ハンドルの作り方 その2 (NC製法)

 NC製法の基本が分かったうえで、では具体的にNCマシンによってどのようにハンドルが作られるかを見てみましょう。
 NC製法では、CAD等と呼ばれるコンピュータソフトを使ってコンピュータ上で図面が引かれていき、そのデータをNCマシンに入力することで機械が自動的に素材を削ったり穴あけを行っていくことになります。そのため、もし設計に変更が生じた場合はデータを修正することでいつでも製品の形状を変更することが可能です。しかしこれは良いことである一方で、未完成の製品が市場に出る状況の中で改善が繰り返されるというユーザーにとっては好ましくない現実もありうるのです。
 
 
 これがハンドルの元になるアルミ素材です。ハンドルの湾曲した形状は削りだす過程において無駄になる部分を多く生み出すために、「ヤマハの鍛造」の素材と比べてみると一目瞭然ですが、鍛造製法は最初の素材段階でのコストダウンにも貢献しているのです。
 どのメーカーも同様の方法をとっていますが、ここでは2台のNCマシンを使用して前半の「荒削り段階」と後半の「仕上げ段階」に分けて作業を進めています。
 
 荒削り段階では、先の素材を3本同時にセットして作業を進めます。
 NCマシンは、このような複数の工具を自動的に交換しながら作業を進めることができます。
 ここまでで前半の作業が終了です。この段階ではスタビライザーの穴あけ加工や、もっとも重要で複雑なリムとの接合部分はまだ削られてはいません。
 
 荒削りされた素材は、次に仕上げのために今度は違うNCマシンに一本ずつセットされ、加工されていきます。
 当然、設計(形状)や作業工程によって異なりますが、非常におおまかに言うと約3時間で一本のハンドルが削りだされます。(写真でも分かるように、実際には一本一本のハンドルをそれぞれ完成させるのではなく、何10本かを工程に分けながら作業を進めます。)
 後は手作業で、面取りやネジのタップ立て、そして仕上げの加工が職人の手によって行われます。この工場ではハンドルを削りだす2台のNCマシン以外に、ハンドルに取り付けられるポンド調整用のパーツやサイト類などの付属品を作る2台のNCマシン。そして旋盤やフライス盤があり、5名の熟練した職人が働いています。
 これで完成。後はアルマイト塗装か吹きつけ塗装を施した後で、ネジ類のパーツを取り付ければ出来上がりです。
 ということで、、お分かりのようにNC製法では「設計」と「品質管理(製造技術)」、そして素材の品質が確保されているのなら曲がったハンドルや折れるハンドルができるはずはないのです。それはここまでの工程だけのことではなく、使用過程においても同じことが言えます。だからこそメーカーの技術と思想を信頼し、それを見極める目をアーチェー自身が養うしかないのです。「価格」と「品質」、そして「性能」「デザイン」、あなたは何に重きを起きますか。

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