な条件で使われる道具はないことを知るべきです。思い当たるスポーツ用品を想像してください。ラケット、スキー、釣竿、ゴルフクラブ、棒高跳びのポール、アローなどなど。同じカーボンでできていても、これほどの変形と復元を、これほどの温度差の中で、これほどの回数繰り返す道具はないでしょう。ましてや何もしない状態でもストリングが張られ、テンションがかかり、一定の形状の保持が求められるのです。リムは傷まない方がおかしいと知るべきです。いつかダメになって当然の道具なのです。その意味でリムとて消耗品なのです。
 となれば、どこで折り合いをつけるか、どこでなら納得するかです。個人的には2年(シーズン)使えたなら、納得します。あきらめもします。ところが、2年使っていて練習中にリムが折れれば納得したのに、それが試合中ならショップやメーカーに文句を言いに行くのも、アーチャーの常です。
 そんな時アーチャーにとっては、ダメになる(使えない)ことがすべてであり、原因はどうでもいいのです。基本設計上の問題なのか、生産過程での個体差なのか、使い方が悪かったのか、寿命なのかは大した意味を持ちません。折れたことを言い訳として、大声で叫ぶだけです。
 しかし売る側には大問題であり、叫ばれてはたまったものではありません。そこでメーカーは、保証期間を設けます。当然の措置です。ところがそれとてアーチャーには納得がいかない時があります。リムは自動車と同じです。買ってほとんど使っていないのに、保証期間が過ぎて壊れることもあります。2万射の2年と2千射の2年では納得の度合いが違うというわけです。では、まったく使わなければずっと新品かというと、まったく使わないリムを5年後に張った瞬間はがれることもあります。住んでいる家より住んでいない家が傷むように、接着剤や素材は何もしなくても劣化や経時変化を起こします。同じ走行距離でも、高速走行か一般道か暴走かでも違います。
 ということで、個々のケースはともかくとして、保証期間は保証期間として受け入れたうえで、自己責任としての予備リムの準備なり、定期的な交換が必要ではないでしょうか。
 で、個人的には今使っているリムが結構古くなりました。2007年6月千葉の全日社会人で受け取って、その後ずっと使っているのでほぼ4シーズンですから8万射ほど使っています。夏も冬も雨もです。非常に気に入っていた結果ですが、塗装は少し傷みましたが、今でもねじれもなく、ポンドやティラーの変化もありません。当たり外れもあるでしょうが、いいものは持つものですね。
 しかしそろそろ換え時です。。。 (続く)

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