魔法の弓

 「魔法の弓」を紹介します。当然この魔法には特許がかかっているのですが、本当にスゴイ魔法の弓です。ただし残念なことにこの魔法は、上級者や競技者には効かないと思います。そのかわり、すべての初心者と指導者にとってこれほどの魔法はありません。
 滑車が付いているということで「ワンカムのコンパウンドボウ」ということになるのですが、ここではそんな分類でこの弓を見ないでください。リカーブ、コンパウンドを問わず、「初心者用」の「練習用」の「備品用」の「子供用」の、ともかくはこれからアーチェリーを始める、あるいは初めてアーチェリーをやってみるすべての人のための弓と思って見てください。
 では、なにがスゴイのか? なにが魔法なのか? ですが、初心者に弓を教える時、当然最初は低ポンドの弓を射たせます。その時、例えば「18ポンド」の弓をその初心者に引かせたとします。指導者は弱い弓だからそれでいいと思いがちですが、これは競技者も同じ論理ですが、子供やドローレングスの短いアーチャーにとっては18ポンドの場合も、あるいはそれ以下のポンドでホールディングしていることもあります。また逆に体格の大きいおとなの場合であれば、表示ポンドは18でも実際には30ポンドで使っていることもあるのです。そう考えれば初心者にとっての「18ポンド」を万人に与えようとするなら、ドローレングス(引く長さ)によって、何種類もの強さの弓を揃えておかなければならないのです。表示ポンド数が「18」だからといって、すべてのアーチャーにとっての実質ポンド数が「18」ではないのです。
 そしてもうひとつ。例えば30インチ近くを引くアーチャーなら、「66インチ」ではなく「68インチ」や「70インチ」の長さの弓も必要になります。
 ところがこの魔法の弓は、例えば「18ポンド」の弓を1本用意すれば、その弓はドローレングス15インチから30インチまでの間、すべてが「18ポンド」のテンションなのです。これはスゴイことです。1本の弓ですべてのアーチャーにまったく同じドロー(ホールディング)ウエイトを提供できるのです。
 これがその「F-X曲線」です。リカーブボウで考えれば、当然その曲線は引けば引くほど上がっていくばかりか、後半になれば曲線の立ち上がりは大きくなり、ドローレングスが長ければ強くて硬くなってアーチャーの負担となります。ところがこの魔法の弓はそれがないばかりか早い段階で表示ポンドに入ることで、同じホールディングウエイトでも大きなエネルギーが蓄えられます。ということはこんな低ポンドであっても、状況によっては30mを飛ばすことも可能になってきます。
 この弓はアメリカでの、ジュニアプログラムやスクールプログラムに採用されています。すべての人が同じ弓を使って、同じ条件が得られるというのです。クラブやレンジの備品だけでなく、営業用などでも数少ない備品で大きな効果が得られるわけです。
 そしてもうひとつの特徴。リカーブ用とコンパウンド用の2モデルがあることです。
 F-X曲線でも分かるように、魔法の弓は「Let-Off 率=0%」です。コンパウンドであればこれが50%や60%といったオフ率があります。ピークウエイト50ポンドの弓ならホールディング時には20ポンド程度までドローウエイトは落ちて狙っているわけです。ところがこの弓は落ちないことでリカーブの練習用だけでなく、コンパウンドにおいても実際と同じくらいのホールディングウエイトで初心者が練習できます。
 しかし最近のコンパウンドは昔の弓と違い、F-X曲線がオフした後「バレー」と呼ばれる谷が存在せず、谷の底(突き当たり)で引けなくなります。そこでそれと同じように、コンパウンド用モデルには「ドローストッパー」が装備されているのです。それも、ボウプレスなどを必要とせずに、六角レンチでストッパーピンを付け替えるだけで1インチ刻みで、そしてピンの大きさを替えることで1/2インチ刻みでドローレングスを簡単に変更できるのです。ピンを取り外せば、リカーブのように30インチまで同じポンドで引けるわけです。
 どうですか、本当に「魔法の弓」でしょう。もし文句を言うとすれば、弓の長さが滑車軸間の長さが36インチということで、コンパウンドアーチャーには問題ないでしょうが、リカーブアーチャーにはフルドロー時にストリングに鼻が付かない、ということがあるかもしれません。しかし、そんな問題はこの魔法の前では些細なことと考えるべきでしょう。
 引けることの喜び、射つことの楽しさ、当たることの面白さ、ともかくは始めてみる、、、ハイアンカーでもベアボウでもまずは引いて射つことから始まります。それさえクリアできれば、ロウアンカーもエイミングもすべては簡単なことです。まずはアーチェリーの素晴らしさを体験してもらうことです、年配者も子供も、ハンディーを持った人たちも、ともかくは同じシューティングラインで射ってみること、矢を飛ばすことです。
 素晴らしいとは思いませんか。。。。。

こんなアーチェリー、してみたいと思いませんか。

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