「VAP」と「ACE」と新しい「ピンポイント」

 今さらですが、プロセレクトオリジナルのピンポイントの使用についてWA(世界連盟)から問題ない旨の回答はいただいていますが、、、
 2015年に向けて、リカーブもコンパウンドも競技の中身が変わっていきます。リカーブは70m、コンパウンドは50mが中心になります。良し悪しは別にして、ともかく90mから30mではなく1つの距離にだけ、それも短い距離に対応すればよくなります。オールラウンドアーチャーではなく、限られた条件でのスペシャリストが求められるわけです。それは道具においても同じことが言えます。そこで早速、短距離だけになるコンパウンドアーチャーの方からは、新たな要望が出てきています。
 そこで新しいレギュレーションに対応して、こんなポイントを作ってみようと思います。まだ試作段階ですが、これまでのピンポイントのモデルチェンジ版として位置づけ、今ある「レギュラーポイント」との2本立てということになります。
 これはコンパウンドに限ったことではないのですが、特に50mという短い距離では重要です。これまでの細さで断面荷重を稼ぎ、風への対応を考えた矢ではなく、トップヘビーで重く、そして得点を稼ぐにはインドア同様に太さもアドバンテージとなってきます。また先端形状も、これまでのインドアだからのピンポイントではなく、アウトドアだからの専用ピンポイントということです。
 そこで、重さは最大「180グレイン」で「10グレイン」刻みのブレイクオフに、これまでのノウハウを生かしてリング装着を考えました。「5グレイン」のリングを装着することで、調整は5グレイン刻みとなり、最大2個の装着が可能なので、最大はトップヘビーで「190グレイン」まで重くできます。先端形状も重さを稼ぎつつ、先のシャフトに弾かれない形状を考えました。「VAP」と「ACE」は同じ寸法なので、どちらにも問題なく使用できます。もちろん製作は新潟県燕市、日本製です。

 最終仕様、決定しました。「PS-H ポイント」、VAPおよびACE用です。
 先端形状はご覧のとおり、ピンポイント同様に先に的中している矢に当たっても大きく弾かれることのない、対磨耗や空気抵抗を配慮した理想的な形状かと思います。長さは現行のレギュラーポイントが「16ミリ」に対して、「26ミリ」としました。16ミリはEASTONのACE用ポイントと同じ長さですが、26ミリはEASTONのX10用ポイントの長さです。ここを長くすることで形状とあわせて、よりトップヘビーなポイントとすることができました。
 重さですが、フルレングス(まったく折らない状態)で「180グレイン」としました。もともと今回のモデルチェンジは2015年、世界のルールが大きく変わることへの対応です。コンパウンドは50m、リカーブは70mが中心となり、これまでの90mを飛ばす条件が不要(?)になってきます。そのため短距離において、より的中精度を向上させることが不可欠となります。ポイントを重くすることは、長距離を飛ぶ必要がない条件の中で、断面荷重の増大やFOC(矢の重心位置)の先端への移動(トップヘビー化)など新たなチューニングの可能性が生まれます。
 特に高ポンドでリリーサーを使用するコンパウンドにおいては、50mという超短距離ではその効果は大きいといえるでしょう。ただしリカーブにおいては70mという距離と弓の強さ、そしてアーチャーの持つ技術的問題を加味する必要があり、120グレイン以上の選択は検討の余地があります。ただし、110から120グレインでの使用においてはハネ側を軽くしてトップヘビーにするのと同様に、同じ重さでレギュラーのポイント以上に重心を前に移動させる効果はあります。
 また今回、レギュラーポイントには装備できませんが、「PS10-Pポイント」(X10用PSポイント)でのノウハウを生かし、新たにPS-Hポイント用の「5グレインリング」を作りました。これによってブレイクオフで「10グレイン刻み」のポイントが、リング1個(長さ約3.5ミリ)を装備すれば「5グレイン刻み」のチューニングが可能になります。また、ポイント軸にはリング2個が装備できるため、最大「190グレイン」にすることや、同じ重さでよりトップヘビーにすることも可能になります。
 ちなみに、現行の「レギュラーポイント」と「PS-Hポイント」を同じ重さで、FOCを測定してみました。重さはPS-Hポイントで最も軽い「110グレイン」での比較です。
 VAP600 ATA26インチカット (VAPノックピン+バイターピンアウトノック+Bohning Micro Blazer Vane3枚)
  F.O.C.
 PS レギュラーポイント 110グレイン 15.2%
 PS-H ポイント 110グレイン 15.9%

 カット面からノック溝での相対比較ですが、ハネをフィルムベインにすればもう少しトップヘビーになります。また、同じ条件でフィルムベインを使い、リング2個装備「190グレイン」にすると、FOCは約「23.5%」までアップします。

 もちろん日本製。新潟県燕市で最新の技術をもって製作しました。
 なお、すでに同様の形状での「X10」用のご要望をたくさんの方からいただいています。ご期待に応えたいと思います。こちらも、お楽しみに。。。

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