クッションプランジャー

■2006年9月6日
 もう25年以上、毎年夏には白馬(長野県)に行っています。最初はヤマハの合宿巡回クリニックという企画で、白馬八方を中心にたくさんの大学の合宿を訪問しましたが、1986年からは今コーチをする立命館大学の夏合宿に白馬乗鞍を訪れています。
 そんな白馬ですが、一昨年から中日の時間を利用して新潟まで日帰りで足を伸ばすことにしています。そして今年も行ってきました。新潟県燕市、白馬から糸魚川まで上がって高速に乗れば2時間で行ってしまいます。お世話になっている金物屋さん(?)に挨拶に行くのです。
 ポイントの作り方
 2009年には、ここから目と鼻の先の会場で新潟国体アーチェリー競技が行われますが、ここは日本でも生粋の金属加工の拠点なのです。そしてお世話になっているのは、特にステンレス加工を得意とする金物屋さんです。一昨年は2004年の中越地震でも被害を受けたのですが、昨年は新しいNCマシンも導入してがんばってられるのです! アーチェリーの部品の製作などは、正直商売になるようなものではないのですが、職人気質というか日本の技術や技を活かしたいという思いで、お付き合いをしていただいています。
 そこで今回も、挨拶に行ったのですが昼食の出前のラーメンを食べながら雑談をしていたのですが、、、、、その時持っていた「クッションプランジャー」で話が盛り上がってしまいました。ポイントやVバーなどは作ってもらっていたのですが、クッションプランジャーでこんなに興味を持ってもらえるとは思ってもいませんでした。
 オモシロイって話です。例えば、ステンレスのウエイトはどこでも作れるでしょうが、こういった精度や技術を要求される物の方が、作り甲斐があるということです。職人なんです。世界最高の加工機械と世界最高の日本の技をマッチングさせたいのです。
 後は思いつくままに話をして、後日アイデアを送ることを約束してその日は失礼しました。思いつきで「クッションプランジャー」を作ってみます!
 
 プランジャーの基本       バーガーボタン
 木製ワンピースボウからテイクダウンに替えたのは、1974年夏から。しかし最初のハンドルには、まだクッションプランジャーが標準装備されていませんでした。それをバーガーボタンにブッシングを打ち直して替えたのは、1975年になってからでした。日本のアーチェリー界がクッションプランジャーへと移行しだしたのは、この年からです。
 1974年7月

■2006年9月8日
 早速、合宿に戻って合間の時間を利用して、アイデアをスケッチしてみました。そして帰京してから、既存のプランジャーのサンプルと一緒に燕市に送りました。
 皆さんが「クッションプランジャー」に求めるものはなんですか?
 カタチ、色、精度、機能、動き、値段、ブランド等など、いろいろあるでしょうが、、、、1975年以来ずっと使い続けてきて、個人的には当然といえば当然なのですが、一番重要なのはクッションプランジャーの目的である「動きのスムーズさ」です。
 とはいえ、出たり引っ込んだりするという単純な機能です。難しいメカや特別の機構があるわけではありません。そこでこの動きを考えるために、まずはクッションプランジャーの進化を見てみましょう。
 見て分かるように、外観の長さが長くなってきているのです。
 これは後でも述べますが、内部の機構が外観の長さと同じではありませんが、一般論としていえることは、可動軸長さ(これも支点間長さと同じではありませんが)が長くなれば、精度は向上してガタを抑え動きがスムーズになるはずです。長くすれば単純に精度をアップさせ易いのです。しかし、長いことはコンパクトとは相反することです。不要に長ければ、持ち運びや扱いにはジャマになります。とはいっても、製作精度が悪くても長ければ全体の精度は高まるので、内部の構造や品質は別として、高価なクッションプランジャーが廉価な物より長くなっているのはそのためです。
 ここでまず注意したいことがあります。「精度」(品質)と「機能」は別です。
 例えば、動きのスムーズさやガタとは別に、高価なクッションプランジャーと廉価なクッションプランジャーの機能の違いとして、バネ圧の硬さ調整を「クリック方式」(六角レンチなどを使わず、手でカチカチと動かせる。)で行うか、六角レンチなどを使っていちいち緩めたり締めたりするかがあります。この「クリック方式」は、1987年頃バイター製プランジャー(ドイツ製)が登場することで、クッションプランジャーに導入され一般化しました。しかしこれはあくまで「機能」(使い勝手)の部分です。部品点数や加工工程が増えることから、あくまで高価なクッションプランジャーにのみ使われていますが、この方式だから精度が高いことにはなりません。間違わないでください、この方式を採用すれば、おのずと外観の長さは長くしなければ作れないことになります。
 外観の長さも、なぜそうなっているかを考える必要があります。
 
 とはいえ、現状では「バイタープランジャー」がもっとも高価であり、一般的に性能(?)が優れるように考えられているようなので、わざわざクッションプランジャーを作るわけです。ともかくは、当面の目標として「バイタープランジャー」を目標に、それくらいは越えることを課題としたいと思います。
 ここには価格も当然含まれます。バイタープランジャーより精度が高く、機能的にも優れ、扱い易く、なおかつバイターより安いプランジャーを作ってみよう、という話です。コストパフォーマンスとは、価格に対する満足度であり、優れた性能ということです。

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