最近であれば、さもアメリカのメーカーのふりをした韓国のカーボンアローメーカーがありますが、「さも」「ふり」を見誤るとその本質も見誤ることがあります。 |
例えば「ハネ」です。もともと1970年代後半まではハネは羽根であり「鳥羽根」を差していました。今では修正力の大きさからインドア競技専用のアイテムとなっていますが、昔はアウトドアでも使っていました。というか、それしかなかったのです。しかし鳥羽根では修正力の大きさが逆に災いして、アウトドアでは風に流されるという大きな問題がありました。また、雨が降れば修正力もなくなり失速します。 |
そこで1970年代後半に登場したのが「プラバネ」です。プラスチックの略で、割れることはあっても曲がることはない硬い、プラスチック定規や下敷きを1ミリ程度の厚さにしたハネを想像すればいいでしょう。これは非常に高性能な道具でした。雨や風の影響を受けにくく、軽く、変形もしません。唯一の欠点は硬すぎるために的面で矢が集まれば割れることと、レスト部分でのトラブル(ハネがレストに当たったりすると)があればそのまま矢自体が弾かれることになり、矢飛びや的中に悪影響を及ぼすことでした。当時はまだクッションプランジャーもなく、ウインドウも木製ワンピースボウのため今のように深くはありませんでした。よほどスパインがあっていないと、レスト部分をきれいにクリアすることがなく、アーチャーにも高い技術が要求されたのです。 |
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そこで1970年代に入って登場したのが「ゴムバネ」です。今のビニールのソフトベインと同じものですが、当時は質感がビニールよりゴムに近かったのでゴムバネと呼びました。それがハネを「ベイン」と呼ぶようになって、今では「ソフトベイン」と呼ばれるようになりました。それに対してプラバネは「ハードベイン」ということになります。そんなハードベインとソフトベインの時代に突如登場したのが「フィルムベイン」です。1975年に「スピンウイング」の原型となるハネがインドア競技でデビューしました。それが現在に至っているのです。 |
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インドアに特化した「鳥羽根」はさておき、現在アウトドアで使用されるハネは大別すれば「ソフトベイン」「フィルムベイン」「ハードベイン」ということになります。これらの呼び名はソフト、ハードともにその特徴(硬さ)からのものですが、フィルムベインだけは素材からの呼び名です。そのためにこれらの名称だけでは、ハネの特徴や性能を正しく表現しきれない部分があります。またフィルムベインは素材だけでなく、その独自の「カール」した形状を表す表現ともなっています。カールしたハネと大昔から使われる3枚バネは分類される必要があります。 |
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しかし例えば、スピンウイングに代表される「フィルムベイン」は実は柔らかい「ソフトベイン」でもあるわけです。あるいはこのような「ソフトベイン」と同じ3枚バネのハネも「フィルムベイン」です。また「フロナイトフィン(スーパーK)」のような硬い「ハードベイン」とも呼べる「フィルムベイン」形状の「ソフトベイン」(?)もあります。わかるでしょうか。その一般的な呼び名や分類ではハネの本質が表現されないため、本来の性能や使い方が正しく理解されないのです。 |
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個人的にはまず「ハードベイン」が好きです。特に飛翔中に形状が変わらないという意味でです。そのためには硬いフィルムやプラスチックは有効です。しかし「フィルムベイン」で想像される「カール」した形状は嫌いです。風をはらむからです。横風を受けやすくなります。それに不必要に多くの回転を矢に与えます。回転は不可欠ですが回転数が多ければ的中に有効というものではありません。不要な高回転は弾道の不安定さを生みます。となると、「フロナイトフィン」のストレートタイプ(Kソリッド)」などが理想なのですが、、、割れやすいのとレストでのトラブルがあると的中に影響しやすくなります。そうなれば、多少重くても「ソフトベイン」の選択というところに落ち着きます。 |
ところでこれらの選択にはハネの形状や大きさは加味していません。例えば、先のスピンウイングが登場し、アウトドアで世界を制した1980年代。今では長さが45ミリが一般的ですが、当時は60ミリほどの大きさがありました。またピッチも1度や2度付けるようにメーカーも推奨していました。ところが、矢がアルミからカーボンに変わって細くなったことだけが原因ではなく、今ではノーピッチが一般的でハネの大きさもどんどん小さくなってきています。その理由は不要な回転の排除と風への対応です。ハネは形状はもちろん、表面積、厚さ、表面、硬さなど、すべてが性能に影響を及ぼします。 |
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と、個人的な好みはさておき。例えば最近使われる「ガスプロベイン」ですが、これにはいくつかの種類がありますが、この中にはさもフィルムベインのふりをしたハードベインに近いソフトベインのようなハネがあります。悪いと言っているのでは決してありません。言っているのは、これを単純にカールしたフィルムベインに分類して評価するべきではないということです。それは本来の性能を発揮できなかったり、一般的なフィルムベインや3枚バネを過剰評価する原因になります。アーチャー自身の認識と注意が必要です。 |
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フィルムベインはその柔らかさと張り方(テープでの接着)ゆえに、レストでトラブルがあってもハネがつぶれたり吹き飛ぶことで(良し悪しはともかく)、シャフトの弾道への影響はソフトベインやハードベインよりも小さなものとなります。ところが硬いフィルムベインはイカのようにも飛びませんが、レストやプランジャーチップのヒットを緩衝してはくれません。また一般的なカールしたソフトなフィルムベインでも多くのアーチャーはハネが逃げることから、ハネの高さや大きさ、修正力を考えることなく十羽一からげにハネを選びます。 |
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ということで、さも○○○なふりをしたハネには、ハネだけでなくシャフトもご注意ください。 |