[ これまでにもたくさんのモノを考え、実際にたくさんのモノを作ってきました。そして今回「スタビライザー」でちょっと考えることがあって、このページを追加しました。コンパウンドの皆さんもリカーブの皆さんも、お付き合いください。工房も筆の誤り。。。   2003年11月吉日 ]
 
 1969(昭和44)年4月、高校一年でアーチェリーを始めて、今まで。ずーっとアーチャーとして選手として、毎日弓のことを考えて、射ち続けてきました。中抜けも中休みもなしです。その中には1977(昭和52)年3月から86年3月までのヤマハ(当時の日本楽器製造株式会社)の本社浜松で過ごした9年間や全日本のターゲットとフィールドのタイトルや日本記録、世界選手権個人2位や団体3位、そして70mの世界一もあります。
1977年 キャンベラ世界選手権
 しかしともかくは、そうやって長くアーチェリーをやっていると、いろいろなことがあり、いろいろなことを考えるものです。そして一生懸命やっていると、いろいろなモノを使い、試すだけではなく、既存のモノでは満足がいかずそれらを改良したり、場合によっては新しくモノを作るということも数多くしてきました。今は亡きヤマハの時で言えば、最後まで残ったダブルアジャストシステムなどのリムの接合方式やMXグリップの形状をはじめとして、ハンドルやリムの基本的な部分から2トーンカラーのハンドルやレスト・クリッカースケールのプリントなどの新しいデザインや機能もそうです。そして。サイト、スタビライザー、タブ、アームガード、レインウエアやアーチェリーシューズ、アローケース等など・・・思い出せないくらいに多くのモノにアイデアや機能や性能を付加してきました。とはいえ自分用に改良する小さな細工ならともかく、それが世間のスタンダードになったり、製品として世に問うものともなれば多くの皆さんの協力や理解や援助が不可欠なのは言うまでもありません。それはヤマハという金看板を背負っていない時期においても同じことであり、今も何ら変わりありません。
 1970年代か80年代にかけて、日本のアーチェリーは最も素晴らしい時代を経験しました。世界の頂点を目前にして、選手も道具も組織もすべてが一体となってひとつの目標を目指していました。それは同時に世界のアーチェリーを拡大、発展させることでもありました。ところがそんな中でEASTONやHoytと共に切磋琢磨して世界を牽引してきたヤマハに元気がなくなりだしてから、そしてヤマハが消えた今。世界のアーチェリー全体が何か変なのです。ルールであったり、道具であったり、流れであったり、在り方であったり、さまざまな部分においてヤマハという大黒柱がなくなった影響が出てきているのでしょう。それは今の日本のアーチェリー界においてもまったく同じことです。
 そこでグチってばかりいても仕方がないので、ここでは我々が使う「道具」について考えてみようと思います。実はアーチェリーの道具は非常に個人主義的なものなのです。それはそれを使うアーチャーがみんな自己中心的個人主義的な人だからといって、道具もみんないっしょということではありません。例えば、弓の強さひとつを例にとっても、10人いれば10人ともが実質ポンド数は異なります。仮に表示ポンド数が同じであっても、引く長さや矢の長さは全員異なるのが現実です。そしてそこには技術やテクニックといった絶対的評価ができない複雑な要素が絡み合ってきます。世界チャンピオンと同じ道具を持ってきても、同じ成果は決して得られないのです。ましてや商業ベースにのったメーカーやショップ主導のカタログ商品が、必ず恩恵をもたらしてくれる保障などないのです。自分に合った道具、それが他人とは違い自分だけの形や機能であったとしても、それこそが最良を自分に与えてくれることを忘れてはなりません。
 昔30数年前、歯ブラシや眉ブラシをレストに、定規をクリッカーに、単一電池をウエイト代わりにビニールテープでハンドルに巻き付けていたあの時代の工夫や試行錯誤がアーチェリーの原点であることに立ち返るべきではないでしょうか。そこからはじめて、経験則や新しい発見、発想、道具が生まれ、自分の技術と得点の向上に寄与する何かが得られるのです。それは川上源一氏が目指した「日本人が日本の弓を使って、世界の頂点に立つ」という想いにも通じるものです。そろそろこの原点を直視して、自分と「日本のアーチェリー」のために何か始めませんか。昔、世界中が日本のアイデアと製品で弓を射っていたのです。
 そんな楽しいアーチェリーをもう一度、みんなでシコシコとやってみませんか?!
 
 で、この思い付き企画。どんな展開になるのか、分かりません。場合によっては企画倒れで、残骸だけがページの片隅に残るということもあり得ます。うまくいくか失敗するかは、ひとえに皆さんのご協力の賜物ということで、とりあえずはMove Upです。
 ということで、どうぞ。 ↓
       スタビライザー工房 (2003年10月+2011年10月)
       クッションプランジャー工房 (2006年9月)
           どんどんご意見ください。今後、工房が大きくなるかもしれません。。。。

 

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