Victory「CP204 ELITE」

 まずは、こちらをご覧ください。↓
            プロセレクトの「Victory」と「Aldila」の話
            「Victory」が作る新しい矢の話
 
 そして、
 今回、日本のメーカー「三菱レイヨン/Victory」が作る、新しいオールカーボンアローの名前は「CP204 ELITE」としました。
 当初「Comp」も考えていたのですが、これはミズノさんが飛び込み台の名称ですでに登録していました。そのため、ともかく「コンパウンド用」と分かるように「CP」とさせてもらいました。もちろんリカーブでも使用できますが、コンパウンドでの使用を前提に考えたシャフトです。
 その理由が「204」です。「204」はアメリカで一般的に使われる、「内径」を表す数値で内径0.204インチを表します。外径は約「6.5ミリ」のシャフトになります。
 すでにあるVictoryVAPやEASTONのACEシャフトの外径が約「5.5ミリ」。そして、VictoryV-ForceやEASTONのアルミシャフト19系が「7.5ミリ」です。それに対して「CP204」は中間サイズの約「6.5ミリ」、アルミ矢17系より細く、約1/4インチの外径で作られています。

 現在コンパウンドのターゲット競技は「50m」だけです。そして使われる弓の強さは最高「60ポンド」。この条件においては、7.5は太すぎるので風の影響を受けます。しかし、5.5では1点を争う試合では細すぎます。72射の試合でオンラインの矢を考えれば、その数がそのまま点数につながります。6.5はオンラインにタッチしながら、断面荷重も増すことで風に流されにくく安定した飛びを約束します。また、シャフト自体の強度もアップさせることができました。これらは木立に囲まれたフィールド競技においても同様のアドバンテージとなります。
 そして「ELITE」はVictoryシャフトの「V1グレード」を表します。曲がり精度「±0.001」、重さのバラツキが「±0.5」グレインです。これはVAPのV1も同じですが、ちなみにEASTONのACEもX10も「±0.0015」「±0.5」です。
 「CP204」のグレードは「V1」だけです。アルミアローの精度に匹敵する、高精度、高品質のコンパウンド用に作られた最新競技用シャフトです。
 専用の「204ノックピン」を作りました。これにより一般的なピンノックを使うことができると同時に、シャフトの破損も減るでしょう。
 ポイントは新潟県燕市で、VAPやV-Force用に作ったものと同じように競技用としての高精度、高品質で作りました。
 先端は的面の矢に当たっても大きくそれることのない形状とし、軸はブレイクオフで6段階に調節できます。フルレングス(カットなし)で「180グレイン」から、「20グレイン」刻みで最短は「80グレイン」です。
 最新の弓にも対応し、多様なチューニングが可能になります。
 シャフト表面はVAPでも定評の「ICE加工」と呼ぶ、ナノ粒子の特殊セラミックコーティングを施すことで、強度アップと的面での抵抗を減らします。ただしハネを貼る部分には加工を施していません。
 また、名前をを書きやすいように、イニシャルスペースもデザインしました。

 

 サイズ(スパイン)は300/350/400/500/600/700の6サイズを予定しています。

 先日の全日本選手権でも数名の選手がテストを兼ねて使用してくれました。好評であり、好結果をいただきました。
 特に意外だったのは、矢飛びが安定してキレイなのです。コンパウンドの場合、発射時にピークウエイト部分で一気に大きなエネルギーが矢に掛かります。射ち方が安定している場合は何ら問題ないのですが、リリースやエネルギーにバラツキがあるとこれまでの細い矢では受けきれないような感じがありました。ところが「CP204」は違います。昔のアルミ矢で同じスパインでも、外径で受けるか、肉厚で受けるかの違いのような感覚で、特に高ポンドは外径が効いてきます。
 それ以外にもうれしい報告をいただいていますが、オンラインのタッチで稼ぐだけでなく性能としての新しい発見が必ずあると思います。
 そこで最後に1つアドバイスです。オールカーボンシャフトの場合、EASTONのFatboyなどもそうなのですが、アルミコアのシャフトよりポイントの取り付けに注意が必要です。その理由は、製作過程で軸(マンドレル)にカーボンを巻き付けた後その軸を抜きます。その時スムーズに抜けるように「離型剤」が使われています。この離型剤がカーボンシャフトの内側に残るのです。簡単に言うと「シリコン」です。これを取り除かないと接着力が低下します。特に「ホットメルト」と呼ばれるマツヤニ系の接着剤においてはそうです。また、ハードタイプより柔らかめのホットメルトの方が接着力は強いかもしれません。
 そこでこちらをご参照ください。また、ポイントの重さも決まり、絶対抜けないようにしっかり固定したい場合はこちらをご利用ください。
 
 「日本人が日本の矢で、世界の頂点に立つ」。「CP204ELITE」はそんな日本のメーカーの矢です。
 年内には販売を開始します。今しばらくお待ちください。お楽しみに!

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