思い込みはだれにでも

 「思いは見えないけれど思い込みはだれにでも見える。」
 といいのですが、アーチェリーをしている人はみんな自分を中心に物事を考える人たちばかりなので、自分の常識が世界の常識であり、日本の常識も世界の常識であると思い込んでいます。
 ところが「アーチェリー」において、日本ほど特殊な状況はないことを知るべきです。世界でアーチェリーといえば「コンパウンド」であり、「ハンティング」が普通です。日本のように滑車の付いていない弓で、平地で、そして決まった距離で、紙に書いた丸い輪を、決められた本数だけ、ただもくもくと射つなどという競技(スポーツ)、それも全員が連盟登録して、試合が前提にあるなどという状況は日本だけと思った方が間違いはないでしょう。「FITA」でくくられるアーチェリーの世界はオリンピック種目であること以外は、決してメジャーではありません。ましてやFITAがすべてを占める日本の現状は、マイナーというより「異常」といっても決して過言ではないでしょう。世界から見れば、たとえFITAであっても日本の常識は日本だけの常識です。世界では通用しません。
 それはともかくとして、道具の話です。滑車の有無にかかわらず、正常と思いながら異常な世界に身を置いていると、いろいろな錯覚や勘違いがあるものです。
 例えば先日書いた「接着剤」の話も、日本で普通の生活をしていて「ホットメルト」などと呼ばれる松ヤニ系の接着剤に出あうことは稀です。ところがなぜか、アーチェリーの世界ではこのマイナーな接着剤が当たり前のように思われているのです。海外のアーチェリーカタログを見ればわかりますが、「ホットメルト」は特殊な接着剤であり、どのメーカーも日本では一家に一個あるであろう一般的な「瞬間接着剤」を出しています。ポイントを付けるにしても、ハネを貼るにしてもです。↓これはほんの一部です。
 ちょっと前振りが長くなりましたが、なぜこんな話を書いたかというと、先日弓バカの知り合いから薀蓄と一緒にいいモノをいただいたのです。
 海外のカタログを見ると、なぜこんなに瞬間接着剤があるのと同じように、なぜこんな道具があるのというようなものがあります。そのひとつがこれです。↓日本でいう「カッター」です。なぜか、何種類ものカッターが海外のカタログやホームページには載っています。たぶん外国では、瞬間接着剤同様にカッターも一般的ではないからでしょう。
 日本でこの2つが一般的な理由は、どちらもが日本が世界に誇れる日本の発明品であり世界ブランドだからではないでしょうか。
 そこでこんなカッターを何に使うのかというと、ハネを剥がしたり、日本ではさほど一般的ではない「アローラップ」を剥がすのに使用するのです。ほんと日本ならこちらも一家に一本はあるであろう、普通のカッターで用が足せます。
 ところで、今回いただいたモノはこれです。
 こちらも日本が世界に誇れる発明品、「彫刻刀」です。先端のアール形状がカーボンシャフトに付いたハネを剥がすには最適だというのです。確かにその通りです。ただし知り合いがいうには、100円ショップの「ダイソー」で売っているこの「小丸刀」が最高とのことなのです。ここから先は皆さんで確認いただければ幸いですが、、、
 日本の世界的ブランド「YAMAHA」がアーチェリーから撤退して、ちょうど10年。その間、「ニシザワ」も「Nプロダクツ」も、弓を作る日本のメーカーはすべてなくなりました。それを今さら悔やんでも仕方がありませんが、日本の常識を世界の常識に代えるには、日本の道具、日本の技術、そして日本の情熱が不可欠です。せめてまずは、接着剤とカッター、そして彫刻刀で日本を誇りましょう。。。
 「バカっていふとバカっていふ。こだまでせうか、いいえ、誰でも。」

copyright (c) 2010 @‐rchery.com  All Rights Reserved.
I love Archery