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まずはこれを観てください。 |
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以前、新日本石油さんからもらった資料の中にあった動画です。向こう側からFRP(グラス)、アルミ、ステン、そして3種類の性能(繊維)の異なるCFRP(カーボン)の同じ長さ同じ幅同じ厚さの板を同じように弾いたものです。 |
当然この中には、それぞれの素材の特徴(性能)としての振動吸収やゆり戻し、重さ、反発力などがあるのですが、ここでは質問にあった「剛性」(硬さ)について見てみます。そこでカーボン(CFRP)がグラス(FRP)や金属より硬いことは一目瞭然ですが、なぜこれほどカーボンは硬い(硬くできる)素材なのかです。 |
手前の3枚は同じカーボンでも繊維の種類が違うだけで、これだけ硬さが違います。ではアーチェリーの世界でカーボンカーボンと言いながら、あなたはカーボンのグレードや品質を表す単位を聞いたことがありますか??? カタログには高性能、高弾性、高反発、超軽量などの言葉はあるのですが、どんなカーボンなのかが書かれているのを見たことがありますか? |
だいぶ以前に書いたページですが食品偽装の今日この頃、せっかくなので予備知識としてちょっと長いですがパック入りオレンジと搾りたてフレッシュオレンジジュースを間違わないためにも、まずはこちらを先に読んでください。 |
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■ カーボンリムとオレンジジュース
■ もう少しオレンジのはなし
■ カーボン○×△(FRP)の作り方 |
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ということで、カーボン繊維の硬さを表すのに「弾性率」として「ギガパスカル」という単位が使われ、これがカーボンの性能を表すグレードとしても使われます。↓ここにこれも以前作ったカーボンスタビライザーのページがあります。 |
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■ パワーロッド80 |
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ここで使った800ギガパスカル(=80トン)のカーボンは通常スポーツ用品に使われるものでなく、スペースシャトルなどの宇宙開発に使われる素材のグレードで高性能かつ非常に高価です。では、スポーツ用品に使われるグレードはというと、240ギガパスカルが使われていれば上等な方でしょう。 |
カーボン繊維の市場は日本のメーカーが世界の70%を占め、残りは欧米の企業です。○国も△国も入っていません。そして特に日本で作られるカーボンは高品質高性能で高価です。剛性は金属やグラスに比べて高く、軽い素材です。しかし、問題はどんなカーボン(性能だけでなく品質も)をどれだけ、どんな使い方をするかが重要なのです。しかしそのことはどの弓具メーカーのカタログにもホームページにも書かれていません。 |
これも以前書いた話ですが、カーボンの業界には「コンテナ1杯、2杯」という単位が存在するそうです。日本で高品質、高性能な製品を作る時、当然切り出したカーボンには「ヘタ」(残り)がでます。それらは産業廃棄物として捨てられるのですが、そんなゴミがコンテナにつめられて○国や△国に輸出され、そこで廉価なラケットや釣り竿に化ける現実があります。アーチェリー用品とは言っていませんが、これらが日本にも輸入され消費されます。先の動画の手前3枚のCFRPは230、400、800ギガパスカルのグレードが異なる素材です。これらはカーボンの専門家が見ても見分けが付きませんが、製品になり塗装されたり表面にカーボン模様のシートを貼れば、バナメイエビを芝エビと言われて分からない以上に素人には区別ができません。 |
確かに高額のスタビライザー=グレードの高い素材=高剛性の式とルールが守られればいいのですが、=○国製、△国製の製品です。そこで一番最初の話を思い出してください。もしチンケな(例えばコンテナで買い付けた)素材で硬いスタビライザーを作るならどうしますか? そう、厚さを厚くすれば多くの素材が必要で重くなります。素人が考えても分かるのが外径を太くすることです。硬さには肉厚より外径が効いてくるのはスパインと同じです。だから最近太いスタビライザーが増えているのです。ただしこのことは太いスタビライザーの素材が悪いと言っているのではありません。チンケな素材でも硬くできるのも事実ですが、高性能な素材でより硬くもできる方法でもあるのです。コンパウンドの世界でより高剛性をそこに求めた結果、より太くなってきたのも事実です。また、硬さは太さだけでなく、断面形状によっても高めたり、効きの強弱や方向を変えることもできます。 |
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では、素人にオレンジもエビも見分けられないとすれば、どうすればいいのか。だから高価なものが=本物を使っている=高剛性を信じるしかないのか。 |
あなたが自動車を買う時、足回りの硬さをみるのにバンパーを押してみませんか。最近はスキー板はなくなってきましたが、スキーでもラケットでもゴルフクラブでも釣竿でも、硬さをみたければ両手あるいは片側を地面に付けて思いっきり押すか曲げてみるでしょう。なぜリムもスタビライザーもそうしてみないのですか? 一番確実で確かな方法です。この程度で折れることは論外ですが、大口径でなく細くて軽くまったく曲がらないスタビライザーがあります。逆に高価なスタビライザーで太いにもかかわらず曲がる(たわむ)重いロッドもいくらでもあります。これは値段ではなく、素材とコンセプトの問題です。もしあなたがスタビライザーに求める性能が剛性なら、こうして探せば価格とは無関係に硬いロッドを見つけることは簡単にできます。スタビライザーは練習場に行けばいくらでも立っています。ちなみに、初心者用や最初から廉価なロッドやグラスが混ざっているロッドは膝を掛ければ折ることができますので、ご注意ください。 |
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ただし最後にもうひとつ。あなたはスタビライザーに何を求めているのですか? 「剛性」だけですか?? 確かにスタビライザーが弓に取り付けられるようになった1960年代から道具は進歩し、アルミがカーボンに、テーパーがストレート形状にそして大口径になったように剛性(硬さ)が求められているのは事実です。しかし、人間がその道具を使う限り、震えがあり振動があり、ゆり戻しがあるのです。弓を動かさないことでは剛性が寄与するでしょうが、振動を吸収発散するのは硬さだけではありません。片方で分けもわからずダンパーを無条件に装備するように、本来はスタビライザーには柔らかさやしなやかさも求められる性能としてあります。硬さ=高性能=高価だけではありません。世の中、柔らかいスタビライザーが振動を吸収し、狙いやすく、射った後も音なしいと感じるアーチャーもたくさんいます。にもかかわらず、硬すぎるスタビライザーのお陰でサイトピンは震え、振動は増幅し、リムは収まらない現実を高いお金と引き換えに得ている現状もあります。スタビライザーの性能は=価格ではなく、メーカーのコンセプトとノウハウ、そして情熱と良心に掛かってくるのです。その結果が伊勢えびやフレッシュオレンジジュースなら、それだけのお金を払っても値打ちがあり、満足がいくはずですがどうでしょう。 |
(余談ですが、リムに求める性能の一番は「剛性」ではありません。お間違いのないように、ご注意ください。) |