グリップを削る

 今の時代、すべてがスナップオングリップですが、それらすべてが「いい」グリップとは言いません。いいグリップも悪いグリップも、良くないグリップもあります。
 とはいえ、なにが「いい」かと言っても、10人のアーチャーがいれば10種類の手の形や大きさがあり、なおかつ10種類の射ち方(押し方)があります。その意味では、市販(最初から装備されている)のグリップが合うものもあれば、合わない場合もあります。
 ただここで注意しなければならないことは、弓のグリップはピストルのグリップとは違って、握るものではなく「押す」ものです。これは重要です。自分から掴むのではなく、前からの力を受け止め「支える」のが弓のグリップです。
 そう考えれば、10の手があっても10のグリップは必要ありません。「いい」グリップとは、どんな手であっても、どんな押し方(支え方)であっても、弓本体を真っ直ぐに保ち、手首にリラックスを与え、弓の中心線(ピボットポイント)を真っ直ぐゴールドに押し出せるグリップのことです。
 この条件をクリアしたうえで、自分に合っているか合っていないかはあります。例えば、ピボットポイント(グリップの一番深いところの底の点)付近の太さ(左右)や広さ(上下)などがそうでしょうし、リストの角度(トップ押しやベタ押しと呼ばれる部分)や自然に弓を真っ直ぐ保持でき、毎回同じ位置に手が収まるかなどは、いいグリップであってもなお微調整を要するアーチャーがいても不思議ではありません。ただしもう1つ注意しなければならないことがあります。どんなグリップであったとしても、手はグリップに合わすことです。合わないグリップに手から小細工を施すものではありません。だからこそ「いい」グリップを選ぶ必要があり、それを取り付けたなら、グリップに自分の手を添えて、合わせてやるのです。
 そこで今回は市販のグリップが女子のため少し大きすぎたので、少し削ってみました。先に書いたように、逆にパテなどを盛って高くや太くしなければならない場合も当然ありますが、それはまたの機会にします。
 ではどうやって削るかですが、削って作り出すカタチはいつもの「経験則」の世界であり、当然「授業料」が必要です。それと、いろいろなグリップを触ってみることもいい方法です。引いてみて、手にしっくりなじんで、弓が真っ直ぐに自然になり、手首や手のひらに無理がなく、そして自然に一番深い点が押せて、その延長でリリースできるグリップを見つけるしかありません。そんな試行錯誤の中で、市販品そのままでも「いい」グリップがあることが気付くでしょう。もちろん悪いグリップがなにかも分かります。
 ただ今回のように、どう考えてもグリップが手に対してデカイぜ、と思う時には少し細くしてやるのは良い方法です。その時に、手のひら部分を滑りにくく弓を自然に真っ直ぐ支えるような、そして親指を無理なく的に向けてやるようなカタチに削るように心がけます。
 削る道具は「紙ヤスリ」だけで十分です。大きく削る場合は細い棒状(円柱形)の金属のヤスリを使うことがありますが、特に最近流行りの「木製」グリップであれば紙ヤスリだけで簡単にできます。今回は「400番」の紙ヤスリと「40番」の布ヤスリで完成です。
 ニスやラッカーで塗装するのもいいのですが、これくらい細かいヤスリだとそのままでも十分です。
 ただし、ほんとこれは経験則です。試行錯誤の結果で身に付きます。最初から思うグリップが簡単にできるのは難しいです。ご了承ください。。。。

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